「漫画村」「MioMio」「Anitube」と類似サイトに政府が遮断方針。「推進はするが要請はしない」(世永玲生)
先日DMCAテイクダウンの削除申請が通った事が確認された「漫画村」、この度「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」にて、「漫画村」「MioMio」「Anitube」に加え、その類似サイトの遮断を政府が容認する方針なのが明らかになりました。
あくまでも今回は緊急措置であり、今後立法を急ぐ。早ければ今秋にも関連法案を提出するということも明らかになっております。
遮断を「要請」することについては、「検閲に繋がる」、憲法にて保障された「通信の秘密」が守られなくなるとして反対する声も根強く、賛成するスタンスを示す有識者の中でも、立法プロセス踏むべきという声が挙がっていました。
有識者の意見
「知的財産戦略本部会合・犯罪対策閣僚会議」に参加した慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授、中村伊知哉さんは以下のように語っています。方針は以下のとおり。
- 中村伊知哉 (@ichiyanakamura) 2018年4月13日
1.法制度を整備する。
2.それまでの緊急避難としてのブロッキングについて、政府(総務省、法務省、警察庁を含む)は「違法性が阻却される」との解釈を示す。
3.これを受けてISP+コンテンツら民間の対応を進めるタスクフォースを作る。
(正確なところは公式発表を待たれたし)
ブロッキングについて政府は法的リスクを負い、ゴーサインを出す。ただし、民間に対しては要請も行政指導もしない。ISP+コンテンツら民間側で対応を決める。その場を用意する。--これが決定です。いま政府の取り得る措置であり、民間も飲めるソリューションでしょう。自制的だと考えます。
- 中村伊知哉 (@ichiyanakamura) 2018年4月13日
つまり、政府は法的リスクを負うことで対策を促し、容認・推奨はするが要請はせず、民間に対応の判断を任せるということで、憲法21条の「通信の秘密」に対する批判・反対意見を回避した上で、権利者の権利を守ることを実現するという方針を打ち出したことになります。
ざっくり言うと、「これら3サイト及び類似サイトに対してのブロッキングに違法性は無いというのを政府が法的リスク負うので、民間の方の判断で行ってね。」という感じです。
なお、インターネット中年会が青春を過ごしたNewsgroupというサービス(?)では、プロバイダ毎に購読出来るグループが異なっていました。厳し目のプロバイダやほぼ全てが購読出来るプロバイダ等の違いも、当時はプロバイダ選びの際の目安となっていたのですが、皆様はいかがお過ごしですでしょうか。
「通信の秘密」の保護する主たる理由は、「国民のプライバシーを保護」することですが、サイトブロッキングは接続者の同意を得ることなく、そのサイトへの接続を遮断することから、「通信の秘密」だけではなく、「表現の自由」の保護にも抵触するという意見も当然出てくるでしょう。
児童ポルノ以外でのサイトへのアクセス遮断を政府が認めたり、推奨するのは初めてであり、今後も議論を産みそうです。
なお、13:30現在、「MioMio」、「Anitube」共に検索結果からの排除も、遮断も行われていません。