これぞリード・オフ・マン！美来工科・武内由伸

この日打撃爆発の美来工科・武内由伸

　これぞリード・オフ・マンだった。去った沖縄県工業野球大会（決勝リーグ）でも、美里工・島袋翔と沖縄工・金城有からそれぞれ1本ずつヒットを打っていた美来工科の武内由伸がこの試合、強烈な印象を放った。

　初回、本部のマウンドに上がった宮城雄斗の3球目を捉えるとセンターの左を破る二塁打。ワイルドピッチで進塁後、3番目取真慶樹（めどるま・よしき）のセンター前ヒットで先制のホームを踏むと、追加点が欲しい5回の一死一塁ではセンターの頭を超えるタイムリー三塁打。さらに試合を決した8回にも左中間を破るなど合計3本の長打を記録した。その武内に引っ張られるように打線も、3回こそ三者凡退ではあったがその他のイニング全てでヒットを重ねるなど計14安打の8得点で快勝した。

　投げては先発の仲宗根登夢（なかそね・とむ）が、2回までに3安打2四球と不安定な立ち上がりを象徴するように計4四死球と制球に苦しみながらも、3回から6回までの中盤では被安打1本に抑えるなど7回を無失点。苦しみながらも相手に流れを与えず、チームに8回のビッグイニングを呼び込んだ。

　敗れた本部だが、登録メンバーが9人。攻撃の場面でも試合に出ている誰かが常にコーチャーズボックスに走らねばならないなどギリギリで試合に望まざるを得なかったにも関わらず、1番仲宗根隆哉は美来工科武内に負けじと3安打をマーク、守っては野手陣が7回までノーエラー（8回に失策ひとつ）、同じく7回までに二桁安打を浴びながらも四球ひとつ（8回に1個）、125球を粘り強く投げたマウンドの宮城ら、8対0のスコアだけでは見えない奮闘でゲームを作り続けたナインに拍手を送りたい。

（文＝當山 雅通）