ロシアまで『プル様に捧ぐ』を届けに行った羽生結弦氏、怪我による出来栄え不足とプル様不在につき捧げもの再配達になるの巻。
生ものだからポスト投函はできない!
羽生結弦氏が今季のお楽しみとして自分自身のために作った新プログラム「Origin」、世間の人の言う「プル様に捧ぐ」は羽生氏に困難と試練を与えています。「作ってみました!見て見て!」「ありがとうユヅル」だけで終わる話かと思っていたら全然そうでもない。言うなればすれ違い系少女漫画のように、プル様にコレを届けることそのものが大きなドラマとして今季の羽生氏の激動を生み出しています。
GPシリーズ第5戦のため、ロシアの地に降り立った羽生氏。エントリーした当初は「ココでバッチリ仕上がったヤツをプル様に見てもらってー」みたいなことを考えていたタイミングかもしれません。しかし、事態は思いがけない方向へと動いていました。何と、まさかのプル様不在。プル様は、羽生氏の盟友であるハビエル・フェルナンデス主催のアイスショー出演のため、ロシアを離れていたのです。
↓ハビーーーーー、プル様連れてっちゃダメーーーー!!
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「宅配便のものでーす」
「お荷物をお届けにきましたー」
「日本のユヅル・ハニュウさんからでーす」
「デュフフフ」
「生もの要冷蔵でーす」
「オリジンって書いてありまーす」
「弁当かもしれませーん」
「早く開けてくださーい」
「開けたらとりあえずサインくださーい」
「人間が飛び出しますんで」
「その踊りを見てくださーい」
「あなたへ捧げるご贈答品でーす」
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
まさかのプル様不在!
時間指定で届けにきたのにご不在!!
↓惜っっっしいな!ヤグディンはいるのにプル様はいない!
ロシアの英傑が一堂に会する場に何故いない!
そして、別の問題も起こります。当日の公式練習中、羽生氏は4回転ループの着氷時に右足首をひねってしまったのです。しばしうずくまり、ジャンプを跳ぶことはないままリンクをあとにする姿。自力で滑り、歩き、「大丈夫です」とコメントを残したところを見ると、フリーへ出場する意向のようですが、常に痛めている箇所の再発でもあり不安は募ります。
力量差とショートプログラムでの得点差を考えれば、怪我でもしない限りはこの試合の優勝は間違いないというところが、その「怪我」が起きてしまった。多くのファンが平昌五輪までの日々を思い出すような半日を過ごします。もちろん信じているし、同じ状況は何度も経験しているし、もっとヒドイ状況さえあったけれど、「始まる前から祝杯やー!」というノリは消え失せました。
自分を鼓舞するような大熱唱で演技直前の練習を待つ羽生氏は、Origin用の髪型もあって、いつもよりも険しい表情に見えてきます。恒例のディレイ中継なら「今ドキドキしても意味ないしな…」と一定の落ち着きも出るものが、こんなときだけ生中継を敢行するテレビ朝日。さらなる怪我だけはしないでくれよ、怪我するくらいならこらえずに転ぼう、パーフェクトパッケージじゃなく今日のマックスパッケージでいいんだ…外野から見る者としては弱気も首をもたげてきます。
しかし、羽生氏はやると言う。
だって、これはプル様への捧げものだから。
プル様は怪我をねじ伏せて戦う、そんな人だったから…。
練習で跳んだ4回転サルコウ、質も高く見事なものです。自分に言い聞かせるようにうなずきながらの滑り。負傷箇所の痛み、わずか半日での演技構成の再構築、その困難と試練のなかで何を捧げられるのか、ある意味で「羽生結弦の本気」が久々に見られそうな展開となってきました。
そんななか、後半グループの滑りは不安を打ち消すような明るい報せで幕を開けます。ショート4位から自身初の表彰台を狙う友野一希クンの、名曲「リバーダンス」での滑り。表彰台に乗るためには絶対に決めたい冒頭の4回転サルコウ2連発は乱れながらも粘ってコンボもつけました。大きな関門をクリア。回転不足、レベルの取りこぼし、エッジへのアテンション、オーバーターン、プロトコルでは細かい部分でのミスがいくつも減点されてはいますが、それ以上の躍動感があります。小さな演技で小さなミスをするのではなく、大きな演技でそこそこのミスを受け入れるような、自分を超えていこうとする演技でした。荒ぶる限界突破、何だか急に大人っぽくなっちゃって!
↓友野クン、自己ベストを大幅に更新するフリー156.47点!
世界選手権5位だからな!
これぐらいはやってもらわないと!
日本の3枠目、熾烈すぎて選べない!
