Appleの過去19年間に投じられた研究・開発費用をグラフ化するとわかる事実
By Thomas Høyrup Christensen
ハードウェア製品としてiPhoneやiPad、PCのMacシリーズを、ソフトウェア製品としてOSX・iOSなどを販売しているAppleは今や世界的企業の1つにまで成長していますが、Appleの新商品研究や開発にかける費用が競合社であるGoogleやMicrosoft、サムスン電子などと比べてかなり少ないという事実はあまり知られていません。アメリカでは企業が証券取引委員会に決算書「Form 10-K」を毎年提出する必要があるのですが、このForm 10-K上のデータを使い、Appleが投じた1995年から2013年までの研究・開発費をグラフ化したものが公開されています。
http://www.tuaw.com/2014/02/12/a-look-at-apples-randd-expenditures-from-1995-2013/
下記のグラフはAppleの投じてきた研究・開発費用の推移を棒グラフで示したもの。棒グラフを見てみると、1998年と1999年に開発費が激減していることがわかり、当時のForm 10-Kには「1997年までに注視されていた開発費の見直しが図られたため」と書かれているとのこと。スティーブ・ジョブズがAppleのCEOに就任した2000年にグラフは少し回復、2006年には約6億ドル(約614億円)の開発費が投じられ、翌2007年にはApple TV・iPhone・iPod touchが販売されました。それ以降開発費は毎年増え続け、2013年には45億ドル(約4611億円)もつぎ込まれていて、この理由についてAppleは「社員が増えたため」と説明しています。
こちらはAppleの投じた総開発費の1995年から2013年の年ごとに占める割合を表示した円グラフです。驚くことに、2011年から2013年の3年間だけで全体の約50%ほどを占めています。
下記のグラフは売上高における開発費の割合をグラフ化したもの。興味深いことに、Appleの開発費は年を追うごとに増加していましたが、2003年以降売上高に対する割合は下降していることがわかります。
2013年にAppleより開発費を多く投じているのは全世界で45社あり、多いものから順に並べたものが以下のグラフになります。少し確認しづらいですが、MicrosoftやIntelなどのIT企業からフォルクスワーゲンやトヨタ自動車などの自動車メーカーが上位に含まれています。日本の企業としてはトヨタ自動車以外に、本田技研工業・ソニー・日産自動車・日立製作所・デンソー・武田薬品工業・東芝・キヤノン・NTTが、Appleより多くの開発費を投じているようです。
AppleがiPhoneを2007年に発売して以降、特許を取得したマルチタッチ・スマートフォンの画面ロック解除法・丸みを帯びた長方形のデザインなどは、他者と比べて少ない開発費で生み出された技術でありますが、最新のiPhone 5sにも取り入れられているもの。Appleが他者より少ない費用でクオリティの高い技術を開発できるのには、何か秘けつがあるのかもしれませんが、Appleは開発に関して一切の情報を公開しない主義を貫いているので、その詳細は秘密のままです。