DeNA本社が入る渋谷ヒカリエ photo by Kakidai CC BY-SA 3.0

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 大手ITベンチャーのDeNAが揺れている。同社の新規事業の柱であった「キュレーションプラットフォーム事業」に属する10媒体のWebメディアのうち、9つは全記事が非表示に、残る1つの女性向けメディア「MERY」も9割以上の記事が非表示となり、広告主や広告代理店にも動揺が広がっている。同社が多額の特別損失を計上する恐れもある。

◆医療メディア「WELQ」の問題点

 もともと医療関係者が監修するわけでもなく、信憑性に甚だしく問題がある記事を大量生産してGoogle検索で上位に表示されることが多い医療情報メディア「WELQ」に対して批判が集まっていたところ、有名ブロガーやネットメディアの追及によって、ライターに安価で「コピペ」の記事を書かせるずさんなコンテンツ制作の体制が明らかになり、会社側が対応した形だ。

 ゲーム事業がじわじわと衰退してきた同社にとって、キュレーションプラットフォーム事業は決算説明資料でも「2-3年後の成長ドライバー」と位置付けられるなど有望な分野とされていた。その影響はどれほどなのだろうか。改めて決算書からDeNAの数字を追いながら考察した。

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’13年3月期に25%以上という非常に高い純利益率を記録して以降、ゲーム事業の頭打ちに伴って、DeNAの純利益率はほぼ一直線の右肩下がりを続けてきた。’16年3月期には全盛期の約4分の1にまで落ち込んでいる。

◆成長著しい新規事業セグメント

 ただし、売上収益の推移で見れば、’16年3月期には前年比で増収。直近の’17年期第2四半期では前年同期比でわずかながら増収増益。’15年から資本提携を結んでいる任天堂とは、スマホ向けゲームアプリ『スーパーマリオラン』リリースに向けて協業が進んでいる。

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 同社は「選択と集中」の色合いを鮮明にしてきた。10月6日には創業事業の流れを汲む「DeNAショッピング」事業の譲渡を発表すると、それから2週間も立たず10月18日には、DeNA史上最大の買収案件であるngmoco社を含む海外子会社の解散を発表した。

 代わりに同社が経営資源の集中度合いを高めているのが、利益はまだまだ出ていないながらも売上高の6%ほどを占めるようになった「新規事業・その他」セグメントである。

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 今回、問題になったキュレーションプラットフォーム事業のほかに、オートモーティブ事業の「Anyca(エニカ)」、創業者の南場智子会長肝いりの遺伝子情報サービス「MYCODE」、子会社化したアイドルや声優の動画配信のプラットフォームである「SHOWROOM」など広い領域に張っているのに加え、すでに黒字化している「エブリスタ」や「マンガボックス」といった事業も抱えている。その力の入れようはさまざまなところから見て取れる。例えば、セグメント別の従業員数では、ゲーム事業の人員が漸減しているのとは対照的に新規事業・その他の人数が急増しているのが見て取れる。

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 同社は新卒採用においても新規事業の魅力を前面に押し出したり、起業経験者に積極的にアプローチして優秀な人材をかき集め、DeNAの将来を支える柱をなんとか打ち立てようという姿勢が見て取れる。

 キュレーションプラットフォーム事業は「iemo」と、MERYを運営する「ペロリ」の買収によって立ち上がったが、優秀な起業家をDeNA内部に取り組みたいという”人材獲得”の意味合いもあった。この他、新規事業として始まり、現在は子会社化している「SHOWROOM」の代表取締役・前田祐二氏は、外資系証券会社に勤務した後に起業しようとしていたところを、南場会長が直々に口説いて新規事業の担当者にしたという経緯がある。