ドイツのフェンツ、アメリカのクラスノジョンは4回転を含まない演技ということもあって友野クンの上には出られず。残すは3人というところで登場したのは唯一の優勝候補、羽生氏。3匹のプーさんみたいなコーチ陣もペットボトル差し出し担当、ティッシュ差し出し担当、握手担当で完璧な連携から羽生氏を送り出します。無事に帰ってこいよ…と背中を見守りながら。
Originをロシアで捧げ始めた羽生氏は、まず冒頭のジャンプを4回転ループではなくサルコウに変更。つづくジャンプも4回転トゥループとします。冒頭の2連続はいずれもキレイに決まって加点も大きくもらえるデキでした。よし、跳べる。まずは悪くない滑り出しです。
フライングからのコンビネーションスピン、ステップシークエンスとジャンプ以外の構成は基本的に同じ。今回の負傷のきっかけとなったループジャンプもトリプルループのほうはそのまま残してきました。フィンランド大会では4回転トゥループを入れた4つめのジャンプには似たような軌道から跳ぶフリップを入れるなど、最少の組み換えでジャンプほぼ総入れ替えの試練を乗り切っていきます。
前戦で「4T+3A+SEQ」を見せた箇所は、4回転トゥループからシングルオイラー…とも言えないような一歩を挟んでトリプルサルコウにつなげるという変則的な形に。「4T+3A+SEQ」のリズムに合わせたのか、ステップアウトのごまかしか、真相は本人しかわかりませんが、仮にごまかしだとしても「ステップアウトじゃありません、オイラーのアンダーローテーションです!」なる主張を成立させるために、あらかじめ「ステップアウトの際はオイラーに持ち込んでサルコウにつなげて自然な3連続に変更する」ことまでを準備のなかで取り組んでいたのだとしら、見事な準備だなと思います。乱れのなかに逆に凄さが際立つ場面でした。
やはり痛めた部分の影響は時間を追うごとに強まっているようで、終盤のトリプルアクセル2本はひとつが回転不足での転倒、もうひとつは抜けて1回転となり、いずれもコンビネーションにすべき箇所ですがそれもできませんでした。しかし、やり切った。「ちょっとしたことで休んじゃったり辞めちゃったりしてもおかしくないくらいにすべてを手に入れた人物」がこの困難と試練のなかでやり切った。「やりたいこと」をやり切った!
プルシェンコさんを彷彿とさせるアップライトでの高速スピンから決める最後のポーズ、フィンランド大会では一本指を突き上げていたものが、この日は大きく開かれていました。それは「勝った」ではなく「届け」という心を示すかのよう。プル様の国で、プル様に捧げる演技をやり切った。よく頑張りました!
↓滑り切った以上、少々のミスがあっても勝つ!この状況でも勝利とGPファイナルはしっかり勝ち取りました!
よしよし頑張った!
Origin捧げられました!
プル様は不在だったけれど!
↓ピー!ピー!ピー!ピー!ピー!プレゼントを渡すんじゃない!みんなで手早く拾おう!
バレンタインデーじゃないぞ!
その後に滑ったマヨロフ、クビテラシビリは羽生氏を上回ることはなく、羽生氏は苦しみながらもGPシリーズ連勝を果たしました。そして友野クンも3位に残り、嬉しい表彰台。日本勢ふたりがしろって台乗りするという素晴らしい結果となりました。
ただ、頑張った羽生氏には申し訳ない報せかもしれませんが、残念ながら今回のOriginお届けの儀は「プル様ご不在により不在票をポスト投函のうえ、再配達」ということになりました。やっぱり目の前で見ていただいてこそ捧げものとしての美しい「お届け」があります。いないんだからしょうがないし、ポスト投函や玄関先放置してまで「コレを捧げたい」という演技にはいたっていないでしょう。素晴らしい勝利、素晴らしい熱闘でしたし、ロシアの先人たちに捧げることはできましたけれど、プル様に捧げるのはたぶんコレじゃないはずです。
そして、どうしても本人の目の前でやらないといけない予感もあります。たぶん世界でただひとりだと思うのですが、何故か当のプル様だけがこのOriginのことを「プル様に捧ぐ」ではなく「プルシェンコの『ニジンスキーに捧ぐ』のオマージュ」だと思っているフシがあります。普通に考えてそうなるはずはないと思うのですが、何故か世界でひとりだけそう思っちゃっている感じがする。目の前で最高のOriginを見せるまで、この話は終われないはずです!
↓「私はまさにニジンスキーの腕の動きや振り付けを付け足した方がいいと思う」なるコメントの少女漫画のようなすれ違い感!
