寛一郎
 - 写真:上野裕二

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 大ヒットアニメ映画を実写化した『心が叫びたがってるんだ。』(7月22日公開)でメインキャストに抜擢された新人俳優・寛一郎。三國連太郎の孫、佐藤浩市の息子である彼が、役者の大先輩でもある父への思いを明かした。

 “ここさけ”の略称で呼ばれる本作は、2015年に11億円を超えるヒットを記録した同名アニメーション映画を、中島健人(Sexy Zone)、芳根京子、石井杏奈、寛一郎らの出演で実写化した青春ラブストーリー。寛一郎は、『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(9月23日公開)、『菊とギロチン』(2018年夏公開予定)といった新作も待機中の注目株。本作では野球で挫折してしまった高校生・大樹の心情を細やかに表現し、「アニメの大樹にはない自分らしさを出したかった」と瞳を輝かせる。

 そんな寛一郎は、父親が佐藤浩市、祖父が三國連太郎という俳優一家に生まれながらも、子どもの頃は「俳優には絶対になりたくないと思っていた」という。「父も祖父も役者だったので、自分にとって一番近い仕事だったんです。だからこそ苦労も見えてしまいますし、親への反発心もあった気がします。でも、思春期を越えて成長していく中で、役者という職業に興味を持ち始めたんです」と素直な気持ちを打ち明ける。さらに、「役者になりたいと父親に相談することほど僕にとって恥ずかしいことはなかったんです。生半可な気持ちでは言えなかった。その気持ちが固まってきたときに、親父から『そうか』とひと言だけ言われました」と当時を振り返り、「あれは悪い『そうか』ではなかった気がします」と照れくさそうにつぶやいた。

 今はとにかく「仕事がしたい」そうで、時間があるときは「ひたすら映画を観て、出演されている役者さんを見て、自分だったらどう演技をするか考えている」という。「親父が出演している作品は全部観ていますし、影響も受けています」と断言しており、その力強い口調から、俳優の大先輩である佐藤への尊敬の念が伝わってくる。「尊敬する役者さんはたくさんいますけど、誰かを目指すわけではなくて、自分自身がいい役者になりたい。人とは違うところを出せていけたらいいなと思っています」と展望を語る彼の表情には、俳優という仕事への闘志がみなぎっていた。(取材・文:斉藤由紀子)