買わない顧客は「顧客に非ず」で正しいか?/小笠原 昭治
学問がキライでもよくわかる経営戦略とは何か?シリーズ[10/12](カネで苦労したくない?経営の苦労はカネの苦労から続く)

経営の苦労はカネの苦労

であり、

経営の喜びはカネの喜び

であることを、さらに分かりやすくいうと、給料日は、

給料(お金)が入る、うれしい日ですか?
給料(資金)が出て行く、きびしい日ですか?

ということです。

資金がないから、厳しい?

いいえ、もっと払いたくても払えないから、厳しい日であり、だから、売上金を稼いで、もっと資金を増やそうとします。

そりゃそうでしょう「日本一給料の高い会社」のような称号を得られれば、求人広告を出さなくなって、黙っていても、入社希望者が後を立たないでしょうからね。

それには、資金あるのみで、経営者にとって、最も重要なのは資金ですから、人件費であれ、仕入れであれ、水光費であれ、社会保険料であれ、税金であれ、

毎月きちんと、資金(お金)が出て行くため、資金を回収しようと、営業力や商品力の強化を図ります。

なので、経営者が「売上を増やせ」と檄を飛ばすのは、

私腹を肥やしたいというよりも(もちろん、最終的には、豊かになりたいからにしても)、

会社を潰すことなく、ますます成長させるべく、資金を減らさず、増やすために他なりません。

資金を増やすために「商品を売れ」と号令をかけ、号令一下のもと、売るのが役目の営業部は動きます。なので、

経営者「売上を増やせ」
 ↓
営業部長「商品を売ってこい」
 ↓
営業社員「買って下さい」「買って下さい」

と、資金を増やす目的の経営戦略が、商品を売る営業戦略へ垂直落下します。

しかも、早く売れば、早く売るほど、

売上も早く入ってきます

から、できるだけ早く売りたい。

一年先なんて話は鬼が笑います。

先月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」

今月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」

来月も、「いま売れ!すぐ売れ!もっと売れ!」

毎日毎日「売れ!売れ!売れ」と言うのも言われるのも、いー加減ヤんなっちゃいますよね(笑)

こうして、ほとんどの企業が、資金を回収する経営戦略に直結した営業戦略を布いています。

そのうちの一つが、短期探索営業戦略。これが、また、しんどい(苦笑)

http://www.interactive-marketing.co.jp/marketing/m/quest3.html

いま売れなければ、もう、お客さんのところへ顔を出さなくなるのは、お金が目当てだからです。

大げさに言うと、お金を払わない顧客は「顧客にあらず」だからです。

そうして、今日明日の売上金ばかり狙っていると、

紹介が最強の新規営業

と分っていながらも、他の顧客を紹介してくれることなど、眼中になくなります。

なのに「誰か、新しいお客さんを、紹介してくれないかなあ」と望む矛盾は、どういうことでしょうね?

(お客さまがお金さまになる危険な経営戦略へ続く)