「先輩!」
「なんだね?」
「私、今度の発表会、先輩の『ニジンスキーに捧ぐ』の楽曲で滑りたいです!」
「やらせてください!」
「お願いします!」
「ニジンスキーは我がロシアが誇る偉大な芸術家だ」
「ユヅがそれに挑戦することは、素晴らしい経験となるだろう」
「ぜひ、ニジンスキーを学びなさい」
「楽しみにしているよ」
「あ、先輩、そうじゃなくて…」
「先日の滑り、見させてもらった」
「素晴らしかった」
「だが、ユヅならもっとできるはずだ」
「率直に言ってニジンスキーが足りないと思う」
「ニジンスキーの独創的な振り付け」
「ぜひプログラムに取り入れなさい」
「ユヅなら必ずできる」
「見せてあげよう、これが薔薇の精だ!」
「次はロシアで待っているよ」
「あ、先輩、そうじゃなくて…」
「すまん、仕事でスペインに行くことになった」
「だが、遠くからユヅの演技を見守っている」
「ロシアの観衆たち」
「アレクセイ・ヤグディン」
「タチアナ・タラソワ」
「みながユヅの滑りに惚れ込むだろう」
「だからこそ、より一層のニジンスキーを求める」
「見せてあげよう、これが牧神!」
「これが操り人形ペトリューシカ!」
「あとはYouTubeで学びなさい」
「だって先輩の得意技だから…」
「どうして気づいてくれないの…」
「私が好きなのは…」
「ニジンスキーさんじゃなくて」
「これが羽生結弦」で、信じて待つのが「羽生結弦ファン」!
羽生結弦氏が今季のお楽しみとして自分自身のために作った新プログラム「Origin」、世間の人の言う「プル様に捧ぐ」は羽生氏に困難と試練を与えています。「作ってみました!見て見て!」「ありがとうユヅル」だけで終わる話かと思っていたら全然そうでもない。言うなればすれ違い系少女漫画のように、プル様にコレを届けることそのものが大きなドラマとして今季の羽生氏の激動を生み出しています。
↓ハビーーーーー、プル様連れてっちゃダメーーーー!!
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「宅配便のものでーす」
「お荷物をお届けにきましたー」
「日本のユヅル・ハニュウさんからでーす」
「デュフフフ」
「生もの要冷蔵でーす」
「オリジンって書いてありまーす」
「弁当かもしれませーん」
「早く開けてくださーい」
「開けたらとりあえずサインくださーい」
「あと、この書類にハンコくださーい」
「デュフフフフフフ」
「受け取ったら箱のなかから」「人間が飛び出しますんで」
「その踊りを見てくださーい」
「あなたへ捧げるご贈答品でーす」
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「ドンドンドン」
「ドンドンドンドンドンドンドンドンドン!!」
まさかのプル様不在!
時間指定で届けにきたのにご不在!!
↓惜っっっしいな!ヤグディンはいるのにプル様はいない!
Mr. Alexei you're doing amazing sweetie yuzu even tho you're music choice for this fs is questionable Yagudin 😂 pic.twitter.com/bYBFrRRbBb
- Sydney Maria Hueber ⛸️🔜🇫🇷 (@hueber_sydney) 2018年11月17日
ロシアの英傑が一堂に会する場に何故いない!
タラソワ・ヤグディン組と、ミーシン・プル様組がリンクサイドでそれぞれ羽生氏を見守りながら「コレはスゴイな」で見解一致するような場面だってあったかもしれないのに!
