中期的には緩やかなユーロ高を予想するが、まずは、下値を試すとみている。

――その他、注目の通貨ペアは?

 ポンド/ドルに動きが出そうだ。6月8日に英総選挙が実施され、当初は圧勝するとみられていたメイ首相の与党の優位性が揺らいできたことで足元はポンドが売られている。ただ、シカゴのポンドのポジションを確認すると、一時は大きく膨らんでいたポンドのショートがピーク比4分の1程度に縮小した。選挙を前にメイ政権の基盤が強まり、EU交渉が優位に運ぶとの見方が強まったことなどから、一方向に向けたポジションを縮小している動きといえる。

 ポンドの動きを振り返ると、昨年高値1ポンド=1.50150ドルから、安値である1.19799ドルの下げの38.2%戻しの水準である1.31393ドルを越えようとする手前で失速した形になっている。ちょうど、その水準には一目均衡表の雲がかかっていたこともあるが、抜け切れなかったことによって、当面は下方向に動きそうだ。

 まずは、一目均衡表の転換線である1.27065ドル、または、基準線の1.25166ドルで下げ止まるかどうかがポイントになる。

 ポンドについては、今回の選挙において、たとえ与党が勝利したとしても、実際のユーロ離脱に向けては難しい交渉が待っている。メイ首相から、交渉が進まない場合は、ハードBrexitもあり得るといった発言が聞こえてきている。ユーロとポンドには、難しい離脱交渉が続くことが重石となりそうだ。

 当面は、75日線や200日線などが重なる1.26ドル前後が維持できるかどうかがポイントになる。この水準を抜けてしまうと、1.20ドルを目指す下落につながりそうだ。