小田急電鉄が、複々線化の完成を記念した陶板レリーフを下北沢駅に設置。初代ロマンスカー「SE」(3000形電車)のカラーデザインや内装を手掛けた洋画家、宮永岳彦さんのポスター画が再構成され、立体的によみがえりました。

初代「ロマンスカー」や箱根ロープウェイも

 小田急電鉄が、複々線化(線路を上下線2本ずつ計4線にすること)の完成を記念して大型陶板レリーフ『出会いそして旅立ち』を制作。下北沢駅(東京都世田谷区)に設置し、2019年3月29日(金)から一般に公開しました。


下北沢駅に設置された陶板レリーフ『出会いそして旅立ち』(2019年3月29日、草町義和撮影)。

 除幕式には、小田急電鉄の星野晃司社長や作家の宮永辰夫さんらが出席。幕が下に落ちると、小田急「ロマンスカー」の初代車両である3000形電車「SE」などが描かれた、横8.9m、縦2.6mの大きなレリーフが姿を現しました。

 このレリーフは、洋画家の故・宮永岳彦さんが描いた複数のポスター画を組み合わせ、立体的に描いたものです。小田急沿線の秦野市(神奈川県)に住んでいた宮永岳彦さんは、「SE」のカラーデザインや内装を手掛けたことでも知られ、箱根や江の島など小田急沿線観光地の旅客誘致ポスターも制作していました。

 レリーフには「SE」のほか、右側に都市が放射状に発展していく様をイメージした絵を、左側には箱根のロープウェイや丹沢の山並みなど沿線観光地の絵を配置。そして男女が向き合っている絵を中央に配し、右の都市部と左の観光地が下北沢で出会うイメージでまとめたといいます。複々線化をイメージした4本の線も描かれました。

 宮永岳彦さんの内弟子で、レリーフを監修した宮永辰夫さんは、除幕式で「ポスターという平面作品を再構成して立体作品を仕上げるという、大変難しい作業だったと思いますが、時間もないなか、すばらしい作品ができたと思います」と話しました。

 小田急は混雑の緩和を目指し、1960年代に小田原線の複々線化を計画。線路を高架や地下に移して踏切を解消する連続立体交差事業も並行して進められ、2018年3月までに代々木上原〜登戸間10.4kmの複々線化が完成しました。2016年度に192%だった混雑率は、2017年度には41%減の151%まで下がっています。

 これに伴い、小田急の下北沢駅もホームと線路を地下に移設。地上には新しい駅舎が整備されました。このほど公開されたレリーフは、新駅舎の改札内に設置されています。