撮影:熊谷 仁男

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BanG Dream!(バンドリ!)などのメディアミックスコンテンツ、カードファイト!! ヴァンガード(以下ヴァンガード)などのゲーム系コンテンツ、新日本プロレス、KNOCK OUTなどのスポーツコンテンツでお馴染みのブシロードグループ。

社会人が自分を磨くために、読んでおきたい厳選本8選

ブシロードグループの創設者であり、現ブシロード取締役である木谷さんにインタビュー。

バンドリ!制作秘話、最近イケメン格闘家が多い理由、働き方改革の本質……

さらには、日本と世界を比較したスポーツビジネスの見方についても、くわしくお伺いしました!

vol.1 次世代ガールズバンドプロジェクト

バンドはアート!声優バンドに起きた、大変だった出来事

バンドリ!とは、「Poppin'Party(ポッピンパーティ)』や「Roselia(ロゼリア)』などの声優バンドを生み出した、次世代ガールズバンドプロジェクト。

アニメやスマホ向けゲームアプリ、漫画の連載など、さまざまなメディアミックスを展開しています。

中村:バンドリ!を作るにあたって、大変だったエピソードはありますか?

木谷:彼女たち(Poppin’Party、Roseliaのメンバー)は声優さんでありながら、方向性の違いとか、普通のバンドと同じことが起こるんですよね……(初期の頃の話ですが)

バンドまでいくとワークじゃなくてアートになるんですよね。それぞれの生き様があるため、自己主張が入ってくる。

声優としてのキャリアにも差があるので合わせるのも大変ですね。

活動しはじめてから3年半が経ち、ようやくかたまってきたな、バンドらしくなったなという感じです。

中村:木谷さんご自身はどのあたりまで携わってらっしゃるんですか?

木谷:最初に楽器を弾ける声優さんを探すところから僕自身がはじめました。

ヒットはマーケティングで生まれる!では、『大ヒット』は…!?

木谷:結局、みんなが無理だと思うことを率先してやらないと大ヒットなんてしないんですよね。

ヒットはマーケティングで生まれます。過去事例を最適化をするだけです。

今ある数字の分析(マーケティング)だけではなく、表に現れてない潜在的な需要を見つけ出して表に出すことが『大ヒット』につながります。

中村:スマートフォン向けゲーム「バンドリ! ガールズバンドパーティ!」(以下ガルパ)もまだまだという感じでしょうか。

木谷:現状でも素晴らしい成績ですがさらに盛り上げて行きたいですね。

声優さんたちは時には1日10時間くらい練習とかしているんですが、これは誰もができることじゃない。

やっぱりできる人にしかできない。

でもコンテンツって、がけっぷち感が大切なんですよね。この先ないっていう状況のときが一番当たります。

中村:ほかにも同じようにがけっぷちで当たったコンテンツがあったんでしょうか?

ブシロードのタイトルで大きく当たったもの=信じて費用を投資し続ける

木谷:ブシロードのタイトルで大きく当たったものは全部そうですね。

ヴァイスシュヴァルツというカードゲームは、発売当時年間2億円しか売り上げが見込めないのに広告に2億円使っていました。

これで当たらなかったら会社が潰れてましたね。

もちろん当たると信じていたからお金をかけたというのもありますけど。

次にヴァンガードです。ヴァンガードは最初の半年で18億の売り上げだったんですけど、使ったお金も18億でした。

中村:すごい!

そこは信じて費用を投資し続けるんですか?

木谷:そうですね。バンドリ!はそこまでではないんですけどね。

先にアニメをやってからゲームをリリースの予定だったんですけど、アニメがいまいち勢いがつかなかったので、直前のプロモーションは全部ゲームに充てました。

なんでもいいからとにかくCMなど流して、これ外れたらどうするの?的な……。

中村:(笑)そういった宣伝は木谷さんが旗を振ってやっていくんでしょうか?

木谷:最初は僕ですね。今は現場が自由にしている部分も大きくなっていますけど、コンテンツは立ち上げが一番むずかしいんですよね。

皆なかなかアクセルを踏めない、だからアクセルは僕が踏みます。

中村:そのアクセルを踏むタイミングというか、イケる!って思うタイミングがあると思うんですけど、それは毎回違う感じですか?

