不毛な会議にしないための「7の法則」

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なぜあなたは忙しいのか。それはムダな行動で時間を浪費しているからかもしれない。今回、「プレジデント」では5つのムダについて、5人の識者に解決法を聞いた。第3回は「会議するだけムダ」――。(全5回)

※本稿は「プレジデント」(2018年1月29日号)の特集「24時間の使い方」の掲載記事を再編集したものです。

■日本企業では6割の会議が「議題不明」

近年、会議の時間は増えている。メールやテレビ会議などの発達により、以前よりも日程調整や参加がしやすくなったからだ。アメリカで行った当社の調査によれば、幹部は平均して週2日以上も会議に参加しており、組織全体の時間の15%が会議に使われているという。

しかし残念なことに、その会議のほとんどが有意義なものとは言えない。マネジャーが「出席が必要だった」と感じる会議に費やした時間は全体の約4割。残りの6割は、何らかの部分で出席の必要を感じなかったのである。

不毛な会議の特徴は、議題が設定されていないことだ。さまざまな調査があるが、世界的な平均としては、約3割の人が「アジェンダが不明」と感じる会議に参加している。日本企業で見た場合、その数字はなんと6割にまで跳ね上がる。1度始まった定例会議がなくなることは少ないため、「時間が経つうちに少しだけメンバーを代えながら、似たような内容の会議がたくさん開かれるようになった」というケースもよくある。

これを防ぐためには、一定期間ごとにどんな会議が開かれているかをチェックし、その内容を見直すことが必要だ。米フォードでは会議全体の上限時間である「時間予算」をあらかじめ決めていて、新しい会議を追加する場合、既存の会議のうちどれかをなくさないといけない。これによって議題が不明な会議は減るだろう。

■17人を超えると意思決定の効果がゼロになる

参加人数が多い会議も考えものである。それを示すのが、参加者が7人を超えると、1人増えるたびに優れた判断を下す可能性が10%下がるという「7の法則」だ。17人を超えると意思決定の効果がゼロになる計算になる。本当に多くの参加者が必要な場合を除き、なるべく参加者を6人以下にするのがいいだろう。

また役員などが参加する会議は、時間が長くなりやすい。設定した会議時間をきっちり使い切らなければいけない、と参加者が考えてしまうケースが多いからである。そのような意識は捨て、もし早く結論が出たならその時点で会議を終えるようにしたい。

そして会議のスタート時間が遅れるのも、大きなムダを生む。1時間の会議が参加者の遅刻や雑談によって5分開始が遅れれば、8%の時間を損失したことになる。開始時間の厳守を心がけるべきである。

会議で時間内に結論を出すために、意思決定の仕方をあらかじめ決めておくのはきわめて有効だ。お勧めしたいのは、全員参加型で議論を進め、意見が割れた場合は最終決定する人をあらかじめ決めておく、という方法である。結論に対する参加者の納得感が高いし、決まったことに対してのサポートも得やすい。

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×:アジェンダが不明&内容の似た会議がたくさん開かれている
○:会議全体の上限時間を設定。新しい会議追加の際は既存の会議を削減

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西脇文彦(にしわき・ふみひこ)
ベイン・アンド・カンパニー パートナー
テレコム、ハイテク、ITサービス等の業界を中心に、全社戦略、事業成長戦略といったプロジェクトを多数手掛けている。『TIME TALENT ENERGY』(プレジデント社)の監訳/解説者。

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(ベイン・アンド・カンパニー パートナー 西脇 文彦 構成=吉田洋平)