■今回のジャケットはどのように決まったのですか?

一青:植原亮輔さん(D-BROS)という、プロダクトデザインや広告など色々やっていらっしゃるアートディレクターさんなんですけど。私がずっと好きで、2年以上前ぐらいから、もう直接ラブメールを出して(笑)。とにかく街、美術館でもどこでも、目に入るポストカード、カレンダー、本の装丁が結局、同じ人に辿り着く。「この人は何なんだろう?」と思って調べたら、植原さんという方に辿り着いて。私がキュンとなってしまう人って、大体何かアナログな部分を持っていて。わざわざ手間暇を掛けてそういうものを作る人達と、何かを作るのはすごく大好きです。

一青窈さんの公式サイトでFavoriteなものたちを見ていて、音楽以外にも興味の向く対象が広いなぁと思って。最近、大きな建築物や身の回りの小さな工業デザインなど、何か気になったモノはありますか?

一青:最近は、ニキ(ニキ・ド・サンファル)という建築家が気になっています。半分アウトサイダーアートじゃないですけど、精神的に病んでいらっしゃる方で、建築物を作ることでアート療法じゃないけど、そういうことをやっている方がいて。フンデルトヴァッサーとガウディを合わせて女性的にしたような作品を作る方なんですけど(笑)。びっくりするようなものを実際に作っちゃう方で。宮崎駿さんのように、何か新しい生き物を提示されている感じが(笑)。

■美術館や建築物を観に、旅行に行かれたりすることは多いですか?

一青:多いですね。昔は「ガウディを観に行く」「ピカソの絵を観に行く」って決め打ちで行っていたんですけど、結局拾えるポイントって、なんとなくブラブラしていて出会ってしまった洋服屋さんとかアンティーク屋さんが多くて。目的を持たないでバッグ一つで飛行場に行って、それに乗るというのが最近多くなっていますね(笑)。

■自分で写真を撮ったりしないんですか?

一青:私、旅行でもカメラを持っていかないんですよ。あの覗いている瞬間がもったいない気がして、「この枠を外して触りたい」という気持ちが強くて。でもきっと、そこで切り取る人にはある種の勇気とか、フレームで見る世界に美しさがあったり、痛さも熱さも詰まっていて。私はその時に感じる出来事を言葉に落とすという作業の方が必要だから、「どの構図かな?」と選んでいる内に流れていってしまう感情があるのだとすれば、書きたい。だから映画とかお芝居とかを観ていても、すぐ書きます。

■普段の私服のファッションとか、部屋のインテリアとかにこだわりはありますか?

一青:部屋は殺風景です(笑)。よくお洒落に貼っている方とかいるじゃないですか。私は多分それで一日とかが過ぎちゃうので。絵を描いてても、やり始めると時間がすぐに経っちゃうので、そこに時間を掛けるんだったら、詞を書きたいというのがあって。服は大体、行く店は大体決まっていて。そこで着まくって、という感じ(笑)。

■特に流行を追うこともなく?

一青:流行は、追ってくれるスタイリストさんから「今、これが流行っている」と聞くという(笑)。

■日常生活で癒しを感じるものはありますか?

一青:犬ですね。飼っていないんですけど、ペット可のカフェってあるじゃないですか。そこにやってくる他人の飼い犬を見て癒される。「こっち来い」ってよくやります(笑)。あと潜るのも好きです、プールでも。水の中に入ってくる光が好きで、潜水が好きなんです。指導員に見付かると怒られるんですけど(笑)。