読書感想文 親のサポート「3大間違い」

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子どもの夏の読書感想文はまだ手つかずのまま。そもそも、子が一冊の本も読破したことがないのに、一体どうすればよいのだろう……。と、途方に暮れ、いらついてしまった親がついしてしまう間違ったサポートとは? 子が読書感想文を仕上げるための「魔法の声かけ」についてカリスマ塾講師の矢野耕平氏が解説する。

■本嫌いの子にとって読書感想文は「地獄の課題」

夏休みも残りわずか。今年の夏は連日の雨でなかなか外に出掛けられず、子の夏休みの宿題がはかどった……と思いきや、本の苦手なわが子がまだ手をつけていないものがある! とお嘆きの親がいるかもしれない。

そう、夏の「読書感想文」である。

読書が好きで、文章を書くのが苦にならない子にとっては、数時間で仕上げられる課題。だが、本を読み進めるのがなかなかできない子にとっては、読書感想文は「地獄のような課題」である。

でも、せっかくの「読書感想文」。親が無理やり書かせて何とか終わらせるよりも、この感想文を書く機会を利用して、子が文章を読むコツを会得してくれれば、こんなにうれしいことはない。

そこで、今回はそんな「本嫌い」の子に対して効果的な指導方法をお伝えしたい。

ネット書店で読書感想文の本を買ってはいけない

本を読むこと自体、子が言い知れぬ苦痛を感じてしまっている……。そんな子に、たとえば親がネット書店でみつけた適当な本を一方的に押し付けても反発を招くだけだろう。

まずは、子といっしょにリアル書店へ足を運びたい。できるだけ大きな書店がベストだ。そして、そこでは子が興味を示す本に出会えるまで、親は辛抱強く待つことが必要だ。ここで間違っても親が本を選んではいけない。「これにしなよ」などと助言してしまう親もいるが、本はできる限り本人に選ばせたい。

もし、子が本選びに迷っているときは、「学年相応か1〜2学年下のレベルの物語(小説)」や「短編が収められている物語(小説)」を探すように助言するといい。背伸びは禁物だ。

子がやっと「じゃあ、この本に決めた!」となれば、なぜその本を選んだのかをたずね、書店を出たらすぐその理由をメモに書かせよう。走り書きでも構わない。そのメモがあとで生きてくる。

■「ちゃんと読んだの!!」とけしかけてはいけない

さて、「読書感想文」にとりかかる前の関門。それは、読書の苦手な子が、本を「しっかり」読むことである。「しっかり」と書いたのは、その本のストーリーをちゃんと頭の中に入れるという意味だ。

ただ、この「しっかり」読むことが難しい子は、文章の内容がちっとも頭の中に残らない。中学受験の国語の問題を苦手とする子にも、同じ傾向がある。

たとえば、全部で10段落に分けられる文章を一読させたとき、こんな状態になるのだ。

「3段落目を読んでいるときはすでに1段落目の内容の記憶は薄れ、6段落目を読んでいる頃は、もう3段落目までの内容は完全に頭の中から吹っ飛んでしまい……最後の10段落目を読み終わることには9段落目以降の内容しか覚えていない……」

すなわち、文章(物語や説明文)を俯瞰できず、字面を懸命に追っているだけになっている。

このとき、親のしがちなことが、「ねえ、ちゃんと読んだ!」とけしかけてしまうことだ。これはまったく効果のない声かけどころか、子のやる気をさらにそいでしまう最悪の対応だ。

文章の内容を頭に残るようになる「魔法の声かけ」

では、どうするか? 

子が文章の内容を「しっかり」頭に残す「魔法の声かけ」がある。1章を読むごとに、親がこう質問してみよう。

「登場人物の名前と、それぞれの人物が主人公とどういう関係なのか言ってごらん」
「最初に主人公にどういう出来事が起こって、その時主人公はどんな気持ちになったのかな」
「次にまた主人公にどういう出来事が起こって、主人公はどんな気持ちに変わったのかな」(これは文章によって質問回数が増減する)

■「大切なところに線を引きなさい!」と言っちゃダメ

最初は主人公の名前と登場人物の名前くらいは言えるかもしれないが、それ以外の質問に対してはしどろもどろになってしまうはず。そこでしかりつけてはいけない。イラっとするだろうが、そこは我慢だ。そして、それぞれの質問に対する回答を懇切丁寧に説明してあげよう。

ポイントは、次の章ではまた同じ質問を子にぶつけることだ。

根気よく何度も質問を繰り返すのだ。しばらくすると変化が現れるはずだ。毎回文章を読むごとに親から質問される内容が同じだと勘づいた子は、こんなふうに思い始める。

「きっとお母さん(お父さん)はまた同じ質問をしてくる。だから、主人公と登場人物の名前、そしてそれぞれの関係をしっかり覚え、また、主人公に起こった出来事と主人公の気持ちのいくつかをちゃんと考えなきゃ」

そんな意識が芽生えて文章を読むようになれば、しめたもの。徐々に、本当に徐々にではあるが、ひとつ、またひとつと質問に多く答えられるようになっていく。そして、ごく自然に、文章の隅から隅まで読み込むことができるようになる。途中からは質問も不要になるはずだ。

最後に心に残った部分だけマーカーを引く

そして最後に、子に心に残った登場人物のセリフをいくつか(2〜3つ程度)選ばせ、そこにマーカーで線を引くように指示したい。

本を読み始める際に「大切だと思ったところに線を引きなさい!」なんてアドバイスする親は少なくないが、これでは逆にたくさん線を引きすぎてしまい、あとで振り返ったときに何が重要な部分か判別できない。よって、最後に心に残ったセリフにしぼってマーカーを引かせるくらいがちょうどいい。

■すいすい書ける 読書感想文の3つのポイント

本をある程度読み込めたと判断できれば、いよいよ読書感想文を書き始めよう。ここで一度立ち止まって考えたいのは「読書感想文」で求められる文章内容だ。

「読書感想文」とは、あくまでも本を読んで個人的に抱いた感想を書くことであり、本の内容を懇切丁寧に説明することは求められていない。本の要約(もしくは、あらすじを書く)はナンセンスだし、そもそも本嫌いの子にいきなり要約させるのも厳しい注文だ。

読書感想文は以下の3構成で作成しよう。

1.この本を選んだきっかけ
書店を出た際にとったメモに基づいて、数多くある本の中からなぜこの本にしたのかを説明させる。

2.この本で印象に残ったセリフ → 自身の体験談
そのセリフが心に残ったということは、言い換えれば、自身の体験(経験)でも同じような場面があった可能性が高い。その時の体験談を詳しく記述させる。

3.この本を読んで、これから心がけようと思ったこと
この本を読んで学んだことは何か。感動したことは何か。そして、それをこれからの自分の生活の中でどのようにいかしていくつもりかを書かせていく。

以上が、本嫌いな子が読書感想文を完成させるポイントである。

親が上記のコツを踏まえて適切にサポートしてあげることで、子が「自分にも本が読めるじゃん!」という自信をもてるようになる。読書感想文の成功が、子が本に興味を示すきっかけになれば、こんなにうれしいことはない。感想文を書き終わったら、「よく書けたね!」と満面の笑みでほめてやることもお忘れなく。

(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平)