円安の追い風にアベノミクス効果も加わり、ようやく業績低迷の暗いトンネルから抜け出しつつある日本企業。そんな中、興味深い調査結果が出た。

 与信管理業務をサポートするサービスを提供するリスクモンスター(以下リスモン)が20〜59歳の有識者男女(有効回答数800)に聞いた「この企業に勤める人と結婚したいランキング」である。

 調査対象企業は年間売上2500億円以上、従業員数は5000人以上と大企業中心だが、上位の顔ぶれを見ると、とりわけ保守的であることがうかがえる。まずは総合ランキングのトップ10を紹介しよう。

【1位】トヨタ自動車(自動車)【2位】ANA(航空運輸)【3位】サントリー(飲料)【4位】三菱商事(総合商社)【5位】三菱東京UFJ銀行(金融)【6位】ホンダ(自動車)【7位】タニタ(機械器具)【8位】アップル(電気機械器具)【9位】伊藤忠商事(総合商社)【10位】グーグル(情報サービス)

 10位以下の企業は割愛するが、もっとも注目すべきはトップ20のうち、製造業が7社(10位以下はソニー、味の素、キリンビール)もランクインしていたことだ。経済ジャーナリストの福田俊之氏がその理由を推察する。

「9月の中間決算では、これまで円高に苦しめられてきた製造業を中心に業績の回復ぶりが目覚ましく、日本のものづくり技術が再評価されています。6年ぶりに営業利益が2兆円を突破しそうなトヨタをはじめ、サントリーも1〜9月期の純利益が前期比の7倍にもなりました。いま業績が安定していて勢いのある企業に勤める人と結婚したいという願望の表れなのでしょうね」

 結婚相手にも“業績連動”を求める傾向があるということか。かつて「憧れの職業」だった総合商社のビッグ4(10位以下は三井物産、住友商事)が軒並みランクアップしたのも、「円安による業績回復が高評価の材料となり得た可能性がある」(リスモン広報担当者)からだという。

 もちろん業績が回復すれば給料アップの期待も高まる。だが、結婚相手に求める条件が、必ずしも収入に左右されるわけではないらしい。

「上位企業の平均年収は700万〜1400万円を乖離しているうえ、平均年収1000万円超の総合商社よりも、平均年収700万円台のトヨタやANAが上位にいるため」(前出・リスモン担当者)

 前出の福田氏も同様の見解だ。

「お金のことだけ考えれば、トヨタより日産の社員と結婚したほうがいい。いまは業績が振るわないためにランク外なのかもしれませんが、グローバル企業で相手が役員にでもなれば1億円超の年収も夢ではありませんしね」

 ただ、企業名や年収だけで結婚相手を決めると「ろくなことにならない」と福田氏は釘をさす。

「確かにリーマン・ショック後の5年間で企業の体力は押し並べて回復していますが、為替メリットを除くと勝ち組と負け組の差は歴然としていますし、5年後、10年後にどうなっているかは分かりません。日本の製造業を牽引してきた大手電機メーカーが揃って苦境に陥った状況を見れば分かるはずです。

 また、自動車でも商社でもグローバル企業を標榜する中、海外勤務になった場合に単身で行くのか、それとも子連れで行くのかも結婚の大きな壁です。『2人とも海外に憧れているから大丈夫』なんて言っても、赴任先が東南アジアか北米かでも環境はまったく異なりますしね」

 リスモンの調査によれば、結婚相手の勤務先に求める条件トップ3は不動だ。「安定している」(42.1%)、「給料がよい」(36.1%)、「社員を大切にする」(32%)――。

「結婚相手は企業ブランドで選ぶのではなく、価値観の相違で決めなければ長続きしないのは当然です。それでも無難な結婚生活を送りたいならば、今も昔も公務員がいちばんですよ(笑い)」(福田氏)

 ただでさえ、グローバル化で年功序列や終身雇用が崩れている時代。仮に理想の“企業ブランド婚”ができても、現実とのギャップに耐えられなくなるケースも出てこよう。