企業の採用担当者が新卒採用で苦しんでいる。理由は、「学生の質の低下」と「長期化した採用活動」にあるようだ。

 就職情報を提供するマイナビが8月中旬から9月初旬にかけて国内企業を対象に実施した2012年新卒者の採用内定状況によれば、企業が内定者に対して「質・量とも満足」している割合は、10年卒採用では50.9%、11年卒46.2%、12年卒(40.1%)と2年連続で減少した。特に上場企業では前年比10.5ポイント減少し、理系の満足度も13.8ポイント減と昨年を大きく下回っている。

 採用活動の印象も「昨年より厳しかった」「昨年並みに厳しかった」を合わせると前年比12.4ポイント増の80.9%、上場企業では前年比14.2ポイント増の90.2%と9割を超えている。

 採用活動が厳しいと感じた理由は、「学生の質の低下」が51.6%と最も高い。次いで「母集団の確保」(37.3%)、「辞退の増加」(37.1%)、「セミナー動員」(24.6%)であった。

 今年の採用活動で顕著だったのは、やはり選考途中での辞退や内定の辞退の増加だろう。東日本大震災以前は12年卒の採用活動の終了予定時期を6月と考えていた企業が24.0%、5月が20.3%であったが、実際は7月が16.9%と最も高く、次いで6月(15.3%)、8月(14.8%)と続いている。結果的に採用活動の期間が「長期化する(した)」(42.4%)が増え、上場企業では55.9%が「長期化する(した)」状態となり、優秀な人材への注目度が高まったため選考辞退や内定辞退が続出する結果となり、厳しい採用活動となった模様だ。

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