女性のための「官能小説」急増! 読み込んだ女性がすすめる厳選7作
ウレぴあ総研をご覧の女子の皆様、「官能小説」はお好きですか?
この数年で女性の書き手による、女性のための官能小説は、ものすごく増えました。
ハードで生々しい男性向け官能小説とは一線を画し、リアルで共感できるストーリー展開に加えて、女性ならではの繊細な感情が描かれているのが特徴です。
また女性作家が描く官能小説は、リアルな女性が登場し、様々なシチュエーションを舞台にしており、エロのあり方も非常に多様であるように思います。
大人の女性向け官能小説レーベルは続々と創刊され、さらに電子書籍の分野でも官能小説は盛り上がりを見せる昨今ですが、今回は「本屋さんで普通に買える書籍」にスポットを当てて、特におススメの「女子とエロ」をテーマにした小説を、筆者の独断と偏見でご紹介したいと思います。
■「女による女のためのR-18文学賞」
日本の女性向け官能小説の盛り上がりの先陣を切ったとも言えるのが、今から10年以上も前に「女性の書き手による性をテーマにした小説」(※1)の募集をスタートした、選考委員も読者ターゲットもすべて女性と言う文学賞である「女による女のためのR-18文学賞」です。(※1……第11回からは、募集作品を「女性ならではの感性を生かした小説」と定めています。)
R-18文学賞出身の書き手の活躍は目覚ましく、例えば第八回に大賞を受賞した窪美澄さんの受賞作「ミクマリ」を収録した『ふがいない僕は空を見た』(新潮社)をご存知の方は多いのではないでしょうか?2012年に映画化もされ、第24回山本周五郎賞も受賞しています。
「ミクマリ」は、人妻と男子高校生のコスプレセックスというかなり衝撃的なシーンで始まります。しかし、そこには「性」だけではなく「生」も描かれています。姑に不妊治療をせまられる女性や、助産院を営みながら、女手一つで息子を育てる母親たちが登場し、様々な立場の人の視点から、社会生活やその裏に隠されている問題や感情まで描ききっている所に惹きつけられます。
また、第七回で読者賞を受賞した山内マリコさんの「16歳はセックスの齢」が収録されている連作短篇集『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)も同様です。
「16歳はセックスの齢」は、「16歳で処女喪失しよう!」と意気込む二人の女子高生が登場する作品なのですが、全体を通して読むと、「性」は暮らしの中のほんの一部でしかないことに気づかされます。むしろ作品の中に一貫して流れている、衰退していくばかりの地方都市に住む若者たちの鬱屈とした空気感や、男女の悲喜こもごもに激しく共感してしまうストーリーでした。
セックスのその先にあるものや、現実を見据えて強く生きたいと思う女性の方に、こちらの二つの作品はおススメです。
■海外でも……
日本だけにとどまらず、海外でも女性向け官能小説は人気です。2011年に発売されたE.L.ジェイムズ作のSM官能小説『フィフティ・シェイズ』三部作の驚異的なヒットは記憶に新しいかと思います。2011年6月にイギリスで発売されるや『ダ・ヴィンチ・コード』『ハリー・ポッター』を超えるベストセラーになり、世界売上7千万部を達成、映画化も決定しました。
引っ込み思案で男性経験の少ない女性が億万長者の若手企業家と出会い、SMに傾倒していく……というストーリーなのですが、基本は純愛小説です。
ちなみに濃厚な性描写が主婦層にヒットしたことから「マミー・ポルノ」と呼ばれているそうです。これを受けてアラサー・アラフォー世代の女性を対象とした官能小説が飛躍的に増え、イギリスの書籍売り上げは前年度の減少から増加に転じるなど、様々な波及効果も生まれたのだとか。
『フィフティ・シェイズ』シリーズは、そもそも『トワイライト』シリーズのファンフィクションとしてウェブサイトに掲載されたものです。いわば、同人作家の書いた同人誌であるということ。同人誌ならではの突っ込みをいれたくなる部分が多々出てくる点も、ファンの心をくすぐり、人気を広げた要因の一つであったかもしれません。
ロマンス小説とは一味違う楽しさが味わうことができ、人間関係や心理描写なども細部まで描かれている点が好感を持てる『フィフティ・シェイズ』シリーズ。
主人公の女子大生「アナ」に自己投影しながら楽しむことができます!
■図書館でも気軽に借りられる!?
最後に、筆者がおススメの女性向けの「女子とエロ」をテーマにした小説を挙げていきたいと思います。中には「官能小説」とまでは言えないものも混ざっていますが、「図書館でも気軽に借りられる」という基準で選んでみました(笑)。参考になれば、嬉しいです。
まずは「R-18文学賞」出身の作家である、宮木あや子さんの作品です。
江戸時代の吉原を舞台にした小説『花宵道中』(新潮社)や、少女たちの恋の痛みと、ゾッとするような毒が描かれている短編集『官能と少女』(早川書房)、閉ざされた女子寮を舞台に、4人の女の子同士の恋愛が描かれた『雨の塔』(集英社)など、宮木さんは美しくも切ない、官能的な小説をたくさん書かれています。使われている言葉が一つ一つ、宝石のように美しいのも見所の一つです!
また、こちらは官能小説とまでは言えないのですが、桜木紫乃さんの直木賞受賞作でもあるラブホテルを舞台にした小説『ホテルローヤル』(集英社)もおススメです。
7話からなる連作短編集なのですが、第一話目で「ホテルローヤル」という名の北国のラブホテルはすでに廃墟となっていることが明らかにされます。そこから時間は過去へと巻き戻り、ラブホテルの経営者や清掃員、またそこを訪れる訳ありカップルの様子が、たくさんのやるせなさと共に、「これでもか」というほど克明に描かれています。
物悲しいのですが登場する女性たちは一本筋が通っていて、簡単にはヘコたれなさそうな所が印象的です。
「生きる」ということをこれほどまでに強く感じさせてくれる小説も珍しいと感じました。
いかがでしたか?
女性向け官能小説は、細部が非常にリアルに描かれており、ストーリーも物語的で共感できるものが多いです。女性作家による女性のための「官能小説」はまだまだ数多く出版されており、自分好みのものを見つけるのも案外難しくなく、楽しいかと思います。
「性」を正面から描いているのに、どこまでも甘くて繊細で、なめらかで、時に苦しい女性向け官能小説を、是非一度読んでみて下さいね。
筆者は「女子とエロ」をテーマにした作品が大好きなので、ぜひ、第二弾、第三弾も紹介したいです!(笑)
