タバコにより年間約35兆円の損害を出すアメリカが10代の喫煙対策に乗り出す
By Alvaro Huirimilla Thiznau
未成年の喫煙は多くの国で禁止されており、日本でも20歳未満のタバコの喫煙は禁止されています。アメリカでは多くの中高生が喫煙を行っており、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が青年層の喫煙に関する調査結果を発表し、対策に乗り出しています。
Youth tobacco smoking rates putting millions at risk of premature death | CDC Online Newsroom | CDC
CDCの調査によると、アメリカでは高校生の22.9%、中学生の6.5%が過去30日間に一度は喫煙をした経験がある、とのこと。さらに、これまでの喫煙経験について問われると、高校生の46%、中学生でも17.7%がこれまでにタバコを吸った経験がある、と明かしています。青年期に喫煙習慣がある場合、その75%が大人になっても喫煙をやめないことも明らかになっているので、未成年の多くが喫煙経験がある、もしくは現在も喫煙しているという現状は大きな問題となっているわけです。
2014年の1月に発表されたSurgeon General's Reportsでは「現在の青少年の喫煙率が下がらなければ、将来的に560万人もの若者の寿命が平均よりも1〜17年ほど短くなる」という結論が出ていますが、CDCの代表であるTim McAfeeさんは「90%の喫煙者は18歳までに初めての喫煙を経験しており、青年層の喫煙抑止にもっと力をいれなければならなければなりませんが、私たちのタバコ規制プログラムはこれを後押しすることになるでしょう」とコメントしています。
また、火を使ったタバコだけではなく、高校生・中学生の電子タバコの使用に関する調査も公表されており、高校生の4.5%・中学生の1.1%が過去30日以内に電子タバコを使った経験がある、とのこと。電子タバコの身体への影響ははっきりしていませんでしたが、2014年に発表された報告書によると思春期の脳の発達に悪影響があることが明らかになっています。
また、CDCは葉巻の値段がタバコに比べて安く、通常のタバコでは使用が禁止されている果物やキャンディーの風味がするものも存在するため、中高生にも人気があることも問題視しています。CDCのBrian Kingさんは「若年層の喫煙を抑止するために、タバコの価格を上げるのも手段の1つで、アメリカ食品医薬品局(FDA)による『The Real Cost』キャンペーンに青少年の喫煙率を下げる役割を期待している」とコメントしています。
アメリカではタバコの害により、毎年約48万人が死亡し、年間2890億ドル(約35兆円)以上の損失が出ています。日本のように街中にタバコの自動販売機が置いてある、ということはありませんが、中高生でもタバコを簡単に入手できてしまうようで、そのような環境にも問題があるようにも思えます。