プラチナ価格が大暴落している。2008年6月の平均価格7079円から急降下、11月は2729円で、半分以下になった。貴金属販売の田中貴金属工業は「秋以降、地金の販売は好調ですがジュエリーの持ち込みは減りました」(貴金属部)という。町の貴金属店や質屋も減った持ち込み客を呼び込もうと、大々的なPR作戦に転じている。

プラチナ販売 10月に過去最高を記録

   田中貴金属によると、2008年12月24日のプラチナ1グラムあたりの小売価格は22日と比べて1円高い2718円、買取価格は2530円だった。11月上旬以降、2000円台半ば〜後半で推移している。

   プラチナ価格が上昇していた原因は、金や原油価格の高騰や自動車の触媒需要の増加、プラチナの生産国である南アフリカに供給懸念があったことだ。そのため、3月には1976年以来の最高値1グラム7589円を付けた。

   ところが、世界的な金融危機がプラチナにも直撃。景気の不透明感や、自動車触媒の需要が激減したことから価格が大暴落。ピークの半分以下まで落ち込んだ。

   最近の地金の販売状況について、同社貴金属部は「6000〜7000円台のときは売買も活発だった。そのときと比べると現在の販売量は2割程度少なくなった」と話す。

   しかし、平均価格が3000円台で推移していた10月には投資用プラチナ地金の需要が盛り上がり、1か月の販売量が昨年1年間における合計販売量の1.3倍に達した。1〜10月の販売量指数(2001年=100)はすでに280で過去最高を記録した。

   ニューヨーク市場では12月17日に金の価格がプラチナを上回る逆転現象が12年ぶりに起こった。日本は逆転現象にはなっていないが、金価格は12月24日現在で小売価格が1グラム2613円。プラチナとの差は105円しかない。

「ガンガン高値で買い取ります」と大PR

   町の貴金属店や質屋などにプラチナ・ジュエリーを持ち込んでくる人も減っている。直営店でジュエリーの売買も手がけている田中貴金属は「(高値だった)この夏に比べると、ジュエリー類の持ち込みは少なくなりました」と話す。

   「ブランド質屋」の看板を掲げる「ル・デポ」は「安いのでダメですね」と、ため息をつく。それもあってか、最近はなんとかお客を呼び込もうと、町の貴金属店などのチラシが舞い込むようになった。そこには「ガンガン高値で買い取ります」「その場ですぐに現金をお渡しいたします」「使わない宝石・貴金属を売って!」の文字が躍っている。

   しかし、安値にもかかわらず、このところ「お客が増える兆しがある」と話す貴金属店もある。東京都内の、ある貴金属買取専門店には、使わなくなったジュエリー類をまとめて持ち込む人がいる。生活費の一部に充てているようで、世界的な景気の悪化で手元に現金が必要な人もまた増えているというわけだ。

   前出の貴金属店主は、「プラチナだけでなく、金もシルバー混ぜて、なかには片方だけのピアスや千切れたネックレス、サイズの合わなくなった指輪などを持ち込んでくる人もいます」といい、不景気の影響を指摘する。

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