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「Androidの豊かなエコシステムのバランスが崩れる」、欧州委員会 (EC)による米Googleへの制裁金命令に対してGoogleが反論を公表した。同社はAndroidの価値である「無料」と「オープン」、人々の選択の自由を守るために、ECの判断に対して法廷で争う考えを示している。

ECは7月18日、モバイル検索やモバイルサービスにおける公正な競争を阻害しているとして、EU競争法違反でGoogleに対して43億4000万ユーロ (約5700億円)の制裁金を科すと発表した。これは独禁法違反でECが1社に科す制裁金としては過去最高額だ。

競争を妨げる行為としてECは、Androidを採用するデバイスメーカーや通信事業者にGoogleのアプリストア (Google Play Store)と共にChromeブラウザやGoogleの検索アプリをプリインストールさせて他社を締め出し、またGoogleのアプリのプリインストールを希望するメーカーが、Google版ではないAndroidフォークを採用するのを妨げたと指摘している。

それに対して、Google CEOのSundar Pichai氏が「Android has created more choice, not less」という声明を18日に公開した。

GoogleがAndroid開発に力を注ぐようになったのは、モバイルWebの成長を支えるスマートフォンでiPhone以外の選択を人々に提供するためだった。それによって競争が生まれ、モバイルの進化が加速した。「無料」そして「オープン」であるのがAndroidの魅力であり、多くのデバイスメーカーや通信事業者に採用されてきた。今日Androidは、1,300以上のブランドで、24,000以上のデバイスがあり、廉価帯からハイエンドまで幅広いデバイスの選択を人々に提供している。

しかし、iOSと競争できるような機能と技術、安定性を実現するには、莫大な開発費が必要になる。そこでGoogleは、メーカーがGoogle検索、Chrome、Google Play、Google Maps、GmailといったGoogleのアプリをプリインストールするオプションを用意し、それらを通じて間接的に収益を得られるモデルを採用。そうしてAndroid開発に多額の投資を行い、モバイルの成長を自らのビジネスチャンスにもした。Googleのアプリを利用できる仕組みによって、大きなメーカーでなくともモバイルデバイスに必要なサービスを簡単に揃えられるというメリットもある。

AndroidはAOSP (Android Open Source Project)としてオープンソースで公開されている。メーカーは必ずしもGoogleのサービスを利用する必要はなく、Googleのライバルサービスのアプリをプリインストールすることも可能だ。Googleは、Androidの「無料」と「オープン」の価値が引き出されるよう慎重にバランスをとり、それによってAndroidのエコシステムは健全に繁茂し、大きな利益を開発者とコンシューマにもたらしてきたとしている。

デバイスメーカーやモバイルネットワークオペレータがこれまでのようにGoogleのアプリをプリインストールできなくなって、バランスを保てなくなれば、Androidの「無料」と「オープン」の価値も失われてしまう。

「迅速なイノベーション、幅広い選択、値下がりが力強い競争を促すのは定説になっており、Androidはその全てを実現してきました。Androidは、人々の選択を減らすのではなく、より多くの選択の作り出してきました。今日の(ECの)判断は、それを実現したビジネスモデルの否定です」とPichai氏は述べている。