本田の「KSK」だけじゃないぞ!意外と奥が深い「ユニネーム」の世界
パチューカへの移籍が決定した本田圭佑。
背番号「02」も驚きだったが、ユニフォームに記されるネームに「KSK」を選んだことも話題となった。
「KSK」とは本田の名前"KeiSuKe"の子音を取ったもの。
また、本田はTwitterのアカウント名を@kskgroup2017 としており、今後もKSKというタグを使って事業展開していくことが予想される。
今回は、本田の"KSK"によって注目を集めたユニネームの知られざる世界を見ていくことにしよう。
1. “愛称”を付けるパターン
基本的には名前をそのまま付けることになっているユニネーム。
しかし、それ以外で最もポピュラーなものは「愛称」をつけるというものだ。
三浦知良であれば"KAZU"、平岡康裕であれば"HIRA"など名前の一部を計略化するケースは日本でも多いが、海外では必ずしもそういうわけではない。
ハビエル・エルナンデス・バルカサルは、「チチャリート」の愛称で知られる。
これは、元サッカー選手である父のハビエル・エルナンデス・グティエレスが“チチャロ(エンドウ豆)”という愛称で呼ばれていたことに起因する。
そのため、“チチャロ”の息子ということで“チチャリート(小さなエンドウ豆)”と名付けられ、その愛称を登録名としユニネームにも使用している。
つまり、「チチャリート」はハビエル・エルナンデスという名前には何ら関係がない。メキシコ人選手はこのように名前とは関係のない愛称を登録名にすることが多いのだ(代表チームではJ. HERNANDEZをつけることも)。
また、この手の話になると避けては通れないのがブラジル人選手だ。
2007年のバロンドール受賞選手、カカの本名はリカルド・イゼクソン・ドス・サントス・レイチ。
小さい頃、弟がリカルドの部分の発音ができず「カカ」と呼んでいたことに因むが、これも愛称をユニネームにしたケースの一つだ。ユニネームには、ご丁寧にアキュート・アクセント(´)まで付いている。
こうした例はスペイン語、ポルトガル語圏に特に多く、セルヒオ・アグエロの「KUN AGUERO」も有名だ("KUN"はアグエロが少年時代に見ていた日本のアニメに因む)。
また、ウルグアイ代表FWセバスティアン・アブレウは「LOCO ABREU」というユニネームを使用していたが、この"LOCO"とは「変人」を意味する自身のニックネームである。
さて、名前とは関係のない愛称をユニネームに用いている唯一のJリーガーが中澤佑二である。
その迫力あるヘディングは「ボンバーヘッド」と恐れられた中澤。中村俊輔から「ボンバー」と呼ばれており、中澤は2009年からこのユニネームにしている。
Jリーグが定めている「ユニフォーム要項」の第11条「選手名の表示」には、以下のような決まりがある。
選手名の表示を選手名または通称以外にて行うことを希望する場合は、事前にJリーグに申請し、承認を得なければならない。
一応Jリーグでも登録はできるようだが、Jリーグ理事会の審査が必要になるという。
とはいえ、AFCチャンピオンズリーグなどでは「NAKAZAWA」登録の場合も。
2. シンプルに長い!
本田の「KSK」は3文字と非常に短いが、その一方でユニネームがとにかく長い選手もいる。
その代表例が、元オランダ代表FWヤン・フェネホール・オフ・ヘッセリンクだろう。
PSVやセルティックのエースとして活躍したフェネホール・オフ・ヘッセリンク。
中村俊輔が在籍していた当時のエースということで日本のファンにもお馴染みだが、あまりに名前が長いため、文字が小さかったりすることもしばしばだった。
また、最近で言えばマンチェスター・ユナイテッド期待のDFキャメロン・ボースウィック=ジャクソンがそれにあたる。
ハイフンを含めると17文字もあるこの名前の選手は、ユニネームにするとこの通り!
綺麗な弧を描き文字が並べられている。
ちなみに、逆に短すぎるユニネームと言えば…
"BA"でバ!Simpe is best!
3. 「頭文字+名前」ならぬ「名前+頭文字」
基本的にはファーストネーム+ラストネームで表される海外選手の名前。
しかし、それら全てをユニネームで記すにはあまりにも長い。そのため「ファーストネームの頭文字+ラストネーム」という表現をよく目にする。
"A. INIESTA"や"I. RAKITIC"がその代表例だが、逆に「ファーストネーム+ラストネームの頭文字」を採用する選手も最近はいる。
レアル・マドリーFWルーカス・バスケスがそれに該当する。
このように、「xxxx+x」というケースは珍しいのだが、トリッキーなパターンも。
かつてリヴァプールなどでプレーした元フランス代表FWフロラン・シナマ=ポンゴルは、"SINAMA-P"!
ピリオド(.)ではなくハイフン(-)なのがポイントだ。
また、今をときめくピエール=エメリク・オーバメヤング(Pierre-Emerick Aubameyang)はサンテティエンヌ時代、"AUBAMEP"という不思議なユニネームを付けていたことも。
4. 間違って付けた→登録名として定着
ユニネームの印字はもちろん人がやるものだ。
それゆえミスもつきもので、それがキッカケで登録名を変更することになった選手もいる。
チェルシーで長く活躍し、現在は中国でプレーするMFミケル。
その本名はJohn Michael Nchekube Obinnaであり、正しくは"Michael"と綴る。
しかし、2003年に出場したU-17ワールドカップで"MIKEL"とユニネームがミスプリントされて以降、これを気に入り登録名を変更することに。発音的には「ミケル」だが、ナイジェリアは英語圏であるため正確な名前の読みは「マイケル」である。
こうしたケースはアフリカに多い。
ガーナ代表の守護神で、ワールドカップにも出場したことで知られるGKリチャード・キングストン。
本名はRichard Kingstonだが、パスポートに誤って"Kingson"と記載されたことで大会の登録名を変更する必要があり、その後は間違った名前をユニネームとして使用したこともある(ベンジャニ・ムワルワリやコリン・カズム=リチャーズも似たエピソードを持つ)。