挑発ととらえられていただろう。だが、イタリアのテレビ番組のための記者会見に出席したインテルのジョゼ・モウリーニョ監督は、子供たちからの質問に対し、温和な笑みを浮かべて答えた。簡単な言葉で、だがしかし、いつものような皮肉を交えながら…。

日頃は、ピッチ上で対戦したり、テレビカメラの前で相対する対戦相手の指揮官について研究しているモウリーニョ監督。だが今回は、有名司会者の番組の主役となった子供たちが、同監督を“研究”することになった。

会見場に集まった4歳から9歳までの子供たちのうちの一人は、「あなたはたくさんのお金を稼いでいるけど、勝たなくてもお金をもらうの?」と質問。これに対し、同監督は「普通は、監督というのは働いているときよりも、クビになったときの方がより稼ぐものなんだ。でも私は、より多くを稼ぐよりも、働く方がいいんだよ」と答えた。

また、寝ているときぐらいは笑うのかというエマヌエレ君の質問には、「寝ているときに笑っているかもしれないね。その後は笑う必要がないんだ」とコメント。さらに、モウリーニョ監督は自身の過去についても言及し、「私はサッカー選手としてフェノーメノ(怪物)ではなかったけど、監督としては悪くなかった」と話している。

一方、自身の父親と同じGKをやっているというジョーダン君からアドバイスを求められると、モウリーニョ監督は次のように助言した。

「GKというのはピッチで一人だけだ。ほかとは違うユニフォームを着ているし、ほかとは違うポジションをやっている。そして、とても優秀でなければいけない。テクニックだけではなく、世親的にも強く、気迫がなければいけないんだ」

“スペシャル・ワン”ことモウリーニョ監督に、自分のプレーを見に来てもらいたいと言ったマッシモ君に対しては、「すごく行きたいけど、とても難しいことだと思う」と残念そうに語り、「私の息子もサッカーをやっているが、仕事で彼のことを見に行けたことがないんだ」と、私生活を明かしている。

また、スラングに関して「確かに、私は怒った選手たちやスタッフたちにスラングを言うかな」というコメントは、子供たちの興味を引いたようだ。さらに、アレッシアちゃんに対しては、「女子チームの監督になることはないと思う。男たちを指揮するだけでも大変だし、女性となればもっとだろうからね」と語った。

各試合前にジャーナリストたちが集まるのと同じ記者会見場の椅子には、小さな子供たちの笑顔しか見られなかった。モウリーニョ監督が最後に、「可能ならば、すべての記者会見がこうだったらいいのに」と語ったのも、偶然ではないだろう…。