ラジオを聞いていると始まる道路交通情報。朝や夕方のラッシュ時や週末などに各地の一般道で渋滞発生の情報が流れる。その多くは「おなじみの場所」であり、渋滞の名所などとも呼ばれる。渋滞に巻き込まれるとフラストレーションが高まるが、中国人にしてみれば「そんなもの渋滞ではない」と思っているかも知れない。(イメージ写真提供:123RF)

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 ラジオを聞いていると始まる道路交通情報。朝や夕方のラッシュ時や週末などに、各地の一般道で渋滞発生の情報が流れる。その多くは「おなじみの場所」であり、渋滞の名所などとも呼ばれる。渋滞に巻き込まれるとフラストレーションが高まるが、中国人にしてみれば「そんなもの渋滞ではない」と思っているかも知れない。

 中国メディア・南方財富網は10日、「東京ではどうして渋滞が起きないのか」とする記事を掲載した。東京で渋滞が起きないはずはないのだが、北京や上海といった中国の大都市における絶望的な渋滞の経験者から見ると「東京では渋滞はない」ということになるのだろう。

 記事はまず、東京で渋滞が起きない理由について、維持費や駐車場代の高さ、鉄道を中心とした非常に便利な公共交通システムが発達していることや、メンツのために自動車を買う風潮がないことから、都内を走っている自動車の台数自体が少ないと説明している。このあたりは、よく見かける論理であり、確かに的を射たものだろう。

 記事はこのほかに、幹線道路に繋がる小さな道路が、毛細血管のごとく張り巡らされている点にも注目。中国とは異なり、大きな幹線道路が小さな道路によって接続されており、これらの道路が幹線道路の激しい渋滞を防ぎ、ある程度の速度で走行できる状況を作り出していると解説した。

 大きな国道や県道の「抜け道」として市道レベルの道路が整備されており、1カ所に交通量が集中するのを防いでいる点は、確かにありそうだ。ただ、その「抜け道」が住宅街の中の生活道路となると、地域住民の安全を脅かす問題が生じることになる。

 記事はさらに、1970年代ごろの「交通戦争」と呼ばれる時代を経て、ドライバーの運転マナー改善が積極的に進められたことも、日本の大都市でスムーズな自動車交通が確保されている一因であると紹介している。

 中国の大都市で激しい渋滞が発生する理由を一言で言ってしまえば「自動車文化の未成熟」ということになるのかもしれない。人間と自動車とのつきあい方が、社会インフラ的にも、ユーザーの考え方的にも成熟していないのだ。見栄のために自動車を購入するような風潮が弱まり、より実用的な視点で自動車という乗り物を捉えられるようになれば、自ずと今のような非常に激しい渋滞は解消されていくはずである。(編集担当:今関忠馬)(イメージ写真提供:123RF)