「剛腕」が振り下ろされる!

 では、小沢氏は「野田殺し」のどんなシナリオを描いているのか。



 確実視されているのが、消費増税法案が閣議決定された瞬間に、副大臣、政務官から小沢グループの議員を一斉に引き揚げることだ。「すでに政務三役の一人が小沢氏に会って集団辞任について相談しています。小沢氏は明言を避けたが、すでに根回しは完了しています」(前出・小沢氏周辺議員)

 まずは、あの「剛腕」で軽いジャブを放ち、政権を揺さぶる計画だという。

 もちろん、野田総理も寝首をかかれるのを黙ってやり過ごすわけがない。2月25日、党首討論を前に自民党の谷垣禎一総裁(67)と密会。討論では消費増税でエールの交換をするという、みごとな八百長を演じた。

 すると、自民党幹部からはメディアを通じて、民主党の「小沢切り捨て」を援護する発言が繰り返された。「自民党の長老の一部には、『大連立』を望む声も聞かれますが、現実的ではない。一方で、自民と民主の『話し合い解散』が持ち上がっています。解散されると小沢グループの議員の大半が落選することが予想され、小沢氏の力の源泉をそぐことができるというわけです」(前出・政治部デスク)

 しかし、小沢氏は、早期解散はないと踏んでいる。実際に、「話し合い解散」について、「現実政治の世界ではありえない」とコメントしているのだ。

 前出・鈴木氏はこう解説する。「結局は密室談合で決めた解散となり、次の選挙で民主も自民も国民の支持を得られなくなる。そうしたことを小沢氏は読んでいると思います。それに、現在の自民党の最大派閥は前回選挙の落選組です。彼らはそれぞれの選挙区で日々、民主党と対決しながら政治活動をしている。それなのに民主党と手を組んでしまっては、今までがムダになる。実際に、自民党の落選組からは、『谷垣降ろし』の動きが始まっています」

 前回の参院選で「消費増税」を掲げて戦った自民党。野田内閣の増税法案に反対するわけにもいかない。かといって、諸手をあげて賛成してしまえば、党内の足並みが乱れる。「小沢氏にしてみれば、そこで谷垣氏がやぶれかぶれで内閣不信任案を提出してくれれば最良でしょう。野党の不信任案に小沢グループが賛成すれば、『野田降ろし』は裁判の判決前に完結する可能性だってあります」(前出・政治部デスク)

 造反→離党→新党結成。これこそ「剛腕」の名にふさわしい「野田殺し」の策略とも言えるだろう。