先日のチャンピオンシップを制した鹿島。ただレギュレーションには疑問が残った。(C)SOCCER DIGEST

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 先日、チャンピオンシップの決勝戦が行なわれ、アントラーズが今年の王者に輝いたね。年間で最も多くの勝点を稼いだレッズがなぜか最後に涙を飲む……これまで僕は2ステージ制の矛盾点を指摘してきたけど、やっぱり腑に落ちない終わり方だったよ。試合を見ながらクエスチョンマークを浮かんだ人も多いんじゃないかな。
 
 これで困るのが、今月20日に行なわれるJリーグアウォーズで誰をMVPに選ぶのかということ。チャンピオンシップ決勝の第2戦で2ゴールを奪った金崎は第2ステージでは不振に陥っていたし、キャプテンの小笠原はシーズンを通じてスーパーな活躍を見せたわけではない。逆にフロンターレの中村は質の高いパフォーマンスを見せたけど、今年もタイトルに手が届かなかった。レッズの阿部、西川にしたってシーズンの終わり方にケチが付く。
 
 でも最後まで突っ込みどころが満載なのが今のJリーグらしいっていうことなのかもしれないね。結局は来年から1シーズン制に戻すことへの説明もないままだし、今年のMVPだって明確な理由がないまま発表される可能性だってあるよ。
 
 大袈裟な言い方かもしれないけど、Jリーグの設立から25周年目で、リーグの価値に大きな傷がついたと思うんだ。2年前に財政面の問題で2ステージ制再導入へ大きな舵を切ったわけだけど、結局は当初設定していた5年に満たない期間で終わることになった。これは暗に変革は失敗でしたと言っているようなもんだよ。
 
 来季は大型スポンサーが付いたことで、優勝賞金が3倍にも膨れ上がるというけど、各クラブにどれだけの恩恵があるかは未知数だ。
 そのなかで、今年のリーグ戦を振り返って最も話題になったのはグランパスの降格だろうね。2010年にはリーグ優勝を果たしたオリジナル10のチームが残念ながら2部へと落ちてしまった。この事実を見て、つくづくJリーグには“ビッグクラブ”が存在しないと感じるよ。
 
 結局は親会社の意向次第でチームの強化方針は変わるし、常に同じ指標を持ちながらチームを作っているクラブがあまりにも少ない。
 
 グランパスにしたって来年に向けてはトヨタ主導でチームを編成していくとの話もあるけど、どうなるか注目だね。
 
 一方で、3年ぶりの昇格を決めたセレッソも来年は注目の的になりそうだ。でもセレッソだって2014年には柿谷、南野らを海外クラブに送り出し、フォルランやカカウなどビッグネームを獲得してJ1での優勝を目指したけど、残念なことにJ2に降格した“失敗例”がある。
 
 今年は柿谷や杉本、山口らを呼び戻して昇格という目標を達成したけど、これはかつてのスタートラインに戻っただけ。ここからどう上積みをしていくのか。再び大物助っ人を呼んでスケールアップを目指すのか、アカデミーで育てた選手たちを中心にチームを作るのか、クラブとしての舵取りが重要になるよ。
 また、レギュラーシーズンが終わって大きな関心が持たれるのは、各選手の移籍動向だろうね。今年は各クラブが例年になく積極的に動いているようだけど、それはさっきも話した来季からの優勝賞金の増額が念頭にあるからだと思うよ。
 
 フロンターレの大久保はFC東京への移籍が決定的だと言われるし、サンフレッチェの佐藤は実際にグランパスへの移籍を決めた。
 
 ただ、僕のなかで気になっているのは日本の移籍市場の“回転寿司化”なんだ。結局、クラブは選手補強を考えた時に、計算の立つ国内の選手を手にいれようとする。つまりは、これまでと同じレーンに乗った選手(ネタ)を取っ替え引っ替えにしているだけだと思うんだ。
 
 これじゃ戦力値のマイナス分をトータル「0」にすることはできるかもしれないけど、大きなプラスをもたらすのは難しいんだ。国内だけで戦うなら良いかもしれないけど、アジアで勝つことを目指すなら国外から大きな戦力を迎えなくちゃ厳しいよね。
 
 かつてACLを制したレッズを思い出してみてよ。ポンテ、ワシントンという強力な助っ人がいたことでチーム力がグンと上がったよね。ああいう成功例を考えながら、チームを強化を進めれば、リーグも盛り上がると思うんだ。
 
 どこまで信ぴょう性があるか分からないけど、サガンがイタリア代表のブッフォンを獲得しようとしていたという話を聞いたけど、そういうチャレンジ精神が出てくると面白いよ。
 
 いずれにしても各クラブが来季に向けて良い準備をしてくれることを願っている。