【日産 GT-R 試乗】速いだけじゃない!2017年モデルが見せる“意外な一面”とは?

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GT-R」がこんなにラグジュアリーでいいのでしょうか…!? 日産「GT-R プレミアムエディション」(1170万5040円)の2017年モデルに試乗して、ビックリしてしまいました。

和製スーパースポーツとして、どうしてもメカニカルな部分に焦点が当たりがちなGT-Rですが、一方で、プレミアムモデルとしての役割も担っているので、魅力的なボディペイントは大事なポイントです。

試乗車のボディカラーは、新色の“アルティメイトシャイニーオレンジ”(32万4000円のオプション)。“洗練されたキャラクターを表現”した色なのだとか。塗装方法も凝っていて、平滑性を高めるためカラーアルミを蒸着させた下塗りに、4層の上塗りを施すという贅沢な仕上げ。ノーマルカラーとは一線を画した、ちょっと“大人な”地味派手カラーです。

プレミアムエディションの特権、オプションの“ファッショナブルインテリア”(54万円)にもカラーバリエーションが追加され、従来のアンバーレッド、アイボリーに加え、タンとアーバンブラックが選択可能となりました。

セミアニリン本革シートがおごられた、これまた贅沢なインテリアですね。もちろん、ドアの内張り、インパネ、シフトレバー、そしてステアリングホイールなどにも、タンのレザーが使われます。外装色と併せ、まさに大人向けのしつらえといえるでしょう。

■意外なほどスムーズで静かな2017年仕様GT-R

このように、いかにも“プレミアム”ないでたちとなった17年モデルのGT-R(のプレミアムエディション)ですが、冒頭で「こんなにラグジュアリーに…」と驚いたのは、そんな内外装よりも、むしろそのドライブフィールに、です。ご存知のようにGT-Rには、トランスミッションや足まわり、そして、乱れた挙動を正すVDC-Rを個別に設定する“セットアップスイッチ”が設けらます。

いささか軟弱なドライバー(←ワタシのことです)は、まずは前ふたつを“燃費重視”と“コンフォート”にセットして走り始めます。すると、どうでしょう! 歴代のGT-Rでは見られなかった、穏やかで静かな走りを披露するではありませんか!! サスペンションがしなやかに動いて、路面の凹凸を上手に飲み込みます。スムーズですね。

その上、車内の静粛性が高い。今までのGT-Rでは、停車していても走行中でも、絶えず駆動系まわりから擬音系のノイズが発せられて、それがまた「スペシャルなクルマに乗っている!」感覚を強く醸し出していたのですが、新しい2017年モデルでは、その手の音がすっかり後景に退きました。最新モデルは「吸音材、遮音構造を徹底的に見直した」と謳われていますが、その効果がハッキリと表れています。

「意外!?」な気分のまま高速道路に乗ると、そのドライブフィールに、ハイパフォーマンスGTらしい懐の深さを感じます。3.8リッターV6ターボエンジンのブ厚いトルクの海にたゆたいながら、クルマは進む。アクセルペダルをわずかに踏み増せば、実際、そのとおりに加速するのですが、高いポテンシャルのわずかな部分を使うだけなので、普通に走っている限り、むしろ“鈍く”感じられるほどです。

1台ごとに手組みされるVR38DETTエンジンは、「GT-Rニスモ」由来の“気筒別点火時期制御技術”を搭載。これまでより20馬力アップの最高出力570馬力、同0.5kg-m太い65.0kg-mの最大トルクを発生します。2017年モデルのプレミアムエディションは、車重が20kg増の1770kgになっていますが、ことパワーウエイトレシオに関しては、旧型3.18kg/馬力、新型3.11kg/馬力と、動力面でも向上を果たしています。

実は、新しいV型6気筒エンジンは、アウトプットの増大に伴い、ピークパワーの発生ポイントが6400→6800回転へ、最大トルクが3200回転〜 → 3300回転〜へと引き上げられています。日常的には、街中、高速道路とも、せいぜい2000回転ほどしか使いませんから、宝刀はほぼ、さやに収められたまま…。

いざ、鯉口を切って白刃を光らせると…って、スイマセン、歴史小説の読み過ぎですが、つまりトルクに頼ったクルージングから、回転を上げてパワーを引き出す走りに変えると、性格が一変! 研ぎ澄まされたレスポンスと、文字どおり電光石火の走りを見せます。強烈な加速ゆえ、周囲の情景がコマ落としになる…と同時に、彼方に飛んでゆく運転免許の姿もチラつくので、「殿中でござる!」との良心の忠告に従った方が良さそうです。

2017年モデルのGT-Rは、前後バンパーの形状に手が入れられ、フロントの開口部は広がり、また、バンパー左右端では壁を立てたかのような空力処理が目を引きます。この処理を引き継いで、サイドシルの前部が張り出し、流れてきた風を素直に受け流す工夫が施されました。

内装面では、パドルシフトがステアリングホイールといっしょに回るタイプに変更されました。そのほか、センターコンソール上部の液晶が、7インチから8インチに拡大され、手元で操作するマルチファンクションスイッチ(ダイヤル)がトンネルコンソール上に配置されたことが新しい。ドライバーにはうれしい装備ですね。

2007年の誕生以来、実用的な“300km/hカー”を標榜するGT-R。前出の“軟弱モード”(!?)のまま走ると、もしかしたら250〜300km/hまでの過程や、スプーン(鈴鹿サーキットの高速コーナー)での挙動がこころもとなくなる、かもしれませんが(あくまで推測です)、その場合、セットアップスイッチをそれぞれ“Rモード”にすればいいだけのこと。無敵のスタビリティカーにして、ハードなコーナリングマシンに変わること請け合いです。2017年モデルは、サスペンションの改良によってスタビリティ(直進性)が上がり、ハンドリングの正確さも向上したそうです。

何はともあれ、乗り心地が良くなって、車内が静かになった今回の改良は、新しいGT-Rオーナーにとっては、いいことばかりです。プレミアムスポーツのうちの、“プレミアム”の部分が特に強化された2017年モデル。ユーザーの裾野を広げ、次期GT-Rにつながる結果となればいいですね!

<SPECIFICATIONS>
☆GT-R プレミアムエディション<MY2017>
ボディサイズ:L4710×W1895×H1370mm
車重:1770kg
駆動方式:4WD
エンジン:3799cc V型6気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:6AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:570馬力/6800回転
最大トルク:65.0kg-m/3300〜5800回転
価格:1170万5040円

(文&写真/ダン・アオキ)