クラウドストレージサービスのInfinitが、Dropboxによって発表された新プロジェクトが自社サービスの模倣であると批判をするべく、強烈な皮肉をネーミングに込めた新プロジェクト「Dropboxe」を発表しました。

Infinit announces Project Dropboxe

http://blog.infinit.one/infinit-announces-project-dropboxe/

Infinitは2012年にフランスで設立されたクラウドファイルストレージサービスを提供する企業で、DropboxやGoogleドライブのようにクラウド上に作られたストレージ領域を提供するのではなく、ローカルのストレージをすべて連結させた巨大な「仮想ストレージ」をネットワーク経由で使えるようにするストレージ連結サービスを提供しています。

下の図がInfinitのサービスの模式図。デスクトップPCやノートPCだけでなく、スマートフォンやNAS、Dropboxに代表されるオンラインクラウドストレージなど、ユーザーが利用可能なあらゆる端末のすべてのストレージ容量を合わせた「巨大なストレージ」をクラウド上に仮想的に再現して、ネットワークに参加するクライアント端末から、直接、すべてのデータアクセスを可能にするサービスです。各端末がそれぞれ持っているストレージ容量を余すことなくフル活用できる上に、ローカルに保存していないデータにアクセスしたり書き換えたりという作業が、一般的なクラウドストレージサービスよりもレスポンス良く行える高い操作性も兼ね備えているとのこと。



このInfinitのクラウドストレージサービスに対して、クラウドストレージサービス大手のDropboxは、ほとんど同じ内容の新サービスを「Project Infinite」として発表しました。

A revolutionary new way to access all your files | | Dropbox Business Blog

https://blogs.dropbox.com/business/2016/04/announcing-project-infinite/

Dropboxの新プロジェクト「Infinite」のデモの様子は以下のムービーで確認できます。

Project Infinite Demo - YouTube

このサービス「Infinite」は、Infinitのストレージ連結サービスと内容がほとんど同じだけでなく、ネーミングも語尾に「e」をつけただけ、ということから、Infinitを意識していることは明らかです。

このDropboxの行動に対して、なんとInfinitは、Dropboxの語尾に「e」をつけた新プロジェクト「Dropboxe」を始めると発表しました。なお、新プロジェクトのDropboxeは、従来のInfinitのストレージ連結サービスになかった目新しい機能の追加はないことから、単にDropboxに対する強烈な皮肉をこめた「非難」の意思表示であることがうかがえます。

InfinitのGaëtan Rochel氏は、公式ブログで、「ごめんね、Dropbox。我慢できなかったんだ。私たちが過去数年にわたって作り上げてきたサービスに似た『何か(Infiniteのこと)』に対して、私たちの名前を使うとあなたたちが決めたことは、とても光栄に思うよ」とコメントしています。