木谷さんがイケる!って思うタイミングとは?

木谷:毎回違いますね。でもなんとなく空気感でわかるところはあります。もちろん数字をみて、現場を見て、お客さんのコメントなんかも全部見ます。

今はわかりやすいですよね。YouTubeのコメントや、いいね、動画再生の数とか。

プロレスもそうなんですけど、試合終わったあとにお客さんが誰も帰らなかったらいいイベントなんですよね。映画なんかもわかりやすいですよね。人気のある映画はエンドロールが終わるまでお客さんが帰らない。お客さんが帰ってしまうようでは、まだまだだ夢中にできていないのだと思います

日本人はストーリーで評価するところがありますからね。

中村:なるほど。

ということは、コンテンツにストーリー作りというのも入れていますか?

木谷:大事ですね。なんでもそうですが、スポーツもキャラクタービジネスなので、お客さんが試合結果を見に来ている間はダメです。

イベントを楽しみに来ないと。

もっと深く入っていくと、人物のキャラクター、背景も見てもらって、固定ファンになっていきますね。

バンドリ!は楽しいですよ。あんまり似たコンテンツがないので。

中村:競合が少ないというか、ないに近いかもしれないですね。

「Poppin'Party(ポッピン パーティ)』、「Roselia(ロゼリア)』において、さらに競合を出さないための秘策

木谷:さらに競合を出さないために、2つのバンドの練習費だけで、300万円かけています。10人の先生が必要で、さらにスタジオ代がかかるので。

年間3600万円ですよね。そんな稟議どの会社でも通らない、それが大事です。

真似しづらいということは、自分たちのペースで走れるということでもあります。

自分だけが越えられる壁を作るのが大切です。他人には越えられないけど、僕だけは越えられる。

中村:なるほど!

たしかにそれはなかなか真似がむずかしいですね。

木谷:実は女性の方が勝負に真剣になるんですよね。

ヴァンガードのようなカードゲームをやってもらうと女性は強いですよ。

声優さんで比べてみても女性の方がすぐ強くなります。

女性は目の前の勝負に負けたくないんだと思います。

女性の格闘技は技術よりも気持ちで差が出ると聞いたことがあります。

男性は気持ちより技術ですよね。

だから、短期間で楽器がうまくなるのは女性ならではという感じがしますよね。

カタにはまると成長が早くわかりやすいのは女性です。

男性バックバンドはファンが見たくない! バンドリ!3つ目のバンド「RAISE A SUILEN(レイズ ア スイレン)・誕生秘話!

木谷:ひとつひとつのコンテンツを売るのに、これに何が足りないのか、何が必要なのか常に考えています。

なんで3つ目のバンドを作ったかというと、もともとバンドリ!には5つのバンドが存在していたんですが、そのうち、実際活動していたのは2バンドで、残りの3バンドはボーカルが歌うだけなんです。

でもボーカルが歌うだけだと、カラオケみたいになりますよね。

すでに活動しているPoppin’Party、Roseliaは他人の曲を練習する暇もない。

男性がバックバンドをやるのはファンが見たくないわけですよ。

もともと思いついたのが去年の横浜アリーナ。

Raychell(レイチェル)さんが、参加していたバンドで非常に生き生きしていて、これに人を足して3つ目のバンドにしちゃおうって。

こうして生まれたのが3つ目のバンド、「THE THIRD(仮)」。

今は正規メンバーが5人揃って、RAISE A SUILENという正式名称に改めて活動しています。

中村:リアルに音楽を結び付けたということですね。

木谷:バンドリ!では、リアルとファンタジーをごちゃ混ぜにしちゃおうと思っていたので、だから声優さんとキャラクターもなんとなく似ていているんです。

今回も先に声優さんを決めました。他のコンテンツでは、そういう例はあんまりないんですよね。

音楽コンテンツにすごい可能性があるなって思ったのは、スマホがきっかけ

中村:そうですね。先ほどの費用の部分も大きく関係していると思います。

最初に可能性を感じたのはどういったことからでしょうか?

