17日、東京都庁で開かれた震災復興シンポジウムで基調講演を行う津久井進氏。(撮影:久保田真理)

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首都圏で直下地震が起きた場合に備えようと17日、東京都新宿区の都庁で「震災復興シンポジウム」(東京都・首都大学東京主催)が開かれた。専門家らが基調講演やパネルディスカッションで、災害復興支援に関った経験などを話した。

 基調講演では、弁護士で阪神・淡路まちづくり支援機構の前事務局長を務めた津久井進氏が、1995年に起きた阪神・淡路大震災での活動内容などを説明した。津久井氏は復興支援の一環として他の弁護士らと協力して法律相談を行い、借地・借家に関することや心のケアを求められる内容などさまざまな相談を受けたという。その結果、自主的な問題解決に結びつけたり、パニックになるのを防止したと報告した。「災害はなくならないので、どうフォローするかが大切。普段から防災と復興対策をセットで考えていく必要がある」と話し、今後の都の対策に期待を示した。

 パネルディスカッションでは、専門家らが都の復興支援の現状や今後の課題について話し合った。災害復興まちづくり支援機構の中野明安事務局長は、同機構の取り組みについて紹介。復興の際に起こる問題を解決するために、各種専門家が連携しながら相談に応じる組織で、都で14団体7万5000人の会員がいるという。「同様の目的を持つ組織は、全国に5つある。専門家自身が被災者になる可能性もあるので、他の団体とも連携を図ることも大切」と課題に言及した。

 東京都は2006年に首都直下地震の被害想定を見直し、阪神・淡路大震災の約8倍の被害が発生し、その3分の2が都内で生じる可能性があると発表している。【了】