会社を小さくしておくべき15の理由

写真拡大

起業家15人が語る:小さいことはいいことだ

100億ドル単位の投資や株式上場といった景気のいいニュースも結構だが、早すぎる成長というのは新興企業にとってありがたい事ばかりとは限らない。

Young Entrepreneur Council(YEC)のメンバーである15人の起業家が、時として小さいことが強みになるという考えについて以下のように述べている。

1.コントロール

急成長する企業の創始者は、どこかで自分が全てのコントロールを握る事を諦めなければならない。個人的に企業を小さいままにしておく理由がこれだ。

誰かが資金を出してくれる場合、その人は企業の舵取りに口を挟みたがっていることが多い。更にいうと、投資家の最終目的は投資に対する金銭的なリターンであり、起業家の目的は自分のビジョンをできる限り実現する事だ。時には両者の目的が一致しないこともある。

- Lawrence Watkins(Great Black Speakers)

2.ライフスタイル

企業を小さくしておく場合、起業家は人生をよりバランスがとれたものにする事ができる。また他の事に興味を持ったり熱中したりすることによって同時に抱えるビジネスが一つだけでなくなり、新しい分野に挑戦することもできる。

- Darrah Brustein(Network Under 40 / Finance Whiz Kids)

3.収入

企業を小さく保ち、オペレーションコストを押さえる事で、経営者の取り分は増える。これは個人の収入に直結することだ。
急成長を遂げる会社というのはしばしば利益を軽視し、事業の採算性など気にかけないような他の企業に買収されることを目標としがちだ。もし自分の会社を継続的に収益を挙げ、社員にボーナスやいい給料を払うようなものにしたいのであれば、成長の速度は無理のないものであるべきだ。

- Phil Chen(Givit)

4.ニッチ市場を支配する

成長のための成長というのはろくでもないアイデアだ。企業が小さくても特定の分野や工業で突出したものを持ち、市場に広く浸透する事は可能だ。私は「幅広く手を出して平凡な商品やサービスを提供するよりも、一つのことだけをひたすら極めたほうが良い」という観念をもって会社を運営してきた。

- Christopher Hurn(Mercantile Capital Corporation)

5.コアコンピタンス

自社のコンピタンスを完璧なものにするために、会社は小さくしておくべきだ。会社が一気に大きくなると、リソースは顧客へのサービス、ビジネス開拓、インフラ整備などに流れていってしまう。これらは自分のビジネスの核となるものの破壊につながると言っていい。

ある一定期間会社を小さくとどめておくことで、顧客のニーズに完全にマッチした提案を行うことが可能だ。顧客のことをよく学び、フィードバックを得、相手によって提案を変えるのも、大会社でやるより簡単だ。 自分のコアコンピタンスが変わらないと自信を持って言えるようになって、ようやく方向転換できるのだ。

- Gideon Kimbrell(InList Inc)

6.顧客の信用

会社を小さくとどめておきたい理由として、顧客と密な信頼関係を築くことができるという点がある。対象である市場がニッチであればあるほど、ビジネスが大きくなれる余地は少ない。成長に伴う痛みとは実に苦しいものだ。もし自分が作り上げた会社やチームにおける己の役割に満足しているのであれば、会社を大きくするというのはいい選択ではないのかもしれない。

- Marjorie Adams(AQB)

7.品質と効率

私は間接費というものを嫌悪しており、極力切り詰めようと努力している。会社が大きくなるときに頭をもたげるのは、成果に結びつかない間接費の増加である。

品質と効率を高めるためにも、私達は小さく集中した、献身的なグループを好む。我々の会社は小さいが、プロジェクトが始まれば周りのベンダーや契約者の協力を得て大きな仕事をすることができる。

必要なときには大会社の様な仕事ができて、プロジェクトが終われば小さな会社に戻ることができれば、どんな規模のプロジェクトにおいても競争力を発揮するのに十分な敏捷性を持ち、高い給与を継続的に支払うという重荷を背負うこともない。こうした重荷を背負う会社は存続のために割の悪い仕事を続けたりするものだ。会社を死なせないためにも小さく敏捷であるべきである。

- Tim McHugh(Saddleback Educational )

8.文化と品質

チームの戦力は、実力が一番低いメンバーによって決する。もしチーム内に風紀を貶めるものがいるとすれば、それはチームの癌になるだろう。

急成長を続ける会社は早い段階で企業の文化や生産性を犠牲にするリスクを負う。会社の方針を信じ、志を同じくする仲間と緊密な関係を築くことで、会社は自分たちよりはるかに大きな相手とでも戦えるようになるものだ。

- Luke Skurman(Niche.com)

9.シンプルさ

面倒事は減らすべきだ。もし自分のビジネスをシンプルなものにしておくべきだと考えるのなら、会社を小さいままにしておくことは正しいことだろう。

- Wade Foster(Zapier)

10.強い経営基盤

必ずしもそうだとは限らないが、マーケットシェアを獲得しようと必死になった結果、企業は創業者が求めていたような盤石なものになっていないという事がよくある。

整然とした段階を踏んで成長する事で、会社は所属するコミュニティでの発言力を増し、提案をより自然でコミュニティに向いたものにすることが可能となり、会社の経営基盤はより盤石なものとなる。そういう会社は将来的な困難を乗り越える事ができるだろうし、コアな顧客層を離さないだろう。

- Tarek Pertew(Wakefield Media)

11.管理の単純化

もし人事管理で頭を悩ませたくなかったり、会社や人を動かすことよりも自分で手を動かす方が好きなら、会社は小さいままにしておくべきだ。

- Reid Carr(Red Door Interactive)

12.ビジネスの中核

投資は成長性があると見られる企業に集まるものだ。多くの場合、この事は収入源の幅を広く持つことを求められる結果となり、もともとの顧客がその会社に期待していた事とのズレを生じさせることになる。

継続的なビジネスを作り出すこととは、新しい業種で成長する事と同時に、コアな顧客を満足させ続けることである。

- Benish Shah(Before the Label )

13.変遷の難しさ

緩やかな成長をする企業を急成長する企業に変えるのは難しいことだ。成功例は数えるほどしか無い。大企業に変遷するために学ばなければならないテクニックは枚挙にいとまがないが、よくある自己啓発本の範疇を超えるものではない。

- Seth Talbott(CEO and Startup Advisor)

14.専門店という道

もしあなたが現在サービス産業に関する仕事をしており、知識やスキルもあるなら、専門店をやるべきだろう。自分のやりたいことができるし、企業の成長や雇用者の問題に頭を悩ませる必要がないからだ。

会社を小さくとどめ、大きな企業やエージェントとパートナーになることで、ややこしい問題に悩むこと無く大きな収益を上げることができる。専門的な業種に特化することで成功できる可能性は高い。人々がそれを忘れがちなのは、こういった企業が常に業務を拡大したり新しく人を雇ってるわけではないからだ。

- Jason Grill(JGrill Media | Sock 101)

15.スケーラビリティ

私はこれまでに、数多くの会社が多額の資金を調達する機会に恵まれた末、それを投資したにも関わらず特に大きな成長につながらなかったという例を色々と見てきた。一定の顧客や毎月の安定収入を得られたとしても、今後も今のように成長できるということを意味するわけではない。月の稼ぎを10万ドルから50万ドル、さらにそこから500万ドルにするにはどうすればいいかを分かっておくことは非常に大事だ。

急成長できるという確信がもてるまで、会社は小さいままにしておくべきだろう。でなければ資金や時間を浪費するだけになる。

- Liam Martin(Staff.com)

Scott Gerber
[原文]