レポートオーシャン株式会社プレスリリース : 日本医薬部外品スキンケア市場は2035年に6,158.0百万米ドル、CAGR 8.35%で成長|機能性・エイジングケア需要が変える市場競争と事業機会
2025年は、日本医薬部外品スキンケア市場においてAIとデジタル技術が研究開発だけでなく、消費者との接点にも入り込んだ転換点となりました。資生堂は2025年9月、年間延べ56万人が利用する「エリクシール AIスキンアナライザー」にAIチャット機能を追加し、肌状態の測定結果と皮膚科学・化粧品学・店頭カウンセリングの知見を組み合わせ、個人の肌悩みや生活習慣に応じたアドバイスを提供する仕組みを開始しました。これは、オンライン上で肌を測定して商品を提示するだけではなく、肌状態の理解から商品選択、生活習慣への助言までを一つの体験に統合する動きです。 一方、花王も2025年に独自の「Kirei肌AI」を拡充し、顔画像から肌表面だけでなく肌内部の状態を含む77項目を評価・推定できる仕組みへ発展させました。顔画像1枚当たり10分以下で網羅的なデータ取得を可能にすることで、商品開発における仮説設定から検証までの高速化を目指しています。 これらの動きは、医薬部外品スキンケアにおいても「何を売るか」だけでなく、「誰のどの肌状態に、どのような根拠で提案するか」が競争力になることを示しています。
2026年――原料規格の更新と承認実務の高度化が、メーカーの開発力を左右する局面へ
2026年の市場では、AIやパーソナライゼーションだけでなく、製品を市場に投入するための規制対応能力が重要な競争軸となっています。厚生労働省は2025年3月に「医薬部外品原料規格2021」の一部改正を行い、一般試験法や規格各条を改正しました。さらに、改正後の規格については、既存製品を含めた移行上の取り扱いが定められ、2026年9月30日まで従前の規格による対応を認めつつ、2026年10月1日以降は改正後の規格への対応が求められるケースが示されています。 また、PMDAは2026年2月から3月にかけて、医薬部外品承認申請の実務担当者向け説明会を開催し、定義・審査概略・申請区分・新規性を有する医薬部外品の申請などについて情報提供を行いました。 こうした制度更新は市場成長を直接押し上げる要因ではないものの、品質管理や申請対応に強い企業と、単純な商品投入を狙う企業との間で競争力の差を広げる可能性があります。
2026年――海外展開でも制度対応がデジタル化、国内ブランドの輸出競争力に新たな追い風
2026年には、医薬部外品を含む日本製品の海外展開を支える行政手続きにも変化が生じています。厚生労働省は2026年8月1日から、医薬品、医薬部外品、化粧品などに関する輸出証明書の電子発給を開始し、電子署名付きPDF形式での発給を可能にしました。 日本医薬部外品スキンケア市場は国内需要だけで完結する市場ではなく、日本企業が蓄積してきた皮膚科学、処方技術、安全性評価、品質管理を海外市場へ展開できる余地も持っています。特にアジア市場では、日本製スキンケアに対する品質イメージと、敏感肌・エイジングケア・肌荒れ対策などの機能性ニーズを組み合わせることで、新たな販売機会を創出できる可能性があります。今後は、国内販売で確立した製品評価や顧客データを、海外向け商品開発とデジタル販売にどのようにつなげるかが、ブランドの成長速度を左右する重要なテーマとなりそうです。
