シンセサイザーなどの電子楽器やDJ/VJ用機材などのメーカーであるKORG(コルグ)は、ギターを演奏して初音ミクを歌わせることができるコンパクトエフェクター「MIKU STOMP」を10月下旬に発売します。今回はそんなMIKU STOMPを一足先に借りることができたので、いったいどのような演奏が可能になっているのか確かめてみました。

MIKU STOMP STOMP EFFECT | Effects | KORG

http://www.korg.com/jp/products/effects/mikustomp/

コンパクトエフェクター「MIKU STOMP」の本体はこんな感じ。一般的なギター用コンパクトエフェクターと同様の形状ですが、ツマミは1個だけでミクが大きくデザインされているのが特徴的。



大きさも一般的なエフェクターと変わりありません。



ギターを接続するジャック類も、右にインプット、左にアウトプットとなっておりコンパクトエフェクターの定石通りといえます。「初音ミクがギターで歌う」と聞くと何か特別な接続が必要なのかと思ってしまいそうですが、いつも使っているケーブルで接続するというシンプルなものになっています。



本体上部にはエフェクトの動作を知らせる赤色LEDと、ギターの入力レベルを示す黄色LEDを配置。その下には演奏するミクの歌い方を選択するセレクターがあり、8種類のプリセットと3つのユーザー用バンクが用意されています。今回はレビューできませんでしたが、10月下旬に発売される製品版では、iOS用アプリを使って自分オリジナルの歌詞をMIKU STOMPに流し込んで歌わせるという機能が使えるようになります。



プリセットのボイスは「Nyan(ニャン)」や「Pahh(パー)」、「Lahh(ラー)」などの単音を再生するタイプと、それらをランダムにつなげる「Scat」、そして本体内に内蔵された1000個の単語をランダムにつなげて発音させる「Random 1/Random 2」が用意されています。



本体下部にはエフェクトスイッチ。普通は足で操作することの多いスイッチですが、この製品に関しては踏んづけることに気が引けてしまうかも……。



それではさっそく試奏してみます。今回はハムバッカータイプのピックアップを搭載したギターと、シングルコイルのピックアップを積んだストラトキャスタータイプのギターを用意し、どのような弾き心地の変化があるのかも試してみました。



なお、接続の際にはギターとエフェクターの間に何も入れず、できるだけ直接つなぐことがポイント。MIKU STOMPは入力されたギターの信号をプロセッサで処理し、検知した音程をもとにミクの声を再生するという仕組みになっているので、入力はなるべくナチュラルな加工されていない状態のものがマッチするようです。今回は、「ギター」→「MIKU STOMP」→「サウンドインターフェース」→「モニタースピーカー」の順で接続して素の音を聴いてみました。



まず、いろんな声を使ってドレミを演奏してみたのが以下のムービー。若干の慣れは必要ですが、30分も弾いているとコツがつかめてほぼ思い通りの演奏ができるようになりました。ギターのアナログ信号を解析して発音させるという処理のため、実際の演奏とは少しタイムラグがあるのは致し方がないところですが、それよりも自分の演奏でミクの声がでるということに新鮮な感動を覚えます。

KORG 「MIKU STOMP」にプリセットされている声の種類はこんな感じ

演奏の際に気をつける必要があるのは、弾いていない弦はしっかりミュートして余計な音を出さないことと、ピッキングをしっかりすること、そしてギターのボリュームなどを調節して、本体の黄色いLEDが点灯する直前の状態で演奏することの3点です。なお、ギターシンセとは違って和音の演奏には対応していないとのことです。なお、ギターの種類の違いによる変化はあまり感じられませんでしたが、傾向としてはフロントピックアップを使い、トーンを少し絞って音を丸めにした方がトラッキング精度が上がるような気がしました。

そしてMIKU STOMPの真骨頂ともいえる歌詞を歌わせた演奏がこちら。「さくらさくら」とミクの代表曲の一つ、「千本桜」のメロディーを演奏してみました。専用のソフトで演奏させた状態とはいわないまでも、ほぼ同等の演奏が再現されているといえそうです。

KORG 「MIKU STOMP」で「さくらさくら」や「千本桜」をギターで歌わせてみた

歌詞を歌わせる場合は、ピッキングのたびに保存された文字が一音ずつ順番に発声されるので、余計な音を出さないことが大切になってきます。気を抜いて余計な音を出してしまうとMIKU STOMPは忠実に1音ずれたままでメロディーを歌ってくれるのですが、意外なほど意味不明な歌になってしまいそれはそれで少し面白いかも。なお、KORGの公式ページでは、otomania氏によるデモ演奏などを聴けるようになっているので、製品のことが気になったらチェックしてみてもよさそうです。

残念ながら今回は間に合わなかったものの、製品版の発売時にはオリジナルの歌詞をMIKU STOMPに流し込む専用のiPhone用アプリがリリースされることになっています。設定方法は入力したテキストデータをギターのピックアップから流し込むという仕組みになっているようで、なかなか興味深いアプリ。ユーザー・エリアは最大約6000文字のひらがな、カタカナに対応しているので、1曲分の歌詞を丸ごと入力することも可能になりそうです。

MIKU STOMPは2014年10月下旬に発売予定となっています。

© CFM

MIKU STOMP STOMP EFFECT | Effects | KORG

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