米中の技術覇権争いは、もはや遠い国同士の話ではなく、日常の買い物や仕事の効率にまで影響を及ぼしかねない段階に入りつつある。半導体とAIをめぐる巨大な投資合戦の裏側では、当事者たちの受け止め方がまったく噛み合っていないという構図があるようだ。
 
実業家のマイキー佐野氏は、自身のYouTubeチャンネルで公開した動画にて、アメリカの大手企業群が進める巨額の設備投資を切り口に、中国側の反応を「企業」「政府」「学術界」という三つの立場から読み解いている。佐野氏によれば、同じ投資拡大というニュースでも、見る立場によって評価がまったく異なり、そこに単純な善悪では語れない奥行きがあるという。
 
企業の現場からは、潤沢な資金に頼った投資の進め方を非効率だと冷ややかに見る声がある一方、限られた資源で成果を出そうとする新興AI企業の姿勢が対照的に紹介されている。低コストで同水準の技術を実現する動きに加え、無償で技術を公開する戦略が、海外勢の収益構造そのものを揺さぶりつつあるとの見方を佐野氏は示す。既存の大手企業も事業の軸足をAIへと移しつつあり、投資と収益化のバランスをどう取るかが業界内で共通の課題になっているという。
 
一方で国家という単位で見ると、雰囲気は一変する。政府サイドは、計算資源の差がそのまま将来の技術的な優位性につながりかねないという危機感を抱いており、自前で基盤を整える動きを急いでいるという。学術界でも意見は割れており、投資拡大を肯定する立場と、効率化がかえって需要を膨張させるという経済学の古典的な逆説を重んじる立場が並び立っている。かつて機械の改良が資源消費を減らすどころか増やしたという歴史になぞらえ、効率化の先に待つ現実を佐野氏は丁寧に描き出す。
 
企業は楽観、政府は警戒、学者は理論で対立するという三層構造こそが、この分野の複雑さを物語っている。効率と規模のどちらが最終的にものを言うのか、その行方を左右する視点は動画の後半で触れられており、周辺国の台頭とあわせて日本の立ち位置にも話が及んでいるという。
 
米中の技術覇権争いを注視するビジネスパーソンにとって、大きなヒントになるはずだ。

チャンネル情報

マイキー佐野です 経済・金融・投資・経営・最新の研究やニュースなど 様々なテーマについて、ズバズバ切り込んで話していきます~ 2021年より最新の学術理論、経営学、経済学、社会学を紹介するYouTube「マイキーの非道徳な社会学」を開始 現在はアカデミズム関係者・経営者・投資家・学生が参加するビジネススクールも運営