組織の発展と手段の目的化/野町 直弘
知らず知らずのうちに手段と目的が入れ替わっていることはありませんか?
今回は読者の皆様が耳が痛くなるようなことを一つ取り上げます。。
(あくまでも一般的によくある話で、特定の企業さんの話ではないのでご理解ください。)
改革当初や立ち上がったばかりの組織などの未発達な初期段階では、分かりやすくシンプルな目標を持つことはとても重要です。分かりやすい言葉や目標でないと、多くの人を動かすことは難しいからでしょう。
調達・購買部門の改革を例に上げると、例えば「一般競争入札の実施」であったり、「相見積りの義務付け」、「集中購買の徹底」や「購買システムの利用」だったりします。
しかし、時間が経ち組織が発展するに連れて、このようなシンプルな目標を掲げることが弊害につながることも少なくありません。これは手段が目的化してしまうリスクと言えます。
例えば一時期新しい購買ツールとして注目された「リバースオークション」などは最たるもの。「リバースオークション」を活用することで交渉の自動化を図り、業務の効率化を目的とするものが、「リバースオークション」をすること自体が目的化し、競争環境もできていない条件下で無理な活用を行うことでサプライヤさんとの関係に歪みが生じてしまい、最終的には「このツールは使えないな」と活用されなくなってしまったことなどが具体的な例としてあげられます。
また、「相見積りの義務付け」もそうです。ユーザーは今までの実績や総合的な観点から、あるAというサプライヤに発注したい、にも関わらず調達・購買部門がルールに基づき、無理に「相見積り」を実施する。結果的に最安値だが、実力のないサプライヤが選定されてしまい、発注したものの「安かろう悪かろう」になってしまう。それ位なら良い方で、場合によっては「モノが作れない」とか「動かないシステム」になる。
こういうことを繰り返していると調達・購買部門の社内的な評価は地に落ち、ユーザーは表面的に「相見積り」を取るものの、選定したいサプライヤに特定の情報をリークするようになる。また調達・購買部門に対しての信頼感は全くなくなり、「ルール通り相見積りとっているからいいでしょ。」ということにつながってしまう。
ありませんか、このような状況。
ここでの目的は「相見積り」を取ることではなく、QCDで最適なサプライヤを選定することなのに、段々と「相見積り」を取ることだけが目的化していく。
このように改革当初は組織を動かす原動力につながるシンプルな目標も、ある段階で見直しを図り、根底にある目標や目的を見誤らないようにすることが必要です。
当たり前ですが、このような組織は社内からも社外からも評判が良くありません。
よく聞かれる声としては「調達・購買部門はコストばかり気にしていて我々の邪魔
ばかりする」だとか「調達・購買は何をやるための部署なのか理解に苦しむ」とか。
そうすると「うちの会社の調達・購買部門の地位は低いから・・・」と自分たちの責任であるにも関わらず、会社のせい、他部門のせいにすることが始まるのです。
このような状況に陥らないように組織の発展と共に目標や目的を見極めて、常に方向修正をすることが特にこのような組織を引っ張るリーダーには求められます。しかし、多くの企業でそれは上手くいっていません。それではそういう企業ではどうすれば良いでしょうか。
私はまず声を聞くところから始めましょう、ということを申し上げます。社内で言えば主要ユーザーの声(VOC:ボイスオブカスタマー)であり、社外であれば主要サプライヤの声(VOS:ボイスオブサプライヤ)に耳を傾けるところから課題は浮かびあがってきます。課題認識を組織で共有することで解決策につなげていくことにつなげるのです。
ある企業の購買部長は組織の発展論を常に意識し、部門の果たすべき役割や機能を時系列的に捉え、初期段階ではQCDの中でもCにフォーカスし、またその次の段階では社内の統制にフォーカスしてきたとおっしゃっていました。
そして次の段階は社内外に対するサービス機能を強化する必要があるいうことを認識し、相次いで手を打ってこられています。このような柔軟な組織運営を心がけていた購買部長もいらっしゃるのです。
