全車アイサイト付きで価格は213万8400円から

スバルのミドルサイズ5ドアハッチバック「インプレッサ スポーツ」をSUVテイストに仕立てたクロスオーバーモデル「XV」がフルモデルチェンジ。3代目となる新型の日本仕様が、4月6日に正式発表された。発表会は東京都江東区にある豊洲Brillianランニングスタジアムでの開催だ。

「ファン・アドベンチャー」をコンセプトに、都会的で洗練されたデザイン、スバルらしいSUVとしての走破性、世界トップクラスの安全性能を兼ね備えるクロスオーバーSUVを目指して開発された新型XVは、現行5代目インプレッサがベース。新世代のプラットフォーム「スバルグローバルプラットフォーム(SGP)」と、新デザインフィロソフィー「ダイナミック×ソリッド」を全面的に採用したモデルの第2弾に位置付けられる。

この新型XVは、3月7日にスイス・ジュネーブ国際モーターショーでワールドプレミアを果たし、翌8日に日本仕様の先行予約受付を開始しているが、今回の正式発表でグレードごとの価格や装備の違いなど詳細が明らかにされた。

グレードは安価なものから「1.6iアイサイト(213万8400円)」、「1.6i-Lアイサイト(224万6400円)」、「2.0i-Lアイサイト(248万4000円)」、「2.0i-Sアイサイト(267万8400円)」の4種類。ジュネーブショーで発表された欧州仕様のエンジンは2リッター直噴NAの「FB20」型のみだが、日本仕様には1.6リッターNAの「FB16」型が新たに用意された。

一方、先代では2013年6月に追加された「ハイブリッド」がラインアップから外れている。だがSGPは、ガソリン車からハイブリッドカー、PHV、EVまで幅広く対応させることを前提に開発されているため、モデルライフ途中での追加は大いに期待できそうだ。

先代で北米や日本を中心に好評を博し、グローバル販売台数がインプレッサを上まわる大きな理由となった「スポカジスタイル」は新型も踏襲。インプレッサに対しアッパー・ロアともフロントグリルを大型化したほか、フロントバンパー下部と前後バンパーの両サイド、全幅をインプレッサより25mm広い1800mmに拡大させるオーバーフェンダーとサイドスカート、さらにはルーフスポイラーをマットブラックに仕上げることで、SUVらしいスポーティでカジュアルかつ迫力あるスタイルを与えている。

また、SUVらしい迫力をタイヤ・ホイールでも表現するため、タイヤ外径を拡大。インプレッサが205/55R16、205/50R17、225/40R18タイヤを設定するのに対し、XVは225/60R17と225/55R18の2種類を用意。幅が同じ18インチ同士で比較すると、偏平率が3ランク高いものになっている。

さらにアルミホイールには、2015年10月のマイナーチェンジで先代に採用し好評だった、中央をブラック塗装、スポーク外周を切削光輝仕上げとした17インチアルミホイールのデザインテイストを17、18インチともに踏襲した。

なお、欧州仕様は悪路走破性を重視して220mmの最低地上高を確保し、ルーフレールも標準装備しているが、日本仕様は立体駐車場への入庫を可能にするため、最低地上高を200mmに変更。ルーフレールをメーカーオプション設定にすることで、全高を1550mmに抑えている(ルーフレール装着車の全高は1595mm)。

構造用接着剤を多用しボディ剛性を大幅に向上

ボディカラーは、戦闘機の迷彩色をモチーフにした「クールグレーカーキ」、先代に用意されていた「タンジェリンオレンジ・パール」よりも鮮やかな発色をソリッド色で目指したという「サンシャインオレンジ」の2色が新色。

そのほか「クォーツブルー・パール」、「ダークブルー・パール」、「アイスシルバー・メタリック」、「ダークグレー・メタリック」、「ピュアレッド」、「クリスタルホワイト・パール」、「クリスタルブラック・シリカ」の7色、計9色が全グレードで選択できる。

インテリアでは、1.6リッター車、「2.0i-Lアイサイト」、「2.0i-Sアイサイト」に標準装備されるシートの表皮が、柄はそれぞれ異なるもののすべてトリコットとされたほか、2リッター車に標準の内装及び「1.6iアイサイト」以外にオプション設定される「ブラックレザーセレクション」のシート及びインパネのステッチ色が、ホワイトからオレンジへと変更された。だが基本設計は、荷室を含めてインプレッサと共通だ。

