CKから決勝ゴールを挙げた冨安。チームメイトから祝福された。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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 決勝トーナメント1回戦でサウジアラビアと対戦した日本は、相手に長い時間ボールを支配されながら、前半に冨安健洋が奪ったゴールを守り切って勝利を収めた。
 
「苦しい試合でした。ただ分析をして相手は中に人数をかけてポゼッションをしてくるなかで、握られるのは仕方ないが、最終的な部分でしっかり身体を張って守れれば問題ないと確認していました」
 
 そう長友佑都が語ったように日本はプラン通り、守備に力を割きながらサウジアラビアの攻撃力を削いでいった。そのなかで勝負を分けたのが、冨安が奪ったCKからのゴールだった。
 
 この日は出場のなかった槙野智章が「キッカーのタイミングと中の入るタイミングを上手くやっていたのはあります。なので、してやったりですね」と振り返ったように、日本はサウジアラビア戦へ向けてセットプレーを磨き、狙い通りの形で決勝点を手にしたのだ。
 
 それを可能にしたポイントには、まずキッカーを務めた柴崎の精度の高い右足が挙げられる。
 
「誰が入ってくるかというのは中の選手で決めることですが、狙ったところに蹴れたのは間違いないです」と振り返った柴崎のクロスは、ニアよりもファーという共通意識のもと、寸分の狂いもなくゴール中央へ送られ、冨安の頭にピタリと合った。
 
 また吉田麻也はこのセットプレーについて、日本のスカウティング力を称賛する。
 
「日本人のスタッフの方は緻密だと思いますね。スカウティングもロシアの時もそうでしたが、相当に細かいです。そこはどんどん進化していますよね。サウサンプトンでは分析だけで10人以上を雇っていますし、そこは本当に大事になると思います」
 
 そして「こういう堅い試合はセットプレーがものを言うので、よく取ってくれました」と殊勲の冨安を称賛しつつ、「逆に僕らはよく点を取られなかったなと思います。レフェリーのジャッジがあって何度も何度もフリーキックを与えてしまいましたが、そこも上手く我慢できました」と守備面の対応も評価した。
 
 アジアの頂点までは残り3つ。緻密な日本のセットプレーは今後も大きな武器になりそうだ。
 
取材・文●本田健介(サッカーダイジェスト編集部)