【米国はこう見ている】世界王者レッドソックスはマー君獲得に静観モード

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球団GMが現状を明かす

 ポスティングによるメジャー挑戦のために現在、渡米中の楽天の田中将大投手に関し、昨年、ワールドシリーズを制したレッドソックスのベン・シェリントンGMは加熱する争奪戦から一歩引いたような静観モードを打ち出している。

 地元ボストンラジオ局MEEIのインタビューに応じた同GMは「我々は状況を見守っている。他の多くのチームと同様に、田中に関する仕事は終えており、我々は満足いく評価している。ケーシーとも話している。しかし、日程上の問題で彼はすべての球団と会うことは叶わないし、逆にすべてのクラブが彼と会談を持つこともできない。貴重な時間を割くに相応しいと思う相互理解が必要だ。それが私の考える、今回のポイントだと思う」とコメント。ケーシー・クロース代理人と情報交換を済ませていることは認めたものの、その姿勢は冷静そのものだ。

 確かに、入札開始から1カ月間で12球団とも言われるチームと交渉し、契約を完了しなければいけないために田中サイドには日程面の制約がある。MLBに関わる大半の人間が田中の能力を高く評価するが、ヤンキースら大型契約を準備すると見られるライバルと高騰必至な条件面で競合してまで、必要な戦力かどうか、バジェットと相談して見極める必要があるということなのだろう。一方、田中にとっても限られた交渉期間で時間を割くべき球団かどうか、事前にふるいにかけなければいけないというシェリントンGMなりのアドバイスも含まれている。

「我々はピッチャーとしての彼をリスペクトしている。その才能や、残してきた実績を見れば、今すぐメジャーの優秀な先発ピッチャーとして通用するだろう。彼のようなレベルのピッチャーがマーケットに出るのならば、我々の仕事は彼を理解し、選手に対する興味の度合いというものを伝えることだ。それは済んでいる。あとはどうなるか見守るしかない」とシェリントンGMは話す。

 ドジャースのスタン・カステン球団社長もここにきて田中獲得に消極的な発言をしている。ストーブリーグの主役となった田中をめぐる各球団の動きも活発化しており、フロントもここにきてメディアへの田中に関する取材に応じ始めた。これらのメッセージはすべて、百戦錬磨の強化責任者による一流の駆け引きなのかもしれない。