結婚に焦り、不安を抱える独身アラサー・アラフォー女性達に、朗報となる一冊が今年1月に発売された。ノンフィクション作家・衿野未矢さんの著書、『“48歳、彼氏ナシ“私でも嫁に行けた!オトナ婚をつかみとる50の法則』である。

47歳で婚活をスタートし、48歳にして人生で最愛のパートナーと結婚を果たした衿野さんが見出したその法則は、“手料理は写真だけ”、“家には泊めない”など、通常の恋愛マニュアル本には絶対に載っていない、既成概念を吹っ飛ばす内容が満載で、勇気が湧く。そんな遅咲きの衿野さんだからこそ分かり得た、婚活で勝つための“普通じゃない”法則について、伺った。

出会いの場は「期待せずに行く場所」

――衿野さんが旦那様と出逢ったのは、社会人サークルだったそうですが、婚活の場の代表格でもあるお見合いパーティーや合コンと、社会人サークルとの“出会いの場”としての違いはどんなところでしたか?

衿野未矢さん(以下、衿野):社会人サークルは“気負うことなく行ける”ということが、あからさまな婚活の場と最も異なるところです。合コンやお見合いとなると装いも気合いを入れていきますし、何より期待しますよね。必要以上に緊張して、素の自分を見せるのも難しい。そんな中で声をかけられなかったり、収穫が何もなかったら「お金も時間もムダにしたなあ」なんて、凹むと思うんです。一方で、サークルは期待せず、気負わないで参加できるし、恋愛としての出会いには恵まれなくても、共通の趣味で繋がっているので興味のある情報を収集できる。しかも、そこで得た人脈は、その後も色んな場面で役立つんですよ。実際にサークルを通じて出会った方とビジネスをすることもよくあります。

「家庭的な私をアピールする女」と「ぬるま湯に浸かる男」

――衿野さんは、お付き合いすることになっても「結婚するまで家には泊めない」というポリシーを大事にされていましたが、その法則に辿りついた経緯が気になります。

衿野:友人の彼で、長年恋人同士でいるにも関わらず、女性側が「結婚したい」と言っても、なかなか結婚を決意してくれないという人がいました。2人はいわゆるプチ同棲状態が続いているカップルで、彼女は家庭的な女性だったので、日頃から得意の手料理も振る舞っていたようですが、彼は結婚しなくても居心地の良い環境が常に維持されているため、その状態にすっかり甘えきってしまっていた様子でした。

――女性が家庭的な部分を見せることで、結婚生活を想像してもらいやすくなる気もするのですが、そうでもないのでしょうか……?

衿野:女性側としては、「家庭的な自分」を見せることによって、「いつかは向こうから結婚したいと言ってもらえるかもしれない」と期待してしまいがちですが、結婚に執着のない男性は、まさかそんなところまで考えていないというケースがほとんど。実際にそうしたプチ同棲状態から抜け出せず、結婚出来ないカップルは何組も見ていたので、自分のパートナーには、絶対に同じ状況に安住してほしくないと思い、結局機会があっても彼を家に泊めることはありませんでしたね。

時には「捨て身な姿勢」が功を奏す

――そういうことだったんですね。その後、同棲カップルのお2人は別れてしまったのでしょうか?

衿野:30代から付き合っていた2人ですが、女性側の方が40歳を目前に控えたある日、停滞した状況を何とか打開する為に、一大決心をしたんですよ。それが「転職」とそれに伴った「引っ越し」でした。

それまで簡単に彼女との居心地の良い生活を手にしていた彼は、彼女が突如、転職に踏み切り、一人暮らしをせざるを得なくなった状況に完全に焦ったようで……。その後、ようやく2人は結婚しました。

――すごい! 女性側にとってはかなり大きな賭けでしたね。ある意味“捨て身の姿勢”が必要ということなのでしょうか?

