日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督(2016年8月撮影)

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韓国サッカーの凋落ぶりを、在日コリアンのスポーツライター・慎武宏(シン・ムグァン)氏(46)が嘆いた。目立つのは日本サッカーとの比較だ。

韓国は2018年のロシア・ワールドカップ(W杯)出場を決めたが、アジア最終予選A組では、1位のイランと勝ち点7差がついた2位。3位シリアには同2差まで追い上げられ、苦戦した。最終予選中に監督が解任されるなど、チーム状態は不安定だった。

6月のアジア最終予選で敗北し、監督を解任

慎氏のコラムは韓国メディア「スポーツソウル」に2017年9月25日付で掲載された。タイトルは「日本はもう韓国サッカーをライバル視していない」。

まず日韓の代表監督を比較した。日本のヴァイッド・ハリルホジッチ監督はアジア最終予選の序盤で苦しみ、解任論も出たが、最終的にはB組1位でW杯出場を決めた。慎氏は、ハリルホジッチ監督が「マスコミと衝突」しながらも「現実的な戦略」を練り上げてきたことを評価。「日本が誇ってきたショートパス戦術は無駄が多いとして封印した。『デュエル(1対1の強さ)』を大事にし、局地戦で真っ直ぐゴールに向かっていく戦術を追求した」と分析している。

一方、韓国は9回連続のW杯出場を決めたが、「緩慢な試合内容にサポーターは失望し、フース・ヒディンク監督の再登用を望む声もある」という。「このような雰囲気は日本と対照的だ」としている。

ヒディンク監督は02年日韓W杯で韓国代表を率い、アジア初のベスト4までチームを導いたオランダ人指揮官。ロシアW杯まで1年を切っているが、現状への不満からその再登用を強く望む世論があるというのだ。

韓国は14年ブラジルW杯後、ドイツ人のウリ・シュティーリケ監督に代表を託してきた。だが、15年のアジアカップでは準優勝の成績を収めたが、肝心のロシアW杯予選では苦戦が続いた。17年6月、アジア最終予選でA組最下位のカタールに2-3で敗北すると解任が決定。運命が決まる残り2試合は、U-20代表の申台龍(シン・テヨン)監督が率いた。しかし監督交代後も、8〜9月のイラン戦、ウズベキスタン戦いずれもスコアレスドロー。最終戦でA組3位のシリアが敗れたため、韓国は何とかW杯出場を決めた。

「日本という宿命のライバルがいたから発展できた」

このような状況から、慎氏はコラムで「個人的に、韓国サッカーに対する日本の関心が近年急速に落ちていることに危機感を覚える」と吐露。慎氏自身への韓国サッカーに関する執筆依頼も減ったという。さらに「最近は韓国より中国サッカーのほうが注目されている」とも書いている。

そして「誤解を恐れずに言えば、韓国サッカーは日本という宿命のライバルがいたから発展できた」「日本の存在は韓国サッカーのモチベーションであり、日本にとってもそうだった」とこれまでの状況と比較し、「今の日本は韓国サッカーに関心がないだけでなく、見向きもしない」と韓国の凋落を嘆いた。

こうした慎氏のコラムに、日本のインターネット掲示板では韓国サッカーへの厳しい見方が目立つ。

「うん、マジで関心無い」
「そっちから見たらライバルなんでしょうけど、こっちから見たらただの厄介者」
「アジア全体が底上げされてるから韓国になんて構ってられないんだよ」

また、5月のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で済州ユナイテッドの選手が浦和レッズの選手に「暴動」を仕掛けた経緯から、「試合中にフライングエルボーが出るようではお話にならん」と突き放す向きもある。ただ一部には「日本も韓国もサッカーでは底辺だろ」「一応ライバルだとは思ってるでしょ」との意見も出ていた。