宮里藍=集中力で成績向上!(写真/田辺安啓=JJ)

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初日はアイアンから放った球が散り気味だった宮里藍が、2日目は別人のように快心のショットを連打した。1オーバー73で回り、通算5オーバーで順位も37位タイへアップ。ショットが安定した理由は、もちろんアイアンショットの修正点が自分のものになったからであり、その意味では、アイアンのスウィングの感覚が戻ったと言える。だが、彼女が本当に取り戻したものは、スウィングメカニクスではなくフィーリング。つまり、宮里らしい自分ならではの「感覚」が戻ったからこそ自信が蘇り、集中力が高まったのである。

ハンドダウンからスウィングを始動する緊急修正――この修正点を初日の宮里は「無意識のうちに意識していたのかな」と振り返った。「昨日は何が大事かというポイントを失いかけていた。今日はスウィングがどうであれ、狙ったところに打っていこうとした。それが、すごく良かった」。

初日のラウンド後、父・優氏は「どこか気が抜けている」と言った。集中力を低下させている原因は何か。その答えが「スウィングのメカニカルなことに意識がいっているからプレーそのものに集中しきれていない」ということだった。宮里はそれに気づき、2日目は「狙い」だけを意識。それが集中力を生み、前日には作れなかった「いい流れ」を生んだ。

そして、スウィングのメカニカルな面をチェックするのはコーチである父・優氏の役目。「フォローで左ひじの位置が今日は高くなって振り抜きがすっかり良くなった」と満足げな眼差しで娘のラウンドを見守った。さらに優氏は、「今年のハワイ(開幕第2戦のフィールズオープン)で、ダウンスウィングが振り遅れていたので腕を早く振れと指示した。そうしたら、バックスウィングまで早くなっていたことが昨日わかり、修正した。だから今日は距離のバラつきもなく、イメージ通りに打てていた」。

スウィングチェックはコーチに任せ、ひとたびラウンドが始まったら選手はプレーだけに集中する――いわゆる「チェック&ゴー」は選手とコーチの理想の形だ。宮里の場合、優氏の指導を現地で受けられる機会が限定されているため、「チェック」と「ゴー」のタイミングが遅れたり、混ざり合ったりしているのが現状だ。昨季末、「現在許される環境の中でやっていくしかない」と答えたが、この「チェック&ゴー」は宮里にとって今後、大きな課題になるはずだ。「どうも、このナビスコはぎりぎりになる……」と漏らした優氏の言葉は、そんな現状の象徴だった。

ともあれ、大会はすでに決勝を迎えようとしている。自分らしい感覚、自分らしいゴルフを2日目にして取り戻した宮里の決勝ラウンドは期待できそうだ。
(在米ゴルフジャーナリスト 舩越園子)