米FDA、ホメオパシー商品の利用中止、廃棄を勧告 乳児用の錠剤、ゲルで有害事象続く
米国食品医薬品局(FDA)は、乳歯が生え始めた乳児向けとされている米ハイランド(Hyland's)社の「Teething tablets(錠剤)」や「Teething gels(ゲル)」といったホメオパシー用商品で、有害事象の報告が2010年以降続いており、これらの製品の使用中止と廃棄を勧告している。
CNNの報道によると、すでに米国内の大手ドラッグストアチェーンでは取り扱いを中止し、同種の他社製品も廃棄したという。
FDAによると、確認されている有害事象はてんかん発作や呼吸困難、極度の眠気、筋力低下、皮膚の紅潮、便秘、排尿困難などで、一部の死亡事例も関係が疑われており、これらの症状が確認されている場合は、速やかに医療機関を訪れるべきだと警告。
また、FDAはすべてのホメオパシー商品の安全性も有効性も確認しておらず、販売店も責任を負わないため、利用する場合は常にリスクがあることを理解するよう呼びかけている。
ホメオパシーはエビデンス(科学的根拠)に基づかない民間療法の一種だが、欧米では18世紀ごろから存在していたため、代替医療とみなされることもある。「レメディー」と呼ばれる何らかの成分を極めて薄く希釈したものが処方されるが、「Teething tablets」と「Teething gels」には強い毒性を持つベラドンナ由来の成分が含まれており、FDAは2010年から危険性を訴えていた。
ハイランド社は含まれているベラドンナは希釈されており、有害事象と関係すると示す証拠はないとしているものの、FDAが現在おこなっているサンプル調査では、「Teething tablets」に含まれるベラドンナの分量は錠剤によって大きく異なり、過剰摂取の危険性も十分にあるという。
勧告は2016年9月30日、FDAの公式サイト上で発表された。当該商品はインターネット通販サイトなどでも取り扱われ、日本でも購入可能な状態になっており、注意が必要であると考えられる。
医師・専門家が監修「Aging Style」