木谷:音楽コンテンツにすごい可能性があるなって思ったのは、スマホがきっかけです。

今はスマホでゲームができて、音楽が聞けて、アニメが見られる、課金ができる。

スマホはイベントともライブとも相性がいいと思いました。これはスマホを軸にコンテンツを考えないといけない。

アニメ業界で今何が一番大変なのか

アニメ業界で今何が一番大変かというと、良いアニメのスタジオの枠をとること。

せっかくアニメがヒットしたのに次のアニメが早くて2年後、遅くて3年後になってしまう。

ヒットしてから枠をとるとそうなってしまうんですよ。

これからはアニメをやるなら最初から当てるつもりでやらないといけない。

でも、音楽があれば、間をライブでつなげるんですよ。

合間合間にライブやイベントを行えば、ファンの熱を高いまま保つことができます。

さらに、ガルパにはデイリーアクティブユーザーがかなりの人数いるので、ゲームでも毎日音楽を聴いてもらえる。

日々ファンと繋がっていける。そういう意味では音楽コンテンツは、すごく展開がしやすいですよね。

中村:たしかにそうですよね。スタッフにとってもよさそうですね。

木谷:そうですね。そしてこれからは、スマートテレビ(インターネットをテレビにつないで見られる展開)ですよね。

もう少し操作性がよくなっていくと思うので、2020年に爆発的に増えていくと考えています。

来年の年末商戦、それから再来年の夏の商戦は、家電メーカと家電量販店が、家ででかいテレビでオリンピックを見ましょうという商戦がはじまるんですよ。

スマートテレビ、映像コンテンツの今後の展開

木谷:YouTube公式チャンネル「バンドリちゃんねる☆」で一番再生されている人気動画はフル尺のライブ映像なんですよね。

たぶんバックグラウンドミュージックとして使う人が出てくる。一時間くらいループで流したりとか。

そうなってくると勝手に広告が流れるので、企業はこれまでよりも動画で広告収入が得られるようになると思います。

中村:ヴァンガードの見せ方も配信が先行、すぐ後に地上波というように、変えられましたよね。

木谷:そうですね、スマートテレビの普及を見据えての展開です。

やっぱり、今は子どもほどYouTubeを見るんですよね。

決まった時間に動画を見るのは親だけです。

僕は少し前までシンガポールにいたんですが、20代の社員でテレビを見ている人はほとんどいません。

でもみんな昼間ネットで動画を見ているんです。アニメとかスポーツとか。

日曜の午前中シンガポールで地元のテレビ局がアニメを放送していたんですが、そこそこ視聴率はあるんですよ。

要するに、時間が決まっているというのは親にとって都合がいいんですよ。

日曜の朝だったら見ていいよ、それ以外はダメという風にしているんだと思います。

子ども向けと年寄り向けの番組は残ると思うんですけど、若い世代は強制されてみることはなくなっていくと思うんですよ。

vol.2 働き方改革

政府の謀略!? 働き方改革の本質とは

木谷:働き方改革の本質ってわかりますか?

変化が激しい中で、変化対応力は、若い世代のほうが有利。

若い人は体力的にも気力的にも頑張れちゃう。

でもそれをされてしまうと、上の世代は必要なくなってしまうので、ハングリーな若者の動きを制限するための制度です。

逆に言えば頑張りたい人は、労働基準法関係外のところで自分が社長になるなりして、早くから独立しなさいってことですよね。

おじさんとジジイを守るためという、政府の謀略だと考えています。

中村;(笑)それはおもしろい話ですね。

木谷:なんで誰も言わないんでしょうね。何かを気にして言わないんでしょうかね。

頑張れ〜って手放しに仕事を頑張れるのって、20〜30代前半くらいまでなんですよね。

30代を超えると、子どもの送り迎えがある人もいれば、50歳を超えたら今度は親の介護の問題を抱える人も増えてくる。

中村:確かにそうだと思います。

木谷さん自身がめざす60代というのはあるんですか?

木谷:だんだん体力がなくなりますよ。僕の父親は地方公務員だったんで、定年58歳。

そして僕は今年58歳になるんですけど、自分の父親が定年の年にまたアクセルを踏もうとしている(笑)。

中村:(笑)好奇心は落ちないですか?

