山口の劇的決勝弾で勝利したとはいえ、苦しい戦いを強いられているのは明らか。今以上に激しい競争原理を働かせ、成長スピードを促進したい。 写真:小倉直樹(サッカーダイジェスト写真部)

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【ロシアW杯アジア最終予選】日本 2-1 イラク/10月6日/埼玉スタジアム2002
 
「最後の最後まで、誰ひとり(勝利を)諦めることはなかった」
 
 75分にベンチに下がった岡崎慎司は、山口蛍の劇的な一撃で勝利した試合をそう振り返った。そして何より、途中出場した選手が結果を残すことは、チームの“相乗効果”を生むと分析する。
 
「蛍は試合に出たりしていましたけど、ベンチスタートの選手が結果を出すと、『俺らもやれる』とサブのモチベーションにつながる。(小林)悠や(浅野)拓磨も、出場できて良い刺激になっただろうし。俺は、誰が出てもこのチーム(の力)はそこまで変わらないと思っています。誰ひとり『俺が出るべきだ』という選手はいない。お互いに特性を知っていて、もっと良いチームになり得る伸びしろがあるかなと」
 
 ただ、ここで少し引っかかるのは、「俺が出るべきだ」という選手はいない、という部分だ。
 
 協調性があり、“輪”を大切にすることは、日本らしいと言えば日本らしい。「みんなで目指して行く」(岡崎)ことで一体感も生まれるだろう。しかし、それ以上に「ライバルを蹴落としてでも出場してやる」という気概を持った選手同士がしのぎを削り、競争原理が働かなければ、本当の意味でチームの底上げにならないのではないか。清武弘嗣や原口元気らロンドン五輪世代が徐々に勢力を増しているとはいえ、他国のレベルアップを考えれば突き上げはいくらあってもいいくらいだ。
 
 岡崎は、イラク戦で改めてワールドカップ予選の厳しさを感じたという。「イラクも普通に強かったし、UAEも強かった。今後やる相手も強い」(岡崎)なかで本大会の出場権を手にするには、ギラギラ感や狡猾さを出していく必要があるだろう。11日に控えるオーストラリア戦について、岡崎は次のように見解を述べる。
 
「自分たちも(所属クラブで)サブが多いという状況とはいえ、オーストラリアも昔に比べるとヨーロッパで活躍する選手は減ってきている気がする。お互いにプライドもある反面、確信的な自信はない分、間違いなく接戦になるかなと。実力的には五分五分だけど付け入る隙はある。こういう相手に勝って行ったチームがワールドカップに出られると思います」
 
 難敵・オーストラリアとの一戦が、今の日本代表が“殻”を破るきっかけになることを期待する。

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