バーチャル・リアリティは現実に近づいている AP/AFLO

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 囲碁や将棋などの世界で「人工知能と人間の対決」を見る機会が増えた。テクノロジーのさらなる進化は、この世界に何をもたらすのか。世界最先端の研究を続ける筑波大学助教・落合陽一氏が、近未来の姿を解説する。

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 人工知能(AI)やバーチャル・リアリティ(VR)の進化はあちこちで報じられていますが、そのスピードはおそらく、多くの人の理解を超えたものになっていると言えます。

 たとえば、グーグル翻訳。少し前まで、機械翻訳は「使い物にならない」と言われていました。が、この1年だけをとっても、その進歩は劇的なものがあります。

 日本語の論文は冒頭にたいてい日本語と英語で概要が書いてあります。これを、研究者が自分で英語に訳したものと、近頃のグーグル翻訳にかけて英語に訳したものを比べると、「圧倒的にグーグル翻訳の勝ち」のケースが多いのです。

 前者は日本人にありがちな直訳風の英語ですが、グーグル翻訳はほぼ完璧で自然な英語です。そのため僕の研究室で論文を翻訳する際にも、英語翻訳業者を使わなくなりました

 グーグル翻訳にかけてから、不自然な部分だけ自分で直せばいい。これで翻訳経費を年間100万円ぐらい節約できます。

 翻訳という分野に限れば、すでにシンギュラリティ(人工知能が人間の能力を超える技術的特異点)が実現してしまったわけです。

●おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大学助教。メディア・アーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ。著書に『これからの世界をつくる仲間たちへ』『魔法の世紀』がある。

※SAPIO2017年2月号