アップル、医療研究を助けるResearchKit発表。iPhoneユーザーからデータ取得、研究機関に直接送信

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米国で開催中のスペシャルイベント「Spring Forward」より。アップルは医学研究のためのフレームワークとして、iPhone医療データを取得し、大学や病院などの研究機関に送信する ResearchKit を発表しました。

ResearchKit は iPhone や iPod touch内蔵の加速度計、マイク、ジャイロスコープ、GPSなどを利用した医療研究支援目的のフレームワーク。データ提供に同意したユーザーのみ対象とします。参加可能な端末はiPhone 5/5S/6/6 Plusと、現行世代のiPod touch。

疾患ごとに用意されたアプリの出す指示に従って簡単な運動をしたり、質問に答えたりすることで、データの収集を行います。発表時点で用意されているアプリは喘息、乳がん、循環器疾患、糖尿病、パーキンソン病の5つ。アプリが取得したデータは、それぞれの疾病に関する研究に役立てられます。

特定の疾患を研究するにはたくさんのデータを蓄積することが必要ですが、研究に参加するためには、病院や専門の施設へ出向かなくてはなりませんでした。ResearchKitでは、iPhoneで取得できる範囲のデータを疾病の研究機関に提供することで、これまでよりも大規模なデータ収集を図ります。

各疾患のアプリは、基本的に当該の疾病に現在罹患しているか、既往歴のあるユーザーを想定しており、各アプリでは共通して、疾患に関する知識や、健康管理に役立つ情報などを提供しています。

Asthma Healthは、端末付近の大気状況や服薬タイミングのアラートを表示することで、喘息症状の自己管理を支援します。吸入器の使用タイミングや発作のトリガーとなる要因(運動やガスなど)を記録し、収集したデータは個別の治療方法を確立するための研究に役立てられます。

Share the Journeyでは、乳がん治療後の経過記録を行うとともに、長期間にわたる化学療法の効果について学べます。研究機関に対しては、睡眠時間、歩数、認知能力、身長、体重などに関する情報を提供します。

MyHeart Countは、日々の運動量やコレステロール値、血圧などを取得し、心臓発作や脳卒中のリスク計算を行います。データは、参加者の活動やライフスタイルが循環器疾患にどのように関係するのかを評価するために使用されます。

GlucoSuccessでは、身体活動の継続時間と強度、血糖値、体重、ウェストサイズなどを記録し、ダイエット情報を提供します。日々摂取する食事と身体活動が血糖値に及ぼす影響の調査に役立てられます。

mPowerは、歩行、発声、指タップと簡単な記憶ゲームを通してパーキンソン病の症状を記録/追跡することで、疾患の研究データを取得します。

なお、アップルではiPhoneが収集した上記のようなデータを取得することはなく、当該データは端末から直接医療機関に送信されるとのことです。

ResearchKitは、4月にオープンソースのフレームワークとしてリリースされます。将来的には米国外でも展開する予定です。