衿野:そうですね。その決断で2人が破局する可能性もありますし、女性側に打算的な考えは存在しなかったでしょう。

逆に、30代後半で彼に「結婚したい」と言えず、何年も同棲状態に陥ってしまっている女性もいますが、彼に結婚したいと伝えないのか尋ねたところ、「結婚を断られて独り身で迎える40歳と、このまま結婚出来ずに半同棲状態で迎える40歳を想像してみたら、結婚出来なくても、彼の隣に居られる40歳の方が幸せな気がする」と言っていました。それから数年たった今、その女性は結婚できていません……。

やはり、本気で結婚したいのであれば、計算したり、中途半端な駆け引きをしようとするのは良くありませんね。相手の男性が大人の男性であればあるほど「この女性は計算しているな」ということが透けて見えてしまいますし。賭けに出るのであれば、先ほどの例のように、覚悟を持って挑んだ方が良いです。正直、そこまでしないと動かない男性が増えているのも事実ですね……。

「結婚願望が薄い男」が狙い目かも

――文化会館館長である衿野さんの旦那様は、出逢った時「俺は文化会館と結婚した」と豪語するほど、結婚願望の薄い男性だったそうですが、そんな旦那様が結婚に至った決め手は何だったと思われますか?

衿野:夫に聞いてみたところ、「こんなに『結婚したい』と言ってもらえてありがたい」と思ったことが結婚への大きな引き金となったようです。私は付き合い始めた当初から「結婚したい」という言葉を発し続けてきましたが、彼にこれまでの交際相手のことを尋ねてみると、そこまで「結婚したい」とはっきり意思表示してきた女性は1人もいなかった様でした。

いったん男性の方が「結婚願望がない」と表明してしまうと、結婚願望のある女性はどうしても直ぐに引いてしまいがちですが、実はそういう男性こそ、狙い目かもしれません。夫のように自分で壁を作ってしまったことで、そこに一歩踏み込んでくる女性が今までにいなかった可能性も高いですから。

――最後に人生の先輩として、「結婚したい」または「結婚なんて考えられない」独身のアラサー女性達に、メッセージをお願いします!

衿野:独身女性は「結婚したら、幸せになれる」という考えに陥りがちな方が多いですが、「幸せになる為に結婚するのではない」ということだけは伝えておきたいですね。

結婚を自分が幸せになるためのツールにしてしまうと、相手の男性を条件で選定してしまうことにもなりかねないですが、結婚はあくまで「2人でこれから人生を共に歩んでいこう」というお互いの同意なのです。もちろん楽しいだけでなく、大変な側面も沢山あるので、そこに自分が上手くハマっていくことで、初めて本当に幸せになれる。

だから、20代や30代で「結婚がリアルじゃない」と思う人は、それはそれで良いと思います。今の時代は結婚しなくても幸せに暮らしている方が沢山いるわけですし。そういう人は目一杯、今の目の前の独身生活を謳歌した方が、結果的に後悔がないし、満足度が高い。周囲の意見に左右されて、焦る必要なんて全くないんです。

私は心底、40代まで独身でいて良かったと思っていますよ。だって、こんなに楽しいオトナ婚が待っていたんですもの。まさに“逆転ホームラン”です。

なので、結婚に焦っている女性に出会うと、よく言うんですよ。「あなたはここまで独身でラッキーだったわよ。だって、これから楽しいオトナ婚ができる可能性が十分あるんだもの」ってね。

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(取材・文=編集部)

●衿野未矢(えりの・みや)
ノンフィクション作家。現在は主に女性のライフスタイルを論じた著書を多数執筆。『十年不倫』(新潮文庫)、『セックスレスな女たち』(祥伝社黄金文庫)、『「子供を産まない」という選択』(講談社)など、現代人の心の奥底にせまるノンフィクション作品を、精力的に発表し続けている。モットーは「依存症や不倫など、表に出にくい現象にこそ、人間や社会の本質があらわれる」。ランナーであり、落語家でもある。