3月初め、ルーカス・ポドルスキ(31歳・ガラタサライ)のヴィッセル神戸入りが決まった。加入時期は今夏になる模様だが、久しぶりの大物助っ人の到来に、サッカーファンの期待は膨らんでいる。


ガラタサライから神戸入りが決まった、元ドイツ代表のポドルスキ さらに3月15日には、サガン鳥栖がクラブHPにおいて、コロンビア代表のビクトル・イバルボ(26歳・カリアリ)を期限付き移籍で獲得したことを発表。2014年のブラジルW杯で3試合に出場した188cmの大型FWの加入で、鳥栖のエース・豊田陽平との強力ツインタワーが実現することになる。

 DAZNとの放映権契約で財政的に潤い始めたJリーグ。資金の使い道については様々な意見があるものの、やっぱり「世界」を感じさせてくれる選手を生で観たい。もちろん育成も大切だが、ビッグネームの存在はリーグ発展の起爆剤になりうるものだ。

 昨秋以降、ポドルスキ以外にもジャンルイジ・ブッフォン(ユベントス)やロビン・ファンペルシー(フェネルバフチェ)、パオロ・ゲレーロ(フラメンゴ)らの名前がメディアを賑わせてきたが、現時点でそれらの線はいずれも立ち消えになっている。

 そこで今後、日本に来る可能性がありそうな「狙い目」のビッグネームをリストアップ。移籍が実現すれば、Jリーグをさらに盛り上げてくれること間違いない5人の選手を今からチェックしておこう。

ラサナ・ディアラ(32歳)
元フランス代表

 チェルシーやアーセナル、レアル・マドリードでプレーしてきた32歳のセントラルMFは、2月中旬にマルセイユとの契約を解除した。現地報道によると、中国の山東魯能からのオファーを受けるために練習をボイコットしていたため、クラブ側も引き止めることをやめたという。ところが、この移籍は実現せず、現在はフリーの状態が続いている。

 無尽蔵のスタミナと抜群のボール奪取力を備え、かつて「クロード・マケレレ2世」とも呼ばれた実力者だ。ただし、これまでに所属したクラブのほとんどで監督やフロントと問題を起こしており、適切なモチベーションを与えられなければ、本来の力を発揮できないだろう。

2014年にディアラ側が一方的に契約を破棄したロシアのロコモティフ・モスクワからは、1000万ユーロ(約11億2000万円)の違約金を求められており、スポーツ仲裁裁判所で敗訴したディアラには支払い義務がある。それを肩代わりしてくれるクラブへの移籍を希望していることを考慮すると、リスクは高いかもしれない。

ロビー・キーン(36歳)
元アイルランド代表

 2002年、日韓W杯・ドイツ戦での試合終了間際にゴールを挙げ、側転からの前転というパフォーマンスで日本のサッカーファンの心を掴んだキーンも、次なる移籍先を探すひとりだ。

アイルランド代表史上最多となる146試合68得点を記録した真のレジェンドは、2011年から活躍の場をアメリカのメジャーリーグサッカー(MLS)に移し(2012年には短期でアストンビラにローン)、LAギャラクシーの一員として3度のリーグ優勝を達成した後、今年1月に契約が満了した。しかし、36歳となった今も現役続行の意向を持っており、最近は母国のシャムロック・ローバーズでトレーニングを積むなど、フィットネスの維持に努めている。

 高いフィジカルが求められるMLSでも能力を遺憾なく発揮し、5年連続2桁得点をマークしてきた。まだまだサビついていない非凡な決定力と、あの熱いパフォーマンスは、間違いなくJリーグを次なるレベルに引き上げてくれるだろう。

オレグ・グセフ(33歳)
元ウクライナ代表

 ウクライナ代表98キャップを誇る33歳のサイドアタッカーは、今年1月に13年半を過ごしたディナモ・キエフを離れた。引退も噂されていたが、先ごろ、代理人が本人に現役続行の意思があることを現地メディアに明かし、新天地を探しているという。

 本人が最も望んでいる移籍先は、MLSのクラブだというものの、欧州とアジアも選択肢には入っている。大一番での勝負強さとリーダーシップを備え、左右のウイングだけでなく右SBもこなす汎用性も魅力のベテランが、キャリア最後の舞台に極東行きを考慮してくれるといいのだが。

リカルド・カルバーリョ(38歳)
上海上港・元ポルトガル代表

 ジョゼ・モウリーニョ監督のもと、ポルトでチャンピオンズリーグを制した後、チェルシー、レアル・マドリード、モナコで活躍した知的なセンターバック。昨夏にポルトガル代表の一員としてEURO2016を制した後、モナコとの契約が更新されず、無所属の状態が続いていたが、2月に中国の上海上港と今年いっぱいの契約を締結した。

 しかし、中国スーパーリーグは今季から1試合に出場できる外国人枠を、これまでの4人(うち1人はアジア人枠)から3人に減らしたため、38歳のディフェンダーには出場機会がまだない。

アンドレ・ビラス=ボアス監督が指揮を執るチームには、フッキ、オスカル、エウケソンのブラジル人トリオに加えて、ウズベキスタン代表オディル・アフメドフが在籍しており、外国人の序列では5番手。クラブは複数の大会で優勝を狙っているとはいえ、カップ戦要員に成り下がるようなことがあれば、その状況に不満を持ち始めても不思議はない。

代理人のジョルジ・メンデスは中国との太いパイプを築いているため、アジアのライバルとなりうるJクラブへの移籍は渋るかもしれないが、各クラブはその動向を注視しておくべきだろう。

ジャクソン・マルティネス(30歳)
広州恒大・元コロンビア代表

 2014年、ブラジルW杯の日本戦で2ゴールを奪った30歳のストライカーも、カルバーリョと同じく、チーム内の外国人選手の序列で4、5番手となり、今季はまだ出番がない。

昨年1月に広州恒大に入団し、リーグ戦で3試合連続得点をマークして順調に滑り出したが、以降はケガもあって低迷。結局、中国での1年目はリーグ戦10試合4得点に終わり、かつてのポルトガル・リーガ3年連続得点王は期待を裏切ってしまった。

 クラブとの契約は2019年いっぱいだが、評価額は急降下しており、移籍金はさほど高くならないかもしれない。しかし、ネックは1250万ユーロ(約15億7000万円)とも言われる高額な年俸だ。ポドルスキの神戸での年俸が推定500万ユーロ(約6億円)であることを考えれば、非常にハードルは高い。

それでも、鹿島からファン・ソッコ、神戸からチャン・ウヨンなど、ここ数年は中国勢に戦力を引き抜かれてきた日本クラブだけに、その逆のパターンも見せてほしいところだ。

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