仮に川島がイラク戦で先発に起用されれば、「欧州組だから優遇されるのか」という論争を加速しかねないが……。そういう意味でも、能力的に権田や西川に引けを取らない東口も含むGKのポジション争いは、大きな注目ポイントだ。
 さて、前述したミニゲームでは清武不在のトップ下にウイングとして招集されたはずの原口を置くなど、「おや?」と思わせる人材配置があった。
 
 しかし、3月シリーズの公開練習でスタメンについて大きなヒントを与えてくれなかったハリルホジッチ監督のことだ。ミニゲームでの選手配置をすべて鵜呑みにすべきではないだろう。
 
 どのメンバーで戦うにせよ、戦術的な見どころは縦への速さ、球際の強さに加えて、どんなストロングポイントを今度は披露してくれるかだ。「選手たちに伸ばして欲しいところがまだまだある」とも言っていたハリルホジッチ監督が、スピード、テクニック、パワーとおおよそ“3系統”に分類される招集メンバーの長所を引き出せるかという意味でも、90分通してのゲームプランは興味深い。

 6月16日のシンガポール戦に弾みをつけるためにも、イラク戦での勝利は必須だ。
 
 MFの長谷部は対戦相手のイラクについて「フィジカルが強くて、若いメンバーも多い。非常に良いチームで、アジアカップでも日本より良い結果(ベスト4)を残している」と言ったうえで、「それでも(アジアカップでは)直接対決で勝っている。今回はホームなので結果、内容とも圧倒するようなゲームをしたい」と力強く宣言してくれた。
 
 ハリルホジッチ監督曰く「ブラジル・ワールドカップやアジアカップでのトラウマを払拭する戦いが、ここから始まる」。自信に満ち溢れた表情、強気な口調でそう語る指揮官の真価が問われる戦いもまた、イラク戦から始まると言えるだろう。
 
「昨日のディスカッションでは多くの選手が私の目を見て話してくれましたが、何人かの選手はまだ疑問を抱いている。なにかを成し遂げるには確信が必要なんです」(ハリルホジッチ監督)
 
 その確信を得るためにも、イラク戦で敗北は許されない。
 
取材・文●白鳥和洋(サッカーダイジェスト編集部)