木谷:落ちないように時代が変化してくれていますよね。テレビを見る人が減っているとか……そこに新たなチャンスが出てくるわけですよ。

恨みは何もないんですが、銀行だって、入りたくない職業になってしまったし(笑)昔も今もバリューを保ち続けているのって商社だけだと思います。

80年代から輝きが変わってない。

野心家のいい人材を集め続けた結果だと思いますけどね。

やっぱり海外に行かないといけなかったってことだと思います。

日本はね、ぬるい、ぬるま湯もいいとこ。出たくなくなりますよね(笑)

中村:そうですね(笑)

先日シンガポールから戻られたということですが、日本に帰ってきてからどのくらいですか?

木谷:半年くらいです。シンガポールも大概ぬるいとこではあるんですが、それでも厳しさを垣間見ることができました。

常に何かを作り続ける会社でありたい

中村:全体を通してこれだけは貫いているみたいなことってありますか?

木谷:よく言うのは、1から100にする人はいっぱいいる。でも0から1を作れる人は少ない。

多分100対1くらいの差があると思うんですよね。

僕自身もそうでありたいし、会社全体も、何かを作り続ける会社でありたいなと考えています。

例えば新日本プロレスでも、0から1の部分があったからここまで続いている部分もあると思います。

常に自己変革、自己進化していかないといけないと思いますね。

vol.3 新日本プロレス・KNOCK OUT

最近の格闘家にはイケメンが多いのは一体なぜ!?

中村:新日本プロレスは、ブシロードがグループ会社化してからV字回復の曲線を描き始めたと思うんですが、どのような戦略があったのでしょうか?

木谷;リングの中身がよかったので、よりクオリティの高いものを、いかに大勢の人に見てもらうかというところを大事にしました。

編集:昔でいうと男性ばかりでしたが、今は若い女性のプロレスファンも多いですよね。

中村さんもKNOCK OUT好きですよね。

木谷:KNOCK OUT誰が好きですか?

中村:重森陽太くんです。神撃キッカーの!

木谷:彼イケメンですよね。身体もきれいですし。

キックボクサーってイケメン多いと思いませんか?小笠原瑛作くんとか。

中村:そうですよね!だから好きです(笑)。

木谷:昔は「この道で生きていくしかない!」みたいな人が多かったんですよね。

でも今の日本ってハングリーじゃないんですよ。ハングリーじゃないから、飯を食うためにつらい練習をする、努力をするということが難しいんです。

かっこいい人が「俺もっと強くなって、かっこよくなりたい」って思うから強くなれるんです。

要するに格闘家みんなナルシストなんですよね。

中村:なるほど(笑)!

木谷:だからみんな身体もきれいですよね。一物持ってる人がもう一物持つことになる。

かっこいい人が強さまで持ってしまう。

中村:スタートラインがいい人じゃないと目指せないということですね。

木谷:ただ、あらゆる分野がそうなってきているなと感じます。ひとつ持っている人が、二つ、三つ目をどんどん手に入れていく。

飯食っていくだけなら何とでもなる時代ですよね。でも、特化した能力のある人はどんどん力をつけていきます。

特にKNOCK OUTに出ている選手は、KOで倒すっていうのはすごい努力が必要ですよね。

中村:銘打っているだけあって選手みんなが狙っていますよね。

木谷:狙っていますね。

僕は「一番はKO勝ち。二番目はKO負け。三番目は判定勝ち。四番目は判定負け」の順番で良いと思っています。

実力差があんまりない場合、逃げ回っていればKO負けこそしないんですよ。向かっていくからKO負けするんです。

素人考えなので、プロの人たちからしたら、なんだそりゃ?と思うのかもしれませんけど。

中村:でもそれがわかりやすいですよね。

木谷:ファンからしたらわかりやすいのも大事ですよね。

じゃないと横に広がらず、マニア化してしまう。倒し倒されはおもしろいですからね。

WWEから学ぶ、新日本プロレスの今後の展開

木谷:新日本プロレスは今期49億円。過去最高の売り上げとなっています。

世界のプロレス団体で2番目に大きい規模です。一番は、ご存知の通りアメリカのWWEです。

売り上げ比率でいうと20倍ほど。この差は何なのかというと、ほとんど映像に関することです。

アナログの部分だけでいうとそこまで差はないんですよね。映像コンテンツだけがかなり大きく差がついてしまっていますね。

中村:WWEの映像コンテンツで成功されている部分というのは?