そして、別の問題も起こります。当日の公式練習中、羽生氏は4回転ループの着氷時に右足首をひねってしまったのです。しばしうずくまり、ジャンプを跳ぶことはないままリンクをあとにする姿。自力で滑り、歩き、「大丈夫です」とコメントを残したところを見ると、フリーへ出場する意向のようですが、常に痛めている箇所の再発でもあり不安は募ります。
力量差とショートプログラムでの得点差を考えれば、怪我でもしない限りはこの試合の優勝は間違いないというところが、その「怪我」が起きてしまった。多くのファンが平昌五輪までの日々を思い出すような半日を過ごします。もちろん信じているし、同じ状況は何度も経験しているし、もっとヒドイ状況さえあったけれど、「始まる前から祝杯やー!」というノリは消え失せました。
自分を鼓舞するような大熱唱で演技直前の練習を待つ羽生氏は、Origin用の髪型もあって、いつもよりも険しい表情に見えてきます。恒例のディレイ中継なら「今ドキドキしても意味ないしな…」と一定の落ち着きも出るものが、こんなときだけ生中継を敢行するテレビ朝日。さらなる怪我だけはしないでくれよ、怪我するくらいならこらえずに転ぼう、パーフェクトパッケージじゃなく今日のマックスパッケージでいいんだ…外野から見る者としては弱気も首をもたげてきます。
しかし、羽生氏はやると言う。
だって、これはプル様への捧げものだから。
プル様は怪我をねじ伏せて戦う、そんな人だったから…。
練習で跳んだ4回転サルコウ、質も高く見事なものです。自分に言い聞かせるようにうなずきながらの滑り。負傷箇所の痛み、わずか半日での演技構成の再構築、その困難と試練のなかで何を捧げられるのか、ある意味で「羽生結弦の本気」が久々に見られそうな展開となってきました。
そんななか、後半グループの滑りは不安を打ち消すような明るい報せで幕を開けます。ショート4位から自身初の表彰台を狙う友野一希クンの、名曲「リバーダンス」での滑り。表彰台に乗るためには絶対に決めたい冒頭の4回転サルコウ2連発は乱れながらも粘ってコンボもつけました。大きな関門をクリア。回転不足、レベルの取りこぼし、エッジへのアテンション、オーバーターン、プロトコルでは細かい部分でのミスがいくつも減点されてはいますが、それ以上の躍動感があります。小さな演技で小さなミスをするのではなく、大きな演技でそこそこのミスを受け入れるような、自分を超えていこうとする演技でした。荒ぶる限界突破、何だか急に大人っぽくなっちゃって!
↓友野クン、自己ベストを大幅に更新するフリー156.47点!
友野一希が自己ベストでGP初表彰台の3位「できることはやりきった」 https://t.co/BEeYpzueqA
- スポニチ記者ツイート スポーツ (@sponichisports) 2018年11月17日
世界選手権5位だからな!
これぐらいはやってもらわないと!
日本の3枠目、熾烈すぎて選べない!
ドイツのフェンツ、アメリカのクラスノジョンは4回転を含まない演技ということもあって友野クンの上には出られず。残すは3人というところで登場したのは唯一の優勝候補、羽生氏。3匹のプーさんみたいなコーチ陣もペットボトル差し出し担当、ティッシュ差し出し担当、握手担当で完璧な連携から羽生氏を送り出します。無事に帰ってこいよ…と背中を見守りながら。
Originをロシアで捧げ始めた羽生氏は、まず冒頭のジャンプを4回転ループではなくサルコウに変更。つづくジャンプも4回転トゥループとします。冒頭の2連続はいずれもキレイに決まって加点も大きくもらえるデキでした。よし、跳べる。まずは悪くない滑り出しです。
フライングからのコンビネーションスピン、ステップシークエンスとジャンプ以外の構成は基本的に同じ。今回の負傷のきっかけとなったループジャンプもトリプルループのほうはそのまま残してきました。フィンランド大会では4回転トゥループを入れた4つめのジャンプには似たような軌道から跳ぶフリップを入れるなど、最少の組み換えでジャンプほぼ総入れ替えの試練を乗り切っていきます。
前戦で「4T+3A+SEQ」を見せた箇所は、4回転トゥループからシングルオイラー…とも言えないような一歩を挟んでトリプルサルコウにつなげるという変則的な形に。「4T+3A+SEQ」のリズムに合わせたのか、ステップアウトのごまかしか、真相は本人しかわかりませんが、仮にごまかしだとしても「ステップアウトじゃありません、オイラーのアンダーローテーションです!」なる主張を成立させるために、あらかじめ「ステップアウトの際はオイラーに持ち込んでサルコウにつなげて自然な3連続に変更する」ことまでを準備のなかで取り組んでいたのだとしら、見事な準備だなと思います。乱れのなかに逆に凄さが際立つ場面でした。
やはり痛めた部分の影響は時間を追うごとに強まっているようで、終盤のトリプルアクセル2本はひとつが回転不足での転倒、もうひとつは抜けて1回転となり、いずれもコンビネーションにすべき箇所ですがそれもできませんでした。しかし、やり切った。「ちょっとしたことで休んじゃったり辞めちゃったりしてもおかしくないくらいにすべてを手に入れた人物」がこの困難と試練のなかでやり切った。「やりたいこと」をやり切った!
プルシェンコさんを彷彿とさせるアップライトでの高速スピンから決める最後のポーズ、フィンランド大会では一本指を突き上げていたものが、この日は大きく開かれていました。それは「勝った」ではなく「届け」という心を示すかのよう。プル様の国で、プル様に捧げる演技をやり切った。よく頑張りました!
