学生の窓口編集部

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カリフォルニアで大規模な山火事が発生した。過去最大級の規模と言われているが、50年以上消せないでいる火事があるのはご存じだろうか?

アメリカのセントラリアは炭坑の街として栄えたが、50年以上前に起きた火災が消火できず、いまだに燃え続けている。インドのジャリア地区も100年前から火災を繰り返し、9万人の移住が計画されたほど危険なエリアになっている。自然の猛威を前にしたら、人間は逃げ出すことしかできないのだ。

■燃える街・セントラリア
50年以上燃え続けている街は、アメリカのペンシルベニア州にあるセントラリアだ。石炭がとれるため1854年に開発が始まり、わずか0.6平方kmと小ぶりながらも炭坑の街として繁栄した。ところがおよそ100後の1962年に火災が発生、現在も燃え続けている。火災の原因として有力なのはゴミの焼却説で、これが鉱脈に移ったとされている。地下で起きた火災が消火できずに「燃える街」となってしまったのだ。

火災が起きると有害な一酸化炭素が発生するのは当然だが、地中で高温を発すると、
 ・地下水が蒸発し、地面が陥没(かんぼつ)
 ・そこから有毒ガスが漏れ出す
と、時間をかけてジワジワと被害が広がる。バーベキューでご存じのように、炭は火が着きにくいが、燃え出すとなかなか消えない特徴がある。地下だけに消火活動も思うように進まず、1984年に政府は消火を断念、住民を移住させる計画へと切り替えたのだ。

当時の住民は千人ほどで、移住が困難な規模ではなかった。ところが、なかには移住に反対し住み続けようとするひともいたため、
 ・1992年 … 建物を接収(=政府が取り上げる)
 ・2002年 … 郵便番号を取り消す
をおこない、街としての機能を消し去る強攻策にうって出た。現在は「立ち入り禁止」エリアになっているが、それでも何人かが住み続けているというから、人間の郷土愛がいかに強烈かをうかがい知ることができよう。

■危険よりも石炭が大事?
インドにはセントラリアをはるかに上回る危険地帯がある。ジャリア地区は70カ所・450平方kmの広範囲が、いまでも燃え続けているのだ。
ジャリア地区も炭鉱地帯で、1916年から火災を繰り返し、現在に至る。セントラリアと異なり、鎮火は可能と考えられているが、残念ながら消火活動の気配はない。火災の影響は100万人にも及ぶと試算されているのに、「放ったらかし」状態が続いているのだ。
近年になって政府が移住計画を立案し、セントラリアよりもはるかに大規模な9万人が対象となったが、移住したのは1,000世帯余りとごくわずか。かりに10人家族だとしても、応じたのは1万人に過ぎず、ほとんどのひとは危険地帯に住み続けている計算である。
こちらも郷土愛かと思いきや、目当ては石炭で、拾っては売り生計を立てているというから人間はたくましい。セントラリアの火災が自然鎮火するには、あと250年かかると推測されているので、野外ではくれぐれも火の用心を。

■まとめ
 ・ペンシルベニア州のセントラリアは、50年前の火事がいまだに続いている
 ・建物は接収され、郵便番号もないリアル・ゴーストタウンになってしまった
 ・インドのジャリア地区でも炭鉱火災が続いている
 ・9万人を対象にした移住計画が立てられたが、ほとんどのひとが住み続けている…