aquos80


テレビ事業の不振により、国内大手のソニー、シャープ、パナソニックの3社が過去最大ともいわれる赤字を出している。そんな中でシャープは、液晶テレビ「AQUOS(アクオス)」の新シリーズで国内最大サイズとなる80型をラインアップすると発表。業績不振のこのタイミングで、一般家庭向けとは考えにくい「超大型」製品を打ち出した戦略が注目を集めている。

6月10日から順次発表されるAQUOSシリーズのキャッチフレーズは「Big & Smart」。「大画面」と「スマートTV機能」が売りだ。シリーズ最大となる80型、一体どれほどの大きさかというと、およそたたみ1畳分。適切な視聴距離は3メートルとされており、家具の配置などを考慮すると設置する部屋の広さは14畳くらいが妥当ということになる。予想販売価格は95万円。

購入層がかなり限定されそうな気もするが、住宅リフォームの動向として、「大型リビング」が都市だけでなく地方でも人気とのこと。案外、広さをクリアする住宅は増えているのかもしれない。また、早くから40型・50型の液晶テレビを購入していた家庭が、ちょうど今ごろ買い替えを考える時期なのだそうだ。大型テレビは、一度慣れてしまうと小さい画面には戻れないという消費者の声もある。今回の大型AQUOSシリーズは、こうした層にアピールしていく狙いだ。

国内の営業赤字に反して、北米や中国では60型以上の大型テレビ販売実績が好調のシャープ。強みは、堺工場だけが世界で唯一生産しているという「第10世代マザーガラス」だ。1枚のマザーガラスから、80型なら2枚のパネルが製造できる。大画面モデルを効率よく低価格で提供できる液晶パネル生産能力が、国内でも競争力となるか。

AQUOSに先駆けて、5月31日には80型の電子看板用ふるハイビジョン液晶ディスプレー「PN-E802」を発売する。横が約1.8メートル、縦が約1メートルで、人の全身表示もできる大きさだ。「大型画面」に特化した製品を提供していく姿勢のシャープが、低迷する国内テレビ事業で巻き返しをはかれるか、今後も注目していきたい。


AQUOS GL7ライン(80V型・70V型)



(鈴木陽子)