夏に急増する痛風、酒飲みの病気は誤解!?
これまでに1万人以上の痛風患者の治療・診察にあたってきた両国東口クリニック院長の大山博司先生によれば、
「一般的に痛風は中高年に多い病気と思われがちですが、最近では20代、30代などの若い方の痛風発症が年々増え、女性の方の痛風も見られるようになっています」
というからビックリ。昔と比べて現代の豊かな食生活が関係しているのだという。
そんな痛風、実は夏に急増するという。
「気温上昇に伴う多量の発汗による脱水症状、アルコールや清涼飲料水などの過剰摂取により尿酸値が上がりやすく痛風の発作が増えます」
痛風の原因としてよく挙げられるのが、ビールのプリン体。ビールが美味しくなる夏には痛風が急増するのは、さもありなんという気もするけど？
「ビールはプリン体が多いイメージが強いですが、鶏レバー、カツオなどビールに比べてプリン体が圧倒的に多い食品がいろいろあります」
たとえば鶏レバーやカツオのプリン体含有量はビールの約50〜100倍。何も原因はビールだけではないのだ。ただし、ビール中のプリン体は体内への吸収が良いことやアルコール自体に尿酸を増加させる働きがあるため飲み過ぎは禁物だ。
大山先生は、尿酸の濃度を上げる原因のひとつであるプリン体の摂取を1 日400mg 以下に抑える「低プリン体習慣」の実践を薦めている。
「レバーやたらこ、干物などプリン体が多く含まれている食品の摂取を控え、野菜・きのこ・海草・乳製品などプリン体が少ない食品をバランスよく摂取しましょう。飲酒はなるべく控えたほうがいいですが、我慢がストレスになるのも体に良くありません。飲みたい場合は、プリン体が少ないお酒を選んで飲むのもよいでしょう」
最近は低プリン体メニューを提供する店も現れ始めた。そのひとつが、東京・恵比寿の「YEBISU GARDEN CAFE」。6月中旬、期間限定のお昼のワンプレートとして低プリン体メニューを提供（※現在は提供終了）。ある日のメニューは、メインにポークの極うま煮、長芋とオクラの胡麻油ソティー、胡瓜とキウイの生ハムクミン風味。プリン体が多い肉をメインにしつつも、肉の量を少なめにし、野菜を多く添えることでプリン体を削減したそうだ。
「プリン体含有量は食材によってかなり違うので、食材の選び方次第でプリン体はかなり減らせます」
という長谷川シェフ。同店はオフィスビル内に位置する職域食堂のため、オフィスワーカーの健康面に配慮したメニューを定期的に提供しているそうだ。低プリン体メニューもその一環で、とくに男性からの反響がよかったという。
国内患者は100万人、予備軍も含めると1,000万人ともいわれ、国民病ともいえる痛風。この夏は低プリン体習慣で痛風予防を心がけてみては？
（古屋江美子）
