裏口入学を許した梨花女子大学の学生も戸惑い

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 2003年の対北朝鮮送金疑惑、2012年の李明博前大統領の私邸用地不正購入疑惑…韓国を揺るがす大事件のたびに立ち上がった『特別検察チーム』、通称『特検(トツコム)』。彼らは大統領や司法関係者、検察の同僚などがかかわる、政権がらみの重大スキャンダルを捜査するための特別チームだ。

 チームの構成員は、弁護士や検事などさまざまなキャリアを持った精鋭たち。活動期間があらかじめ決まっていることも特徴だ。弁護士として活躍していたパク・ヨンス(61才)が特別検察官を務め、彼を特別検察官補4人が支える。その下に検事や弁護士などのキャリアを持つ検察官約100人がチーム一丸となって、今、韓国最大の疑惑に挑んでいる。

 特検は始動したその日(2016年12月21日)に、朴槿恵(64才)の大親友、実業家でシャーマンの崔順実(チェ・スンシル・60才)の娘、ユラ(20才)に逮捕状を出した。その理由は、「梨花(イファ)女子大学への裏口入学は、大学への業務妨害に当たる」というもの。

 逮捕時に公開された顔は「整怪(ソンケ)」と呼ばれるほど整形を繰り返しており、国民に衝撃を与えた。

 キム・ヨンジェ医院のあった江南から車で20分ほど走った、梨大(イデ)という駅に梨花女子大はあった。建物内は車で移動できるほど広く、レトロな洋館があるかと思えば、ガラス張りの近代的な建物もあり、映画館まで併設されている。

 日本でいえばお茶の水女子大の頭脳と東京女子大の華やかさを持った韓国女子のトップが集まる大学。

 現役の梨花女子大生は、日本からやってきたマスコミの取材に答えていいのかどうか戸惑いながらも、ポツポツと話してくれた。

「顔が変わってるからわからないってこともあるかもしれないけれど、報道があるまで、見たこともなかった。入学してきた時、大統領と近しい政治関係者の娘が入った、と噂にはなりましたが…。実はその時から不正入学じゃないかと、内心みんな思っていたんです。だけどもしそれが本当だったら、あまりにも大きな問題になってしまうから、誰も表立って言えずにいました。韓国では、試験のあとに毎年自殺者が出るほど、大学入試は過酷ですし、受験は一生を左右する大問題ですから」

 艶やかな黒髪に薄い化粧、ゴヤールのバッグを持った典型的な韓国のお嬢様といった雰囲気の彼女だが、「受験勉強は1日20時間近くやり、今も良い成績を取るため、図書館に通い詰める日々だ」と苦笑いした。

 韓国在住の30代、お受験ママは受験の過酷さにため息をつく。

「子供をエリートにしようと思ったら、小学生の頃から塾と家庭教師は必須です。小学校の授業のあとに夜10時まで塾。家に帰ったら夜中の1時まで家庭教師。その後、予習復習をして寝るのは3時を過ぎてから。そのうえ、住んでいるところによって受験できる学校が変わってくるから、子供のために家賃の高い地域に引っ越す親も多いです」

 一家総出で努力してやっとつかんだはずの学歴も、結局お金と癒着がものをいうのだろうか? ユラはサムスンから献金されたとされる80億ウォンを使って最高の馬を買い、乗馬の大会で入賞。その経歴をもって入試を突破した。梨花女子大の入試科目で「乗馬」が選択できるようになったのは、彼女が入学した2015年からだった。

「私たちは、自分が努力したのにあの子はズルいと怒っているんじゃないんです。努力は、自分のためにやっていることだから。ただ、彼女の件でこの大学の評判が落ちてしまうこと、そして私たちが尊敬していたはずの教授たちが不正を見て見ぬふりしていたことがつらかったです。だけど、彼女に逮捕状が出て、入学が取り消されたことで、気持ちにも一区切りつきました」(別の梨花女子大生)

※女性セブン2017年2月9日号