このような視点は組織や業務改革、発展段階で欠かせないものなのでしょう。とても大切な視点だと感じる今日この頃です。
今回は読者の皆様が耳が痛くなるようなことを一つ取り上げます。。
(あくまでも一般的によくある話で、特定の企業さんの話ではないのでご理解ください。)
改革当初や立ち上がったばかりの組織などの未発達な初期段階では、分かりやすくシンプルな目標を持つことはとても重要です。分かりやすい言葉や目標でないと、多くの人を動かすことは難しいからでしょう。
しかし、時間が経ち組織が発展するに連れて、このようなシンプルな目標を掲げることが弊害につながることも少なくありません。これは手段が目的化してしまうリスクと言えます。
例えば一時期新しい購買ツールとして注目された「リバースオークション」などは最たるもの。「リバースオークション」を活用することで交渉の自動化を図り、業務の効率化を目的とするものが、「リバースオークション」をすること自体が目的化し、競争環境もできていない条件下で無理な活用を行うことでサプライヤさんとの関係に歪みが生じてしまい、最終的には「このツールは使えないな」と活用されなくなってしまったことなどが具体的な例としてあげられます。
また、「相見積りの義務付け」もそうです。ユーザーは今までの実績や総合的な観点から、あるAというサプライヤに発注したい、にも関わらず調達・購買部門がルールに基づき、無理に「相見積り」を実施する。結果的に最安値だが、実力のないサプライヤが選定されてしまい、発注したものの「安かろう悪かろう」になってしまう。それ位なら良い方で、場合によっては「モノが作れない」とか「動かないシステム」になる。
こういうことを繰り返していると調達・購買部門の社内的な評価は地に落ち、ユーザーは表面的に「相見積り」を取るものの、選定したいサプライヤに特定の情報をリークするようになる。また調達・購買部門に対しての信頼感は全くなくなり、「ルール通り相見積りとっているからいいでしょ。」ということにつながってしまう。
ありませんか、このような状況。
ここでの目的は「相見積り」を取ることではなく、QCDで最適なサプライヤを選定することなのに、段々と「相見積り」を取ることだけが目的化していく。
このように改革当初は組織を動かす原動力につながるシンプルな目標も、ある段階で見直しを図り、根底にある目標や目的を見誤らないようにすることが必要です。
当たり前ですが、このような組織は社内からも社外からも評判が良くありません。
よく聞かれる声としては「調達・購買部門はコストばかり気にしていて我々の邪魔
ばかりする」だとか「調達・購買は何をやるための部署なのか理解に苦しむ」とか。
そうすると「うちの会社の調達・購買部門の地位は低いから・・・」と自分たちの責任であるにも関わらず、会社のせい、他部門のせいにすることが始まるのです。
このような状況に陥らないように組織の発展と共に目標や目的を見極めて、常に方向修正をすることが特にこのような組織を引っ張るリーダーには求められます。しかし、多くの企業でそれは上手くいっていません。それではそういう企業ではどうすれば良いでしょうか。
私はまず声を聞くところから始めましょう、ということを申し上げます。社内で言えば主要ユーザーの声(VOC:ボイスオブカスタマー)であり、社外であれば主要サプライヤの声(VOS:ボイスオブサプライヤ)に耳を傾けるところから課題は浮かびあがってきます。課題認識を組織で共有することで解決策につなげていくことにつなげるのです。
ある企業の購買部長は組織の発展論を常に意識し、部門の果たすべき役割や機能を時系列的に捉え、初期段階ではQCDの中でもCにフォーカスし、またその次の段階では社内の統制にフォーカスしてきたとおっしゃっていました。
そして次の段階は社内外に対するサービス機能を強化する必要があるいうことを認識し、相次いで手を打ってこられています。このような柔軟な組織運営を心がけていた購買部長もいらっしゃるのです。
このような視点は組織や業務改革、発展段階で欠かせないものなのでしょう。とても大切な視点だと感じる今日この頃です。