木谷:テレビの放映権料などですね。

日本では、まだスポーツビジネス=映像ビジネスが成立していないのがむずかしい。協会にお金が入って下に分配されるのも、上位に行ったら分配金が多くなるような仕組みで、買われているんですよね。

自分たちのやっていることがコンテンツなんだという意識が、全体に少ないと思います。

日本のJリーグは全部あわせて700億円くらいの売り上げくらいですが、クラブチームの一つであるマンチェスターユナイテッドは800億です。

なんでそんなに差が出たのかというと、やはりこれも映像ビジネスで伸びたかどうかの1点だけです。

そりゃ選手も海外行きますよね。

だからプロレスで、同じことをしてはいけないんですよ。

そのためにプロレスも企業規模を大きくすることに焦っているんです。

幸いにもプロレスはそんなにまだギャラの差がありません。

ナンバー1とナンバー2の関係なんで、やるべきことはわかりやすいですよ。

中村:選手のギャラにあまり差がないのは、夢がありますよね。

日本のスポーツ興行は、もったいない!? 物があふれている時代に「清貧でがんばれ」は古い!

木谷:今から20年前の日本のスポーツマーケットって全体で5〜6兆円だったんですね。

そしてこれは今でも変わっていません。アメリカは20年前の18兆円から、今は58兆円に伸びています。

中村:すごい差がつきましたね。

木谷:これは日本のスポーツには、ビジネスとは程遠い人たちがいつまでも上に居座っているからですね。

もったいないなと思うスポーツたくさんありますよ。

一番もったいないのは高校野球です。どれだけスポンサーつけられることか(笑)。

考え方にもよりますけどね。

「清貧で頑張れ!」って、戦後の貧しい時代じゃないんですから、ただただ頑張れは難しいですよね。

だったらビジネス化してあげて、高校の野球部に寄付して用具とかもよくして環境を整えてあげるとか、家が裕福でない人でも気を遣わずに野球できるようにしたりとか。

あとは相撲協会。相撲協会の売り上げ100億ちょっとしかないんですよ。

少なすぎると思いませんか?(笑)あれだけの独自コンテンツなんだから海外にもっと売れてもおかしくないのに。

中村:確かにそうですね(笑)

発想から変えていかないとということですね。

vol.4 総括

すべてのジャンルはマニアがつぶす!木谷取締役の思う、本当にいいコンテンツとは?

木谷:日本人はロイヤルカスタマー(サービスやコンテンツに対して忠誠心の高い顧客)を重要視しすぎなんですよね。

中村:新しい層よりもそっちになっているところが多いかもしれないですね。

木谷:本当にいいコンテンツというのは、熱しやすく冷めやすく、また戻りやすいものだと思っています。

中村:身近でいうとどういうものがありますか?

木谷:プロレスが実はそうなんですよ。メンバーにあまり変更がないので、3年見ていれば飽きますよ。でもいつでも戻ってこられる。

常に新陳代謝がいい方が、古参(古いお客さん)が偉そうにならないし、新しいお客さんも入りやすくていいんですよ。だから僕はずっと、「すべてのジャンルはマニアがつぶす」って言っています。

Jリーグは頑張ってるけど、サッカーの動員数ってチーム数のわりに少ないんですよね。

中村:入りやすさはないですよね。マニアが潰している…(笑)

その点でキックボクシングはいけると思われたんですか?

木谷:キックボクシングは上位概念がないので。バラバラなんですよ。

総合だったらUFCとかあるんですけど、キックはでかい団体やイベントがない。

概念自体を作ってしまえば世界一位になれる可能性があるんですよね。

苦労はしてますけど……。

中村:苦労はされてると思うんですけど、楽しんでらっしゃる感じがしますよね。

木谷:いろいろ全部を見ているんでね。

さまざまな分野にわたって事業を展開していくブシロードグループ。企業が大きくなっていく中でも、木谷取締役ご自身が会社やコンテンツとしっかりと向き合っていることがわかりました。

マーケティングでは大ヒットは生まれない、今の時代に清貧で頑張れは古い!自分にしか越えられない壁を越える、など、経営者でなくても“ためになる”言葉をたくさん聞けて楽しかったです。

木谷取締役、ロングインタビューのご協力、どうもありがとうございました。今後のブシロードグループの展開がますます楽しみです!