個人レベルで大金を用意させ、議席を獲得できればいいが落選すれば借金地獄。これでは、まともな人材が集まるとは思えない。
 「橋下代表の人気は依然として絶大で、今のところ批判が反乱につながる気配はありませんが、資金問題が不安要素であることは間違いありません。このまま選挙が近づけば、やがては問題が浮き彫りにされ、内紛にまで発展する可能性も孕んでいます」(前出・政治部記者)

 そんな見方をよそに、維新の会の周辺からは、資金問題を一発逆転で解決する、2つの“秘策情報”も飛び交っている。
 1つは、維新の会が“大阪都”の目玉としている、カジノ特区構想。企業献金にゴーサインが出たこともあり、これに絡んで早くもパチンコ大手のマルハンやオリックス、ソフトバンクの名まで浮上しているというのだ。
 「最近になって橋下さんがカジノ特区のことを言わなくなったのは、選挙を意識してのことと思っていましたが、水面下でカネの話があったとすれば通る話。つまり、カジノ利権をチラつかせ、関連企業に巨額の献金を迫るということです」(別の元大阪市議)

 ただし問題は、ギャンブル・マネーに関してのイメージの悪さだ。維新の会内部では、選挙を控えた今の段階で、府議団を中心に消極的な意見が相次いでいるという。
 「ギャンブル・マネーというのは、それ自体がクリーンでも、裾野の部分で反社会や外国勢力とつながっているイメージがある。かつての社会党もその部分をほじくられてダメージを受けた。だから、今は触らない方がいいんですよ」(維新の会関係者)

 さらにもう1つ。それは、政治家になりたい候補者を党への献金で釣り上げる、いわば「持参金付き候補者狙い撃ち作戦」。この内容を、前出の関係者は次のように打ち明ける。
 「資金力があり、かつ政治家への野心がある者に比例名簿の上位掲載をチラつかせ、その上で、それとなく献金を要請する。そうすれば、維新の会の懐は潤うし、候補者も議席を手に入れることが出来る。まさに一挙両得というわけです」

 ただし、こちらも“議席をカネで買う”イメージを伴うため、自民党府連の某幹部は声を荒げ反対する。
 「そんなやり方は選挙を冒涜するものだ。金権だ何だと罵られた我々も、それだけはやっていない。それが通用するなら、あのホリエモンは議員になっていた。でも我々はそれをしなかった。なぜって、国民の信頼を完全に裏切るからですよ。もし維新がそれをやったらイメージダウンは必至ですからね」

 しかし、維新の会関係者によれば、この作戦は国政選挙に向けての有力な選択肢の一つであるという。
 「維新の会は今年に入ってから急速に政党化に向けてカジを切りましたが、その狙いは政党交付金というのがもっぱらでした。しかし政党化にはもう一つのメリット、すなわち比例候補の擁立がある。これを旬の橋下人気とセットで使えば、効果的にカネが引っ張れる。勢いのある新興勢力だからこそ、可能な方法と言えます」

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