↓滑り切った以上、少々のミスがあっても勝つ!この状況でも勝利とGPファイナルはしっかり勝ち取りました!
よしよし頑張った!
Origin捧げられました!
プル様は不在だったけれど!
↓ピー!ピー!ピー!ピー!ピー!プレゼントを渡すんじゃない!みんなで手早く拾おう!
https://t.co/ykQGFaKYc6
- 朝日新聞 映像報道部 (@asahi_photo) 2018年11月17日
演技を終え、花束を受け取る #羽生結弦 選手です。(達)#YuzuruHanyu #figureskate #Russia #GPRussia #GPFigure #羽生くん #羽生選手 #プーさん pic.twitter.com/jX1SSXHgQT
バレンタインデーじゃないぞ!
せめて目の前に置こう!
その後に滑ったマヨロフ、クビテラシビリは羽生氏を上回ることはなく、羽生氏は苦しみながらもGPシリーズ連勝を果たしました。そして友野クンも3位に残り、嬉しい表彰台。日本勢ふたりがしろって台乗りするという素晴らしい結果となりました。
ただ、頑張った羽生氏には申し訳ない報せかもしれませんが、残念ながら今回のOriginお届けの儀は「プル様ご不在により不在票をポスト投函のうえ、再配達」ということになりました。やっぱり目の前で見ていただいてこそ捧げものとしての美しい「お届け」があります。いないんだからしょうがないし、ポスト投函や玄関先放置してまで「コレを捧げたい」という演技にはいたっていないでしょう。素晴らしい勝利、素晴らしい熱闘でしたし、ロシアの先人たちに捧げることはできましたけれど、プル様に捧げるのはたぶんコレじゃないはずです。
そして、どうしても本人の目の前でやらないといけない予感もあります。たぶん世界でただひとりだと思うのですが、何故か当のプル様だけがこのOriginのことを「プル様に捧ぐ」ではなく「プルシェンコの『ニジンスキーに捧ぐ』のオマージュ」だと思っているフシがあります。普通に考えてそうなるはずはないと思うのですが、何故か世界でひとりだけそう思っちゃっている感じがする。目の前で最高のOriginを見せるまで、この話は終われないはずです!
↓「私はまさにニジンスキーの腕の動きや振り付けを付け足した方がいいと思う」なるコメントの少女漫画のようなすれ違い感!
Плющенко: произвольная программа Ханю интересная, но пока сыроватаhttps://t.co/USlJj8BAJA pic.twitter.com/KQuubBmR9S
- Р-Спорт (@rsportru) 2018年11月7日
「先輩!」
「なんだね?」
「私、今度の発表会、先輩の『ニジンスキーに捧ぐ』の楽曲で滑りたいです!」
「やらせてください!」
「お願いします!」
「ニジンスキーは我がロシアが誇る偉大な芸術家だ」
「ユヅがそれに挑戦することは、素晴らしい経験となるだろう」
「ぜひ、ニジンスキーを学びなさい」
「楽しみにしているよ」
「あ、先輩、そうじゃなくて…」
「先日の滑り、見させてもらった」
「素晴らしかった」
「だが、ユヅならもっとできるはずだ」
「率直に言ってニジンスキーが足りないと思う」
「ニジンスキーの独創的な振り付け」
「ぜひプログラムに取り入れなさい」
「ユヅなら必ずできる」
「見せてあげよう、これが薔薇の精だ!」
「次はロシアで待っているよ」
「あ、先輩、そうじゃなくて…」
「すまん、仕事でスペインに行くことになった」
「だが、遠くからユヅの演技を見守っている」
「ロシアの観衆たち」
「アレクセイ・ヤグディン」
「タチアナ・タラソワ」
「みながユヅの滑りに惚れ込むだろう」
「だからこそ、より一層のニジンスキーを求める」
「見せてあげよう、これが牧神!」
「これが操り人形ペトリューシカ!」
「あとはYouTubeで学びなさい」
「あ、先輩、そうじゃなくて…」
「そうじゃなくて!」
「私、ビールマンスピンをやりたいの!」「だって先輩の得意技だから…」
「どうして気づいてくれないの…」
「私が好きなのは…」
「ニジンスキーさんじゃなくて」
「先輩なのに!!」
このふたりがすれ違いながら最終回でようやく結ばれるまでの長い話!
せっかく会心の演技したのに先輩はいなかったり、先輩がきた日にかぎって風邪引いちゃったり、ひたすらすれ違いまくる!
「ライバルはニジンスキー!?」の今後の展開にご期待ください!
「これが羽生結弦」で、信じて待つのが「羽生結弦ファン」!
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