ボディ、シャーシには前述のとおりSGPを採用することで、先代に対しフロント車体曲げ剛性を90%、車体ねじり剛性を70%、フロントサスペンション剛性を70%、リヤサブフレーム剛性を100%向上させたほか、旋回時にアンダーステアを検出するとコーナー内輪側にブレーキをかける「アクティブ・トルク・ベクタリング」を全車標準装備にすることで、ライントレース性を高め、ステアリングの切りすぎとそれに伴う修正舵を最小限に抑制した。

また、各骨格のつながりを滑らかにしたほか、構造用接着剤を多用。アッパーボディとフロアの骨格をインナーパネルで結合し、リヤフレームの板組みを見直して骨格同士の連続性を高めることで、車体ねじり剛性を70%、車体固有振動数を30%向上させた。

さらに、フロントストラット式サスペンションのマスオフセット量(キングピン軸とホイールセンター間の距離)を15%短縮し、ステアリングやフロア、シートの振動を大幅に低減。サスペンション取り付け部の剛性を高めたほか、リヤスタビライザーの取り付け点をサブフレームから車体への直付けに変更して、車体の揺れを50%低減している。

なお、従来のプラットフォームはインプレッサありきで設計され、XVはそれをベーストレッド拡大や最低地上高アップなどの変更が加えられていたが、サスペンションジオメトリーの狂いが両車で発生しないよう、SGPはより車高が高くトレッドが広いXVを基本として設計されている。

パワートレインはインプレッサとほぼ共通で、エンジンは前述のとおり2リッター直噴NA「FB20」型と1.6リッターNA「FB16」型の2種類。トランスミッションはCVTのみで、駆動方式はFFとAWDが設定されているインプレッサに対し、XVはAWDのみとなる。

ただしこのAWD、センターデフに油圧多板クラッチを使用し、路面や走行状況に応じて前後トルク配分を変更する「アクティブトルクスプリットAWD」を搭載している点はインプレッサと共通だが、フォレスターやアウトバックに採用されている「X-MODE」を「1.6iアイサイト」以外のグレードに標準装備。

エンジン、トランスミッション、AWD、VDC(横滑り防止装置)を統合制御するほか、急な下り坂で車速を維持する「ヒルディセントコントロール」を組み合わせることで、悪路や雪道、急斜面も安全かつ短時間で走破できるよう進化させている。

すでに納期は3カ月待ちの人気っぷり

安全装備の充実度はインプレッサと同様に高い。フロントガラス上部のステレオカメラで「プリクラッシュブレーキ」、「全車速追従機能付クルーズコントロール」、高速道路などで車線をはみ出しそうになった際にステアリング操作をアシストする「アクティブレーンキープ」、「AT誤発進/誤後進抑制制御」、自車のふらつきや車線逸脱を検知した際に警告する「警報&お知らせ機能」を実装する「アイサイト(Ver.3)」を全車に標準装備した。

リヤバンパー左右両端に内蔵するミリ波レーダーで斜め後ろ側にいる車両の存在を知らせる「スバルリヤビークルディテクション」と、ステレオカメラで前方の光を検知しハイ/ロービームを自動で切り替える「ハイビームアシスト」は、「アドバンスドセイフティパッケージ」として「1.6iアイサイト」以外のグレードにオプション設定。ステアリング操作に連動して進行方向を照らす「ステアリング連動ヘッドランプ」は、「2.0i-Sアイサイト」に標準装備、それ以外のグレードにオプション設定されるLEDヘッドランプとともに装着される。

また、SGPの採用により、引っ張り強度1470MPaのホットスタンプ材をBピラーに使用するなど高張力鋼板の使用部位を拡大したほか、フレーム断面拡大、荷重伝達経路の多重化、前述の骨格構造スムース化などを行い、安全面に大きく寄与する車体強度を先代に対し40%向上させつつ重心を5mm低下。さらに、運転席ニーエアバッグを含む7つのエアバッグを室内に配置したほか、歩行者との衝突を検知すると自動でAピラーやフロントガラス下部を覆う「歩行者保護エアバッグ」を全車に標準装備している。

インプレッサ譲りの走りと安全性能に、クロスオーバーSUVならではの悪路走破性とカジュアルかつ迫力あるスタイルがプラスされた新型XV。すでに納期は3カ月以上になっているということだ。夏休みに新型XVで海や山へ出掛けたい人は、今すぐスバルディーラーへ急げ!