第十三回創元SF短編賞を受賞した「風になるにはまだ」を表題作とし、同設定の連作を一冊にまとめた笹原千波のデビュー単行本。収録六篇のうち、三篇が書き下ろしである。病気や障害などの事情を持ったひとびとが、生身を捨て、現実世界から情報世界へと移住することが可能になってからおよそ三十年。情報リソースに限度があるため、情報世界は現実と比べるとやや解像度が低いが、それでも以前と変わらない日常感覚を保って生